【能登半島地震】津波第一波は約8分で新潟県到達か 爪痕を専門家が現地調査 新潟市で重要文化財に被害《新潟》
津波の爪痕
穏やかな海が広がった上越市。
しかし、あたりには、壊れて散乱したフェンスに、漂着したとみられる大量の草木が。地震による津波の爪痕が至る所に残されていました。
津波は推定高さ2メートル
津波による被害の実態を調べるため長岡技術科学大学の犬飼直之准教授が現地調査を行いました。
犬飼准教授
「痕跡、遡上の一番最上段と思われるところが漂流物が溜まっているところ。少なくともあそこまでは津波が到達したと考えられます。到達した津波の高さはやはりこれから見ると2メートルくらいはあったんじゃないかと現在考えています」
犬飼准教授は、上越市に到達した津波の高さを約2メートルと推定しています。
上越や糸魚川に観測点なし
上越市や糸魚川市には津波の観測点がなく、実際に津波がいつ、どの程度の高さだったか調べているといいます。17日は上越市直江津から糸魚川市の沿岸で調査を行いました。
第一波は地震の約8分後に到達か
犬飼准教授はこれまでの地震データをもとに津波の伝わり方をシミュレーションしました。まだ暫定ですが、糸魚川市には津波の第一波が地震から約8分後に到達したという結果が出たということです。
犬飼准教授
「日本海での震源域が陸地に近いと思われる海域ではまず強い揺れを感じたらすぐに避難をすることを始めて頂きたい」
重要文化財にも被害
地震の被害は国指定の重要文化財にも。新潟市南区にある「旧笹川家住宅」です。
リポート
「こちら土蔵なんですけれども土壁が広い範囲に渡ってはがれ落ちています」
蔵の壁がはがれる
地震の影響で蔵の壁がはがれ土壁や表面の漆喰が散乱。柱がむき出しになっています。さらに、建物の中でも。
「壁紙が斜めに破けていまして」
痛々しい姿に
上段の間の壁紙が破れ障子も痛々しい姿に。建物の一部にゆがみが出るなどの被害があり休館が続いています。市は応急危険度判定の結果を見て、再開時期など今後の対応を検討する方針です。
新潟市南区役所・灰野知明さん
「建物の修復と皆さんにまた見ていただく公開は別になりますので、安全なところから順次、公開していければと思っています」
緊急消防援助隊が能登から戻る
17日、新潟市消防局では緊急消防援助隊として石川県で活動した隊員たちによる報告会が開かれました。今回は4回に渡ってのべ60隊・225人を派遣。最後の部隊が新潟市に戻ってきました。
道路が寸断 過酷な現地
隊員は過去の災害と比べてもこれだけ道路が寸断されることはなかったと現地の苛酷な状況を報告。倒壊した家屋や土砂の中から4人を見つけ出したといいます。
緊急消防援助隊 新潟市指揮支援隊 夏川正光 隊長
「通信網もそうだし、道路も寸断されていて、孤立しているところが点在していましたので、そのぶん救助にかかる時間も費やされた。次の災害に備えて今後も継続していかなければならない」
「みなし仮設」受け付け始まる
こちらは新潟市の西区役所。市は17日から民間のアパートを借り上げる「みなし仮設」の受け付けを始めました。
相談にきたという年配の夫婦が市の担当者から説明を受けていました。地震で住宅が傾く被害を受け、今は中央区のアパートに身を寄せていて、西区にある自宅は修理する予定だといいます。
「自宅の近くに住みたい」
相談にきた男性
「いま住んでいるのが遠いものだからできるだけ壊れた家の近くに住みたい。ひとりで考えても不安になるけど、親切に説明してくれたので何とかなるだろうと」
みなし仮設の入居は住宅が全壊、もしくは半壊以上でやむを得ず解体する住民などが対象です。条件を満たせば民間の賃貸住宅に家賃が無償で入れる制度です。対象となる条件や入居期間などを詳しくみていきます。
入居日から最長2年間
まず必要なのが、震災により建物がどの程度被害にあったかを証明するり災証明書です。これにより賃貸住宅の入居期間が違ってきます。住宅が全壊している場合や半壊以上でやむをえず解体する場合は、入居日から最長2年間。
また、半壊以上で修理期間が1か月を超える見込みの場合は、発災から最長6か月まで入居できます。
家賃には上限あり
入居する賃貸住宅ですが、無償となる家賃には上限があります。2人までの世帯は6万円まで3から4人までの世帯は8万円まで5人以上の世帯は10万円までとなっています。
ここで気を付けなければならないのがこの金額を超える家賃の物件は対象外になるということです。例えば、2人世帯で6万3000円の家賃では対象外となり全額が自己負担となります。超過分を個人で負担することもできないということです。
さらに、家賃以外にも家賃2か月分以内の敷金や家賃1か月分以内の礼金、損害保険料や鍵の交換費用なども市が負担します。
一方、光熱費や駐車場料金、町内会費などは入居者負担となるということです。
2024年1月17日「夕方ワイド新潟一番」放送より