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「すぐそこにクマがいる」襲撃事故も レジャー中にクマと遭遇 身を守る対策は? 北海道

2024年6月1日 7:00
「すぐそこにクマがいる」襲撃事故も レジャー中にクマと遭遇 身を守る対策は? 北海道

北海道でも山菜採りシーズンを迎えてます。

一方で、レジャー中のクマとの遭遇が後を絶たず、なかには襲われる事故も発生しています。

生息域が広がっているともいわれるクマ。

専門家は「すぐそこにクマがいる」と思って備えるべきだと指摘します。

山菜採りに夢中 多くの人でにぎわう山 

山の奥へ向かう人たち

その先に待っているお目当てのものとは、

(山菜採りの男性)「アズキナです。スーパーに行くと10本ほどで300~400円です」

これが多くの人を夢中にさせる山菜採りの醍醐味です。

しかしー

(山﨑記者)「もしクマがばったり出てきたら気付けそうですか?」

(山菜採りの男性)「気付かないです。採る前に必ず周りを確認して。ここもちょっと要注意だろうな」

(山﨑記者)「晴天に恵まれた土曜日ということもあり、登山口近くの駐車場は山に入る人の車で溢れるほどいっぱいになっています」

5月18日土曜日。

札幌市西区の登山道は大賑わいでした。

ただ、およそ10日前には、この登山口からわずか3キロしか離れていない山林で、親子のクマ3頭が目撃されていました。

山菜採りなど山に入る人にとって、クマは心配事のひとつですが、意識はそれぞれのようです。

(山﨑記者)「鈴は何個つけていますか?」

(山菜採りの女性)「6個かな。キノコとかもこういう感じで採ると全然(鈴の)音がしないんですよ。たまにこうやって鳴らしています」

(山菜採りの男性)「過去にも何度も気配は感じたんですけど、クマの方から逃げていく。そんなに心配はしていません」

(登山の男性)「対策とかは別にしていないですよ。(クマが)出たら諦めます。倒します。クマに勝てると思っています」

(運転手)「あーいたいた」

4月28日、根室市で撮影された映像。

山菜採りで山に入った軽トラックにクマが襲いかかる映像は衝撃を与えました。

5月5日には日高の浦河町で、81歳の男性がクマに襲われ、大けがをしました。

こちらも山菜採り中のクマとの遭遇です。

レジャーの最中にクマに遭遇する例がことしも後を絶ちません。

朱鞠内湖での痛ましい事故から1年。

道北の幌加内町では安全祈願祭が行われました。

(山﨑記者)「ハンターらが船着き場に戻ってきました。発見された人体のようなものが警察車両に運び込まれています」

2023年5月、この湖で釣り人がクマに襲われ死亡。

事故の5日前にもこの近くでクマが目撃されていましたが、襲われた男性は1人で釣りをしていました。

釣り場への渡し船を運営する中野さんは、朱鞠内湖は静かな環境で釣りができることが人気だったと話します。

(シュマリナイ湖ワールドセンター 中野信之代表)「(男性は)1人で行きたいということだったので。もうちょっと対策をしておけばよかったなと。ルール作りをしていなかったので。(クマを)見かけたという情報はいままでもこれまでもあって。襲ってくることはなかった」

(シュマリナイ湖ワールドセンター 中野信之代表)「ヒグマの足跡とかありましたか?」

(釣りの男性)「特に痕跡ないです。気配もなく」

悲惨な事故をうけ、地元では新たに「朱鞠内湖ルール」を決めました。

新たなクマ対策「朱鞠内湖ルール」を策定


船着き場以外では、原則として常に複数人で行動するよう求めます。

(釣りの男性)「不安はありますね。ただ、魚釣りという趣味は危険とリスクが隣り合わせという部分があるので、しっかりルールを理解しながら楽しませてもらうという気持ちですね」

いちはやくクマの居場所を特定できるよう、ドローンを用いた訓練も町や警察と実施しました。

対策が進む朱鞠内湖。

事故から1年経ちますが、中野さんの心の傷は癒えていません。

(シュマリナイ湖ワールドセンター 中野信之代表)「ヒグマに対してみんな軽視していたと思うんです。足跡はあるけど襲われないよね、ここのクマは人間を襲うことはないよね、という時代はもう終わったのかなと思います」

では、ひとりひとりができる対策はー

クマの生態に詳しい酪農学園大学の佐藤喜和教授が、実際に林道でクマの等身大のパネルを用いて教えてくれました。

(酪農学園大学 佐藤喜和教授)「人を襲うために行動しているクマはほとんどいないと思います。基本的には人と出会ったときには遠ざかろうとか隠れようとかそういった行動をとるので、複数の人間で行動したり鈴を鳴らしたりして、人間の気配をクマに知ってもらうことが大事」

もしレジャー中にクマと遭遇したら?

「クマと遭遇したら」

(酪農学園大学 佐藤喜和教授)「まずは相手の様子を確認してゆっくり離れる、来た方に戻っていくことが大事」

クマに遭遇してしまったら、とにかく落ち着いて必ず引き返すことです。

手をあげるなど、敵意がないことを示すのも有効だといいます。

(山崎記者)「来るな、来るな!」

大声を出すのは、かえって危険。

クマの興奮を誘うからです。

また、背中を向けて逃げてもいけません。

追いかけてくることがあるからです。

クマが接近してきた時の対策は?

「クマが接近してきたら」

(酪農学園大学 佐藤喜和教授)「いくつかのパターンはありますけど、一番多いのは子グマがいて逃げられない母グマやエサがあるので逃げたくない場合。威嚇突進(ブラフチャージ)という行動をとることがあります」

この車に突進する根室のクマも、近づいてくるものへの威嚇突進だと佐藤教授は分析します。

(酪農学園大学 佐藤喜和教授)「この突進は直接相手をやっつけるためではなく、こっちに来るなという意思を表示をする行動なので、基本的には(途中で)止まる。なかなか怖い場面だと思いますけど、そこで慌てて背中を向けて走ったりせずに、クマが走ってきたときは(自分は)必ず止まる。クマが戻ったときに(自分は)ゆっくり下がっていく」

クマに襲われた時はどう身を守る?

「クマに襲われたら」

(酪農学園大学 佐藤喜和教授)「威嚇突進してきて接触に至ってしまった場合には、地面に伏せてお腹を地面で守りながら背中をリュックで守り、首の後ろの急所を両手で組んで直接的な攻撃を防ぐ」

人が危害を加えないと分かると、クマは立ち去っていくといいます。

この体勢で生存率を高められるのです。

クマの生態をよく知ることが必要

(酪農学園大学 佐藤喜和教授)「クマなんか一回も出会ったことないという地域でも、もしかしたらことしはクマがいるかもしれない。ぜひクマのことをよく知って、クマの気持ちとか、クマがいまどのような状況なのか想像できるようになると、事故は少なくなっていくのかなと思います」

レジャーは安全に家に帰るまでがレジャーです。

不幸な事故を繰り返さないためにー

クマとの向き合い方を知る必要があるのは、わたしたちひとりひとりなのです。

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