STVアーカイヴで振り返る北海道新幹線開業8年…当時知事の高橋はるみ参院議員にも直撃インタ
新幹線の札幌延伸は当初、2035年度の開業が予定されていましたが、オリンピック招致などを後ろ盾に、北海道全体で工期の前倒しに向けた取り組みを重ねてきました。
その歩みを振り返ります。
(宮永キャスター)「鮮やかに輝く緑の車両がいま動き始めました。2016年3月26日、新しい時代が始まります」
2016年の春、北海道新幹線の開業に道民は歓喜に沸きました。
北海道新幹線の整備計画が作られたのは、半世紀以上も前のことです。
当初から札幌駅までつなげることが想定されていて、道や経済界は国へ早期開業を要望してきました。
札幌延伸の工事が認可されたのは2012年。
この時は2035年度の開業を目指していましたが、政府と与党の間で「前倒し」への議論が加速していきます。
(与党プロジェクトチーム 町村信孝座長(当時)「札幌延伸2年前倒し、北陸1年前倒しならばWGは必要ない。それは目標ではなく当然の事」
建設費などの懸念から、政府は「2年前倒し案」を示しましたが、2015年、工期の5年前倒しで正式に合意したのです。
札幌延伸の早期開業に取り組んできた前知事の高橋はるみ参議院議員がSTVの取材に応じました。
(高橋はるみ前知事)「やはり新幹線が札幌まで延伸されることはインバウンド、道民の足の確保としても大変重要。JR北海道の経営安定のためにも不可欠。札幌ばかりではなくて、沿線の地域づくりにも関わってくる問題」
(宮永キャスター)「知事時代に30年度末の目標、早期実現に力を尽くされてきた。当時を振り返って」
(高橋はるみ前知事)「私が知事に就任してから、初めて北海道にも新幹線を延伸させよう、道南までの話ですが本格化した。そして新函館北斗駅で一番列車をお迎えすることができた。さて次は札幌だと頑張って働きかけをしてここまで来た。残念ですよね」
(市民団体)「人命と健康は最優先だー!」「猛毒残土を搬入するなー!」
時には住民からの反発もー
トンネル工事で発生した「残土」は重金属やヒ素などを含み、健康被害への懸念からいまも反対の声が上がっています。
それでも「30年度末」の開業にこだわった理由のひとつが、冬季オリンピック・パラリンピックの札幌開催です。
しかし…
(秋元市長)「38年も含めて将来の招致に向けた取り組みができなくなる」
東京大会の汚職事件を背景に、招致の可能性は事実上消滅しました。
(北海道大学工学研究院 高野伸栄教授)「2030年度末に新幹線開業という。それでもオリンピックには間に合わなかったので、それをもっと早める必要があったわけですけど。ある意味規律が、タガがあったわけですよね。オリンピックというタガがなくなってしまったので、それがやはり2030年度は無理だろうと。30年度末がだめになっていつになるかわからないという状態が一番よくない。いまどういう工事をしているのかも含めて情報発信していくかがすごく重要」
長い間つないできた札幌延伸への思い。
先の見えないレールの上に置き去りにされようとしています。