全国の博物館・図書館の悩みの種「紙を食べる虫」の存在…解決策開発の学芸員が北海道にいた!
全国の博物館や図書館で大きな問題となっているのが、書籍や古文書などの紙資料を食べてしまう害虫です。
貴重な文化財を守ろうと、札幌の学芸員がある装置を開発し注目されています。
これが害虫から紙資料を守る装置です。
ペットボトルや断熱材など、安くて誰でも簡単に手に入れられる材料で作られています。
そして作り方も簡単です。
(北海道博物館 高橋佳久学芸員)「これを単にですね、体重をかけて押し込むだけです。接着剤とか何も使っていません。実際に乗っても全然大丈夫なくらい荷重があることは確認してあります」
開発したのは北海道博物館の学芸員・高橋佳久さんです。
きっかけは、全国各地の博物館などで問題となっている、主に紙を食べる「ニュウハクシミ」という虫の存在でした。
このように貴重な文書などの文化財に“虫食い穴”を作る害虫です。
(北海道博物館 高橋佳久学芸員)「(ニュウハクシミが)ツルツルしたところは登れないんじゃないかということが、今まで彼らを見て分かったもんですから」
高橋さんは地道な観察を重ね、ニュウハクシミがペットボトルを登ることができないことを発見。
資料を保管するダンボールの下部分にフッ素樹脂テープを貼るだけでも、かなり高い確率で紙資料を守れることも分かりました。
高橋さんはこの装置の開発で、若手研究者を支援する科学賞を受賞しました。
(北海道博物館 高橋佳久学芸員)「博物館に限らずですね、紙資料を持っておられる図書館とか文書館みたいなところって全国にたくさんありますし、簡単に手に入って対策できるということになれば、非常に応用の幅が広いと思うので、ぜひ大切なものを守りたいっていう、そういったことにつながればうれしいなと思っています」
予算削減で博物館の資金が限られる中、身近なものを使った創意工夫で解決策を導き出した高橋さん。
全国の博物館などでも活用されることが期待されます。