大雪と原発事故にどう対応? 冬場に初の広域避難訓練 《新潟》
大雪時に被ばくを防ぎながらどう避難するのか。冬場に原発事故が起きた想定で県による原子力防災訓練が行われました。
柏崎市の北鯖石地区。
《防災無線》
「訓練、訓練。柏崎刈羽原子力発電所の事故は全面緊急事態となりました」
入澤芳博さん・75歳です。北鯖石地区・下藤井集落の町内会長を務めています。足早に車に乗り込み、避難を始めました。
東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発。懸念されているのが大雪と原発事故が重なる複合災害です。訓練は震度6強の地震が起き柏崎刈羽原発の冷却機能が一部、喪失した想定で行われました。原発から約7キロの位置にある下藤井集落。住民たちは一時、集合場所であるコミュニティーセンターへ集まりました。
訓練には柏崎市や刈羽村をはじめ、原発から30キロ圏内にある9市町村の住民約500人が参加しました。住民の受け付けではマイナンバーカードやスマートフォンが活用されるなどデジタル化が図られました。
〈訓練に参加した住民〉
「本番ない方がいいんですけど備えられるように真剣にやっていきたい」
冬場に市町村をまたぐ「広域避難」の訓練が行われるのは初めてです。住民たちはバスに乗り込み避難所へと向かいます。魚沼市に設けられた検査会場。ここではまず住民を乗せたバスの放射線量を測定します。
〈担当者〉
「これからみなさんの体に放射性物質が付いていないか検査をします」
続いて放射性物質が付着していないかを調べるスクリーニング検査です。基準値を超えた場合は被ばくを防ぐため簡易的な除染が行われました。柏崎市から避難してきた入澤さんの姿もありました。ここまでの訓練について…
〈柏崎市から参加 入澤芳博さん〉
「冬期間の避難訓練ということで今回、まったく雪がないわけですよ。ちょっと違和感があります」
ほかの住民からも…
〈訓練に参加した住民〉
「きょうは天気がいいけれども雪があったり真夜中だったりしたらどうなる」
訓練当日は避難ルートに当たる道路に雪はなく、南魚沼市の避難所まで移動は円滑に進みました。雪崩で道路が寸断され集落が孤立したとの想定で自衛隊による除雪訓練も行われました。訓練を視察した花角知事は。
Q)今後に向けてより実際に近づけて…
〈花角知事〉
「これも実際ですよ。(訓練を)雪の時期に設定したということでいろんな条件を考えながら対応力を総合的に上げていく」
訓練を通じて改めて課題も浮かびました。
〈柏崎市 桜井雅浩市長〉
「悪天候の中で特にお年寄りをはじめとした弱者と呼ばれる方々の避難・誘導・安全をどのように確保していくのかがやはり課題ではないか」
〈柏崎市民〉
「このへんは積雪地域というのもありますし、うまくいくかなというところが 一番不安です」
〈小千谷市民〉
「交通渋滞や道路が破損した場合にどうかなと」
柏崎市から避難した入澤さんは…
〈柏崎市から参加 入澤芳博さん〉
「道路もまともじゃないだろうし雪もあるだろうしそういった中で避難というのは困難をきたすのではないか。そこをもう少し改善して対応していただきたい」
大雪と原発事故が重なったとき住民は安全に避難できるのか。県は課題を洗い出し避難計画に反映させていくとしています。