「嘘やろ嘘やろ…」長年愛された店が焼野原に 15棟焼けた臼杵市商店街火事から1週間 再建への道のりは
大分県臼杵市中心部にある商店街の一角で起きた大規模な火事から1週間。長年にわたって地域を盛り上げ愛されている店も被害にあいました。
生活再建にはかなりの時間がかかるとみられますが被災した人たちは前を向いて進もうとしています。
取材しました。
11月24日、臼杵市中心部で起きた火事。「八町大路」という名前で親しまれている中央通り商店街の一角が広い範囲で焼けました。
42の店がおよそ320メートルにわたって並んでいて、風情のある街並みが魅力の観光名所です。市の「景観形成重点地区」にも指定されている商店街は木造の家屋が多く、建物が密集。そのため、火の回りが早かったと考えられています。
11時間以上に渡って行われた消火活動。住宅や店舗などあわせて15棟が焼けそのうち13棟が全焼しました。
◆TOS山路謙成記者
「大規模な火事が起きた臼杵市の商店街では現在も火事の爪痕が残っているただ横の道路はがれきが撤去され、車や人の通行が可能になっている」
火事から1週間が経ち少しずつがれきが撤去されたことで甚大な被害が明らかになってきました。
中央通り商店街は1953年に誕生し地元の人に愛され、にぎわいを生み出してきました。
飲食店や呉服屋などが建ち並んでいた商店街の一角は現在は跡形もなく、焼野原のようになっています。
今回の火事では長年、商店街を支えてきた老舗も被害にあいました。
11月29日、通りには取り壊される建物を撮影する女性の姿が。
◆徳丸香枝さん
「ここで火の手が上がってて電線を通じて(店に)火が移るのが分かったから もしやと思って裏に回り込んで(スマホで)全部撮ってるけど」
お茶の葉やお茶の道具を販売していた「松田玉香園茶舗」の店主徳丸香枝さんです。
◆徳丸香枝さん
「上からだんだん後ろのほうから焼けてくるのを自分の目で見て、もう諦め。なんでこんなことになるのというとこから、嘘やろ嘘やろとそれしかなかった」
およそ60年間にわたって営業していた店は先代の父親から受け継いだ大切な店でした。
店の建物は焼け落ちてしまったほか顧客台帳など大切な資料も焼けてしまったということです。再建するためには相当な費用が必要ですが火災保険に入っていなかったため今後の資金繰りが大きな課題となっています。
60年以上営業しているこちらの眼鏡屋も建物が全焼する被害にあいました。
◆メガネの豊福 山中健一さん
「(家族に)とにかく逃げろと外に出ろとだけしか言えなかったあれ持つこれ持つというのは全く無かった」
店主の山中さんは消防団の分団長を務めていて出火当時は、店のことよりも消火活動を優先。結果、店頭に並んでいた数百本のメガネなどもすべて燃えてしまいました。
長年営業してきた店を突然失うことになった今回の火事。
大きな苦難に直面しながらも取材させて頂いた2つの店はこの八町大路での再建を諦めていません。
◆松田玉香園茶舗 徳丸香枝さん
「絶対、私の使命と思っている。何らかの形でやる、それはもう決めているブレてない。移転する気もないしここで何らかの形で商売をする」
◆メガネの豊福 山中健一さん
「助けてもらえるところはなるべくお願いをして早めの復興するにはどうしたいいか最優先に考えていかないといけない」
ここからは臼杵市が行っている支援策についてみていきます。
まずは生活の再建です。今回の火事で被害にあった建物の中には住宅や、住宅兼店舗もあり住む場所を失った人たちがいます。
これに対し、市は市営住宅の空き部屋を用意していて被災した人は最長1年間、無償で住むことが出来ます。
現在、数件の問い合わせが寄せられているということです。また、住民票や印鑑証明書などの発行は無償で出来るようになっています。
続いてはお店など事業の再開についてです。
市は、被災した人に対するヒアリングを重ねた上で県と協力しながら支援を進めていく方針ですが、補助金の給付など具体的な対応はまだ決まっていません。
このほか市は市役所などに募金箱を設置して義援金を受け付けています。
振り込みでも受け付けていて、振込先は大分銀行、豊和銀行、伊予銀行などご覧の口座となっています
義援金は今月27日まで受け付けているということです。