札幌市内で2024年10月に起きたいわゆる“闇バイト”による強盗や窃盗事件で、逮捕・起訴された実行役と運搬役の男2人の初公判が札幌地裁で開かれ、2人はともに「間違いありません」と起訴内容を認めました。

このうち、強盗や窃盗などの罪に問われているのが、実行役の鈴木陸被告（25）です。

起訴状などによりますと、鈴木被告は2024年10月、札幌市南区の空き家に侵入し、ブローチなどを盗んだほか、札幌市豊平区の住宅に侵入し、住人の男性の手足を粘着テープで縛る暴行を加えて、現金3万円を奪ったなどとされています。

初公判では鈴木被告らの犯行当日の様子が明らかにされました。

【弁護側冒頭陳述】

▼犯行当日
・「デイダラ」を名乗る人物が手 配した三田被告が運転するタク シーに乗り、現場では「Sコバ ル」と名乗る人物の指示で、1 件目の札幌市南区の住宅に窓ガラスを割って侵入。
金目の物を盗んでいき、札幌駅近くの換金 ショップで換金し、一部を借金 の返済、残りをデイダラの指示 に従ってプリペイドカードを使って送金した。

・デイダラからは、その日のうちに「同じことをその日の夜中に 決行する」と指示され、同じく侵入するのは詐欺師の家であると説明を受けた。

・デイダラからは侵入した家で人 に会った場合の指示として「バ ールで黙らせて」などと指示さ れていたが、前回も人がいなかったことから話は合わせたもののバールは買わなかった。

・その後、鈴木被告はSコバルと電話をつなぎ指示を受けながら、 2件目の札幌市豊平区の住宅に侵入した。

・侵入後、鈴木被告は部屋を見て回りまり、3階で部屋から出てきた居住者と出くわした。

▼被害者宅でのやりとり
被害者「誰だおまえは」Sコバル「静かにさせて縛れ」「俺の言うことをそのまま言え」
鈴木被告「詐欺して取った金、どこにあるんだ」

・鈴木被告は被害者を押していき、 仰向けに倒れたため馬乗りに。 鈴木被告はSコバルに指示に従い、

鈴木被告「金はどこにあるんだ。他に誰がいるか」
被害者「人は他にいない、金は下にあるから」

・その間、鈴木被告はSコバルの 指示に従い、Aさんの両手首をガムテープで3周ほど巻き、左手でAさんの両手を押さえながら、右手でAさんの足首からふくらはぎ付近にかけてガムテー プを巻こうとしたが、片手だっ たため、うまくいかず。
被害者が「金は下にある」と言ったので、一緒に下りた。
この時、既に被害者の両手首を縛っていたガムテープは半分くらいほどけ、足に巻いたガムテープは付着はしているものの、巻いた状態ではなかった。

被害者「どこから入った」
鈴木被告「そこです」

・少しやりとりを交わし、その後、 被害者は机のあたりにあった封筒から1万円3枚を取り出しー

被害者「これしかないから」

・鈴木被告は被害者と出会ってからここまでの間、持ってきたハンマーやドライバーで脅すようなことはしていない。

・このころ鈴木被告は、被害者の 家の雰囲気や態度から、話に聞 いていたような詐欺をやっている人ではない、悪いことをしている人から金を取りに来たのに、 自分は普通のおじいさんから金を取ろうとしていると考えた。

・イヤホン越しに指示役のSコバ ルから「殴れ」などと何度も言 われたが、無視し、鈴木被告は 口に人差し指を当てて、静かにするように被害者にお願いした。

・鈴木被告はその後、電話をミュートして―

鈴木被告「電話で指示されてやりました。すみませんでした」

・受け取った3万円を返しました。

被害者「いいのか？」鈴木被告「大丈夫で」

・鈴木被告が玄関に向かうと被害 者は一緒に歩いてきて、鍵を開けてくれました。そこで「すみ ません」と言い、外に出たとい うことです。

・Sコバルからはこの時点でも「 金とかあったか？叩け、張り手 しろ」などと言われていたことから、近くの電柱を叩いたり、 自分の胸や頬を叩いて音を出しながら、被害者の自宅から離れた。すると…

Sコバル「ビデオ通話にしろ。そいつが言わないんだったら俺が言ってやるから」

・鈴木被告はその後、アプリ上で Sコバルとデイダラをブロック した上で通話を切り、さらにそ の場でアプリを削除した。

・鈴木被告は1件目の事件では被 害品の多くは被害者に還付され、 戻らなかった残りの被害品を含 む被害者への弁償、被害品を無償で還付した換金ショップへの弁償を行おうと考えている他、 2件目についても割った窓ガラスの修繕費用について、保険金として支払った保険会社へ弁償を検討している。

【検察側冒頭陳述】

・弁護側と同じく、事件当時の状況を説明。借金返済に充てる金欲しさから犯行に及んだと指摘しています。