【能登半島地震】道路が沈み、家が傾く 新潟市西区で多発「液状化現象」 なぜ発生したのか《新潟》
今回の地震では各地で液状化現象が見られました。特に新潟市西区では道路の陥没や家が傾くなどの被害が出ています。なぜこの地域で被害が多かったのか、また液状化のメカニズムとは。あらためて検証します。
歩道がデコボコ
大きく変形した歩道。でこぼこした道を注意しながら歩く住民。新潟市西区では1月5日も朝から補修作業が進められていました。住宅街の道路には液状化現象により今も大量の泥が。取り除いていた住民は。
Qお仕事はまだ?
住民
「いや休みをもらっています。大変ですけど、やらなきゃなんで」
50センチも隆起
住民が心配していたのは大きくゆがんだ道路。地震の影響で50センチほど隆起したといいます。
住民
「ここが私道だから、直すのがどうなるのかなというのが一番心配ですね。どれぐらいの費用がかかるのか」
至るところから泥水が噴き出す
これは地震の発生後、新潟市西区善久で撮影された映像。
「すごいね」
至るところから泥水が噴き出していました。
郵便局駐車場が液状化
新潟市西区の郵便局では。
リポート
「新潟市西区寺尾にある新潟西郵便局です。液状化現象なんでしょうか、地面が崩れておりまして普段アスファルトの駐車場の部分が水たまりの状態になっています」
陥没した駐車場にたまった水。液状化現象が原因とみられます。
「駐車場が動き始め、陥没」
車の持ち主
「目の錯覚かと思ったんですよ、駐車場がだんだん動き始めた、陥没。そうこうしているうちに水があがってきたもんですから」
県道16号沿いで被害相次ぐ
住宅街では片側が沈み込みんだ車も。西区を走る県道16号沿いでは液状化の被害が多く見られました。
住民
「これもう車が出せないですね、レッカーを頼んだんですけれど、いつくるのか。ショックですよね、今までこんなことなかったので」
この住民は、玄関前が沈み込み家が傾いてしまったといいます。
住民
「家の中でビー玉を転がしたら、やっぱり転がっていく」
「液状化の土の水がね、わっと出て、大変だと思って。これからまた家を直したり大きな仕事が待ってるなと思って、ちょっと不安ですよね」
新潟市西区の一部に避難指示
新潟市は今後の余震や雨により土砂災害が発生するおそれがあるとして、西区大野や寺尾などの20世帯およそ40人に避難指示を出しています。
最も液状化しやすい場所
新潟大学・災害・復興科学研究所の卜部厚志教授に聞きました。
卜部教授
「新潟市内の中でいちばん液状化、最初にするならここというような地形や地質になっている」
卜部教授によりますと、被害が多かった新潟市西区の県道16号沿いは、砂丘のすそ野にあたり、液状化現象が起きやすい場所だといいます。
砂丘の裾野で起きやすい
卜部教授
「60年前の新潟地震のときにも起こっていたんですけれども西区の砂丘のすそ野で、1年間を通してずっと地下水がわいていて、なので砂丘の砂はさらさらしていて粒ぞろいの砂で地下水がわいているということは地面のところまで水に満たされているというところで。新潟市の中でいちばん液状化に弱い部分を狙い撃ちされたというか、被害が出た」
液状化現象とはどのようなメカニズムで発生するのでしょうか。
そのメカニズムとは
話を聞いたのは「おぢや震災ミュージアムそなえ館」の新保海さんです。
新保さん
「この輪ゴムのところの白い部分が私たちの居る地面となります。
衝撃を与えると
新保さん
「そこに衝撃を与えると、だんだんこの白い砂が下がります。地盤が強い衝撃を受けると、土の粒子がばらばらになり、地盤全体がドロドロの液体のような状態になります」
通常は砂の粒同士がつながり合う
通常、地面の中では砂などの粒同士がつながりあい、その間を水が満たして地盤を支えています。
地震で水と粒が分離される
これが地震によって粒同士が離れると・・砂の粒が水と分離。地盤の沈下や亀裂などを起こします。
“液状化マップ”で危険度が分かる
こちらは北陸地方整備局が公開している「液状化しやすさマップ」です。新潟市では、川沿いなどが危険度の高い赤で示されています。
卜部教授
「新潟市全体としては、もっと強い揺れを受けたら全部が液状化する。どこが一番弱いのという言い方も変だが、意味を伝えて自分のところなのかを考えていただくという機会を設けていかないと液状化は繰り返しますので」
国が公表している地図を確認するなどして、改めて住んでいる地域の特徴を知る必要がありそうです。
「夕方ワイド新潟一番」2024年1月4日放送などより