【特集】「住んでよし、訪れてよしの新潟県」どう実現を図るのか 新年度予算案に見る課題と施策《新潟》
花角県政が掲げる「住んでよし、訪れてよしの新潟県」。
新年度予算案で、その実現をどう図るのか。注目の事業をみていきます。
すやすやとお昼寝中の赤ちゃん。
思わず顔がほころぶ、この寝顔。
新潟市南区で開かれた子育てひろばです。この日は2組の親子が訪れていました。
3人の子どもを育てる母親・・・一番下の子はまだ生後2か月。
<母親>
「大変です」「毎日時間に追われています」
友人など周りの人たちも同じ状況かと聞いてみると…。
<母親>
「いないですあんまり、結婚して子供を産んだのは私ともうひとりぐらい」
別の母親も・・・。
<母親>
「(周りは)ほぼ結婚しているんですけど半分お子さんがいて、半分選択的にいない」
日本社会が直面する少子化。
女性が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」。新潟県は1.27で全国での順位は34位。
1位の沖縄県や2位の宮崎県と比べると開きがあります。
分娩や不妊治療を扱う三条市のクリニックです。
こちらのクリニックでは去年1年間でおよそ180人が不妊治療を受けたといいます。
【レディスクリニック石黒 石黒隆雄院長】
「人工授精と高度生殖医療が保険適用になった。(子どもが)ほしい人はいっぱいいらっしゃる」
不妊治療はおととしから保険適用となり人工授精や体外受精などの基本治療を受けた場合の窓口負担は3割となりました。
さらに、県内の市町村の多くは経済負担を減らすため独自に助成事業を行っていますが、新潟市は現在のところ実施の予定はないということです。
こちらの母親は自身の体験からこう話します。
<母親>
「それで少しでも経済的負担が軽くなって子どもを産みたいという人が増えるといいなと思いますし、私自身も不妊治療をした経験がありまして。育児の方にお金が回せるので助かるなという気持ちはあります」
■不妊や不育症の治療費を助成へ
県は不妊や不育症の治療費を助成するための補助金を今回新たに設けます。
【花角知事】
「(不妊治療について)まだ全部の市町村ができていません。しかもばらばらなんです。助成の程度が。そのレベルを上げるうえでも県が乗り出した」
このほか子育て世代の定住や移住の促進に向けて空き家のリノベーションの補助や、東京圏からの移住を支援します。
『にいがた安心こむすび住宅推進事業』に1億5920万円、
『子育て世代に対する新たな移住支援金制度の創設』に3220万円が計上されています。
■弥彦村で自動運転バスの実証実験
弥彦村役場で地元の園児などが祝うなか披露されたバス・・その名もミコぴょん号です。
弥彦村のマスコットキャラクターがラッピングされたかわいらしい見た目をしていますが…。実は最先端の自動運転バスです。
定員は8人で、最高時速は20キロ、弥彦村で現在、実証実験が行われています。
基本的な走行は自動ですが、緊急時に備えてオペレーターが同乗します。
<リポート>
「ここまで自動で走ってきたバス。いま停留所を認識して止まりました。こちらが停留所です」
利用した乗客は・・・
<バスの利用者>
「(普段は)車を使ったりしている子どもはバスに乗りたいとよく言うのであると便利」
「ここら辺はスーパーとかがあまりないのでお年寄りとかは行きにくい、使えるときは乗ってみたい」
弥彦村は公共交通の空白地解消や、バスの運転士不足対策などを目的に本格的な導入を検討しています。
周辺の自治体からも反響があり、三条市の滝沢市長が視察に訪れました。
<三条市 滝沢市長>
「近くにすごいのができたので百聞は一見にしかずということで体験しに来た。将来の選択肢のひとつとしては頭の中に入れておかなければならない」
自動運転バスの検討は佐渡市でも行われています。
