今夜は「塩ホルモン」で決まり⁉発祥の地…実は北海道旭川市 そのワケを紐解く「1枚の写真」
生活に潜む様々なナゾを解き明かす「ナゾトキ」です。
きょうのナゾは【旭川・塩ホルモンのナゾ】。
今や焼肉の定番ともいえるブタの「塩ホルモン」ですが、旭川が発祥の地なんです。
なぜ道北のマチで?
塩ホルモン誕生のナゾを紐解きます。
画面からも食欲をそそる香ばしい香りが伝わってくるようです!
旭川名物・ブタの塩ホルモン!
(宮永キャスター)「今回のナゾトキは、旭川のソウルフードと言われているホルモン。名店の炭やさん、良い雰囲気ですね。お邪魔します」
名店「炭や」。
旭川で塩ホルモン流行のきっかけを作った店と言われています。
それまで味噌だれが多かった豚の「ホルモン焼き」の食べ方を変えたからです。
(宮永キャスター)「網にのせた瞬間にホルモン欲しいって感じになっています。歯ごたえ、口に広がる甘み、これはおいしいな。塩ホルモンにビ-ルは最高の組み合わせ。いやあおいしい」
旭川市民…じゃなくても、この美味しさには胃袋をつかまれます!
(宮永キャスター)「塩ホルモンってどんな存在?」
(客)「ソウルフードですね」
(客)「旭川市民の昔からあじわってきた味、ふるさとの味って感じがします」
およそ40年の歴史がある「炭や」の塩ホルモン。
味のヒミツは?
(炭や 渡部拓さん)「味付けがシンプルで食べやすい、いくらでも食べられる味付けにしている」
旭川で「ホルモン」といえば、塩ホルモンだけではありません。
(串揚とホルモン まる。店主 熊倉崇人さん)「こちらガツ刺しです」
この店の看板メニューは「ホルモン刺し」。
丁寧に低温調理をした、まるで生のような食感です!
(宮永キャスター)「本来の素材の甘み、それにしょうゆベースのタレがかかっているんですが、絶妙ですね。おいしいです」
この店では「タン」もホルモン刺しのひとつとして提供。
(宮永キャスター)「美味しいです。新鮮だからこその味ですね」
旭川といえば「旭川ラーメン」もご当地グルメとしておなじみですが…
ここがポイント!
ラーメンの上に特製のタレに漬け込んだホルモンをたっぷりトッピング!
これがここ10年で旭川・ご当地グルメの一角にまで登り詰めた、その名も「旭川しょうゆホルメン」です。
(宮永キャスター)「ほどよくスープがうまくホルモンに染みこんでいて、思ったよりホルモンが柔らかい。醤油ラーメンとホルモンの2大グルメの合体。抜群の相性ですね。ホルメン、これはどういう発想で生まれたんですか?」
(加藤屋 萩中憲治さん)「旭川はホルモンを食べる人が多くて、旭川といえば醤油ラーメン。合わせて提供できないかなと思って。この柔らかいホルモンに出会えてそこから10年くらい前に作りました」
それにしても、なぜ旭川市民の生活にはこんなに豚のホルモンが根付いているのでしょうか?
肉のことは肉屋さんに…ということで、旭川市内の食肉加工会社を訪ねました。
(米谷産業 米谷慈祥社長)「旭川は養豚のマチ。豚肉の生産をしますから、それでホルモンを食べる文化なんです。旭川の焼肉屋さんから(始まって)我々も加工品を作って、全道に全国に広がっていった」
旭川でホルモンを食べるワケは、「養豚が盛んで新鮮な食材が入手しやすかったから」なんです。
そうすると次なるナゾが出てきます。
旭川ではなぜ、養豚が盛んなのでしょうか。
このナゾを解くカギ、1枚の写真があります。
続いてはこの写真から、旭川の養豚のナゾを紐解きます。
この写真が撮影されたのは111年前の1913年。
よく見るとたくさんのブタがいますね。
その奥にはレンガ造りの背の高い建物が。
これがナゾトキのカギを握りそうです。
そこで、写真と同じ場所を旭川市内で探してみると…ありました!
実はこの場所は、お酒の会社・合同酒精の工場でした。
甲類焼酎をはじめ、道民にもおなじみのお酒を作っています。
工場の敷地内には今なお、あの「レンガ造りの高い塔」が…
(合同酒精旭川工場長 伊藤慈洋さん)「こちらが大正3年に建てられた蒸留塔になります。じゃがいもからモロミを作ってアルコールを蒸留して生産していました」
お酒とブタ…
深まるナゾを調べようと、たどり着いたのは道北の増毛町です。
国稀酒造の水口さんによると…
(国稀酒造 水口哲司さん)「この写真はですね、私の想像では赤レンガの前身のところで」
水口さんは元・合同酒精の工場長です。
アルコールを作るときにいわゆる「搾りかす」がでますが、ここにナゾをとく最後のカギがありました。
(国稀酒造 水口哲司さん)「焼酎かすを使うといいますか、もったいないから飼料にならないか、ということで豚を飼い始めたと聞いています。これだけの数の豚を飼育しているということは(旭川での養豚の)先駆者というか今に至る、これが始まりでもおかしくないのかなと想像しています」
陸軍の第七師団が置かれるなど、道北の中心都市・旭川は需要も多く養豚が栄えました。
ただ、時代とともに海外産の割安な豚肉も流通し、いまは旭川の養豚場は7戸だけに…
最盛期の1%以下です。
そのうちのひとつ、この養豚場では種付けから出荷までを手掛け、およそ4000頭を飼育しています。
涼しい気候や大雪山系のきれいな伏流水など、旭川は養豚に適した土地でもあるのです。
コスト増など逆風のなかですが、旭川の食文化を守りたいと力を込めます。
(イートン 阿武秀樹さん)「旭川市内でも養豚をやられている軒数は本当に少なくなった。新鮮なホルモンを食べられるのは旭川ならでは。安全・安心な豚肉を供給できればいいなと思っています」
旭川でホルモン食文化根付いたのは「養豚が盛んだった」こと。
そして、そのきっかけの一つに「酒造会社」の存在がありました。
ご紹介した食肉加工会社の米谷社長も、「旭川のおいしいホルモンがもっともっと広がって、全国で食べられるようになってほしい」と言っていました。
この願いを胸に、飲食店や加工業者生産者はたゆまぬ努力を続けているのです。