「きみも年を取るぞ!」若者にヤジとぶ「敬老パス説明会」課題山積・札幌2024を振り返る
道都・札幌では2024年もマチの未来を左右するような出来事が相次ぎました。
賛否両論分かれる議論や再開発の行方など、STVニュースの放送や配信で視聴者のみなさんの特に関心が高かった、3つのテーマを掘り下げます。
(20代男性)「現役世代の声も聞いてほしいです。何で少子高齢化が進んだこの10年間が過ぎた今になってまだ続けようとするのですかね」
(ヤジ)「続けているところの方が多いよ!」「そうだ!」「きみも年取るぞ!」
意見を述べた若者に、集会の参加者からヤジがー
札幌市が抱える課題の象徴ともいえるシーンです。
(市民)「私たち高齢者にとって大きな痛手です!」
クリスマスの25日も市役所を取り囲むように集まった市民、その数、実に200人以上。
「敬老パス」の存続を求める集会です。
70歳以上の札幌市民が、最大1万7千円の自己負担で地下鉄などを7万円分まで利用できるとあって…
2024年9月、正式に見直し案が示された市議会には、議場に入りきらないのほどの傍聴人がー
その見直し案とは、対象年齢を75歳以上に引き上げ、上限額を4万円まで引き下げるというもの。
札幌市も苦渋の「縮小案」です。
(札幌市保健福祉局 横谷大二郎調整担当課長)「2055年ごろには80億円ほどに予算が膨らむということが見込まれております。制度を支える世代の負担軽減に理解をいただきたい」
11月に開かれた市民への説明会では、秋元市長が珍しく声のトーンを上げる場面も。
(参加者)「(上限額を)削られたら病院にも通院できなくなる」
(秋元市長)「私も避けたいですよ、皆さんにそういうお願いをするのは。でも、そういうお願いをしていかなければ続いていかない」
20代の男性にマイクが回ると、さらに不穏な空気がー
(20代男性)「現役世代の声も聞いてほしいです。何で少子高齢化が進んだこの10年間が過ぎた今になってまだ続けようとするのですかね」
(ヤジ)「続けているところの方が多いよ!」「そうだ!」「きみも年取るぞ!」
このシーンが報道されるとSNSではー
「これ以上、高齢者に搾取されるのはごめんだ」
「敬老パス、見直しでなく廃止で良いよ」
(80代女性)「もっと何回も時間長く、いろんなところで説明会をやってほしい。みんな仲良く住むマチにしほしい」
「世代間の分断」を生まないために…
市長の情報発信に問題はなかったのでしょうか?
「敬老パス」と並んで市民の関心を集めたのはー
(市民)「何に使っているんだろうなって、私はあまり使わないので分からない」
(市民)「ちょっと、大和…長いですよね、名前が覚えづらいですよね」
(佐々木カメラマン)「札幌ドームの看板にかわり、いま大和ハウスプレミストドーム、新しい看板が取り付けられました」
2024年7月。
「札幌ドーム」から「大和ハウスプレミストドーム」に。
ネーミングライツの契約金額は年間2億円以上とみられます。
慣れ親しんだ名前を変える、背に腹を変えられない事情が。
2023年度6億5100万円という過去最悪の赤字を計上したのです。
黒字化は「きびしい」。
ファイターズの新庄監督は、2軍の本拠地をプレミストドームにするアイデアを示したといいますがー
(秋元市長)「完全に本拠地として使うことになると、やはり多目的な施設であることとバッティングをするのではないか」
秋元市長は冷ややかな態度です。
(ファン)「Snow Man最高!」
(ファン)「Snow Manがんばれ!」
黒字化のカギは大型イベントの誘致。
11月の「Snow Man」のライブは、ホテル争奪戦と言われるまで全国からドームに集客。
実は2025年、「その界隈」では大注目の大型イベントが控えています。
(金澤記者)「北海道大学すぐ近くの教室では、プレミストドームに熱い視線を送っています。いったいなぜなのでしょうか。子どもたちがパソコンと真剣に向かい合っています」
(e‐StudyZ北大前教室 大塚武尊さん)「壁、スライディング、最初にジャンプかな。反復練習するとどんどん技術的に上がっていく」
子どもたちが練習しているのは、人気のシューティングゲーム「Apex Legends」。
ここは、コンピューターゲームの腕を競う「eスポーツ」の教室です。
(e‐StudyZ北大前教室 大塚武尊さん)「サッカーやバスケットボールと一緒で練習が大切です」
世界で1億人ともいわれる「Apex Legends」のプレイヤーにとって、いま、札幌は最も熱いマチなのです。
それもそのはず。
2025年1月と2月に、プレミストドームでアジア初の世界大会が開かれるからです。
地下歩行空間には大量のポスターが。
国内のみならず、世界中から3万人以上の来場が予想されています。
(e‐StudyZ北大前教室 大塚武尊さん)「オリンピックが行われるのと同等で、すごいことだと思う。いまプレミストドームはあまり人が入っていないイメージがあるので、それで人が入ってくるのはうれしいと思うし、これからもeスポーツを盛り上げてほしい」
この規模のイベントを継続して呼び込めるかがドーム復活のカギと言えそうです。
札幌の冬には欠かせないホワイトイルミネーション。
クリスマスムードを楽しむ市民がいるなか…
聖夜も休まず「再開発」の工事はフル稼働。
(金澤記者)「札幌駅のすぐ横では新幹線の新駅の工事が進んでいます。国内最大級のクレーン、その高さは60メートルです」
2023年夏に閉館した「エスタ」の解体は2025年夏以降。
その跡地に立つ新たな複合商業ビルにも2024年2月、大きな動きが。
(JR北海道 綿貫泰之社長)「工事費が高騰していることと、人手確保がかなり厳しい状況」
2028年度としていた開業時期を、最長で2年延期すると発表。
(恩田記者)「エスタ跡にできるビルの開業が遅れると、心配されるのがバス停の問題です。市内中心部に散らばったバス停、一体いつ解消されるのでしょうか」
エスタ1階にあったバスターミナルの閉鎖に伴い、仮で設置された停留所は一様に不評です。
(利用者)「やっぱり歩いて外に出るのは不便だと思いますね」
(利用者)「ターミナルができてくれたら特に冬はあったかい。早くちゃんとしてほしいのはあります」
一部の施設を先に開業する「2段階開業」も検討していると言いますが、先行きは不透明です。
一方、「再開発」の形がいよいよ日の目を見る施設もー
2025年は高級ホテルや複合ビルの開業ラッシュ。
(恩田記者)「おととし、惜しまれつつも閉店した4丁目プラザ。来年開業する複合ビルの名も…4プラです!」
一等地の新たな「顔」は「札幌4丁目プレイス」。
ただ、市民の思いを大切に、愛称は「4プラ」のままです。
(札幌市民)「4プラってこの4丁目の角の宝物じゃない?開業するときはみんな懐かしくて来るんじゃない?」
(鹿島建設開発事業部 小林大祐さん)「4プラは札幌市民にとって特別な場所、特別なビルだった印象があります。今までの4プラの歴史を大事にしながら、新たな4PLAをつくっていこうという思いで計画をしています」
新たな札幌の形が見え始めた2024年。
札幌が持っている「強み」を生かし、立場の違いを乗り越えて話し合うことで、2025年に向かう未来予想図を描いていけそうです。