公共交通の維持は地方が抱える課題のひとつです。
県は自動運転の導入や地域の交通資源の活用を進めるため市町村の取り組みを支援する考えです。
『地域の移動手段確保支援事業』3020万円、
『地域の交通資源をフル活用した移動手段の確保に向けた取組』に3040万円が計上されています。
コメ王国・新潟を襲った去年の記録的な猛暑。
昨年収穫された県産コシヒカリの1等米比率は5.0パーセント。過去最低となる見込みです。
対策としてAIを活用した稲の生育予測システムの構築や暑さに強い新品種への作付けの転換に向けて実証実験を行います。
『異常高温に対応する新潟米の安定生産技術開発事業』1940万円
『次世代型新潟米生産・指導体制整備事業』1620万円が計上されています。
新潟県の魅力発信を担ってきた東京・表参道のアンテナショップ「ネスパス」。
施設の老朽化に伴い去年12月をもって閉店しました。
代わりの新たなアンテナショップその名は「THE NIIGATA」。
移転先は東京・銀座です。
ことし5月にオープン予定で首都圏へ新潟の魅力を発信し販路の拡大や誘客を図ります。
『首都圏情報発信拠点を中心としたプロモーション事業』に3520万円です。
続いて、柏崎刈羽原発の再稼働問題です
焦点が地元の同意に移る中、県は技術委員会で引き続き安全対策の確認を行うほか、東京電力の適格性についても議論する考えです。
【花角知事】
「(原発について)技術委員会で適格性の議論を規制庁から説明を受けるかたちで始まっています。あるいは県民がどういう受け止めをするか。そういうところもよくみていきたい。ずっと東京電力には申し上げていますが言葉はいいから実績と行動で示してください」
新潟空港を拠点とするトキエア。
ことし1月、札幌丘珠便が就航しました。
仙台や佐渡空港への就航など新規路線の拡大に向けて運航経費を支援します。
『トキエアの新規就航を踏めた支援』6700万円が計上されています。
そのトキエアが就航を目指す佐渡。
島民たちが熱い視線を注ぐのが世界遺産登録を目指す「佐渡島の金山」です。
「佐渡島の金山」をめぐってはことしの夏ごろに開かれるユネスコの世界遺産委員会で登録の可否が判断がされる見通しです。
【祝 雅子さん】
「ガイドのみならず島民の皆さんの願い何十年もの願いがようやく叶う のかなという期待という思いでドキドキしています」
ガイドを務める祝雅子さんです。
この日は旅行会社に佐渡島の金山にまつわる名所をめぐり、見どころを案内しました。
こちらの旅行会社ではこの夏の世界遺産登録を見据えて旅行商品の開発を検討しているといいます。
【読売旅行・商品企画本部 有田周祐 部長】
「これからどんどんマスメディアの露出が増えていくと思いますのでそういう機運が高まってくると期待しています。今後も世界遺産でどんどんお客様をお連れしようと思っています」
佐渡金銀山の歴史を学んでもらおうとユニークな試みも。
「きらりうむ佐渡」に広げられた巨大なすごろく。400年以上に及ぶ歴史や成り立ちにふれてもらおうと設置されました。
<母親>
「こういうちょっとしたゲームから多くの人がもっと金山について学べるようになったらもっといいかなと思います」
県は世界遺産登録を追い風に、佐渡を含む県内の観光地をめぐる周遊ルートをPRし、県全体の誘客につなげたい考えです。
「住んでよし、訪れてよしの新潟県」の実現に向けて花角知事は。
【花角知事】
「新潟県が子育てに優しいという評判が広がれば新潟で子育てをしたいと思っていただける。子育てするならまた新潟に帰ろうということを選んでいただけるようにそういう意味で社会減対策でもあり、総じて人口減少対策でもある」
未来を担う子どもたちが安心して暮らせる新潟県へ。
県の新たな取り組みが始まります。
2024年2月14日「夕方ワイド新潟一番」放送より