「営業再開したことを知らない人も」地区唯一のガソリンスタンド 再開1か月で課題も 大分
人手不足などを理由に閉店した大分県中津市耶馬渓町の地区唯一のガソリンスタンド。地域の人たちによって再開して1か月が経ちました。スタンドの現状を取材しました。
中津市耶馬渓町の下郷地区。
5月に営業が再開された地区唯一のガソリンスタンド「末広石油」です。40年近くにわたって住民の生活を支えてきましたが、利用者の減少などを理由にことしの3月で閉店。
しかし、地区にガソリンスタンドは欠かせないとして地元の有志10人ほどが経営を引き継ぎ営業を再開することになりました。
◆地元の有志 中島信男さん
「最低限のインフラが無かったら移住もして来ない」「やっぱり誰かが動き出さないとそれは地域に残らない」
再開しておよそ1か月。平日の午前7時から午後6時まで営業していて1日に20台ほどが利用しています。
乗用車だけでなく農業用のトラクターなどの軽油や、近くの老人ホームへの灯油の配達も重要な役割の1つ。
しかし、営業を再開したことが十分に知られておらず、客の戻りはまだまだだということです。
◆末広石油 吉原準一さん
「うまくいっていないのがやっぱり配達。今まで軽油を配達している客とか、少し配達の数が減ってきている と思うのでその人たちを中心に軽油の配達を開始したよという話しを徐々にしている状況」
ガソリンスタンドの再開を多くの人に知ってもらうため、関係者は地区をまわり定期的にビラ配りも行っています。
◆地元の有志 中島信男さん
「1リットル売っても20円くらいしか残らない。20円残った中から人件費を出すから、もうかることはないが無くなったら困る」
こちらの男性は以前から農業で使う軽油の配達を依頼していましたが、閉店というニュースを聞き頭を悩ませていたそうです。
◆以前から利用していた客
「とにかく無くなること自体が大変な事だと思っていた。その矢先に中島さんたちがこのように復活できたことは大変うれしく思っている」
毎日2人の従業員が手分けしながら1日1日を乗り越えている末広石油。
経営以外にも住民の顔を覚えることや営業再開のPRなどやることは山積みだそうです。それでも住民からの期待に応えるため日々、汗を流しています。
◆末広石油 吉原準一さん
「地域にガソリンスタンドを残してくれたというのが非常に客が感謝している、ここを残してくれてありがたいというのが率直な声。やっぱりうれしいし、何とか地域のために頑張っていきたい」
生活に欠かせないガソリンスタンドですが県内では年々減少傾向にあります。
県石油商業組合によりますとここ10年で、加盟している店の数は430店から341店とおよそ2割減少しています。
ガソリンスタンドが減っている要因について、県石油商業組合は電気自動車が普及し需要が減ったことや店の設備の更新にかかる費用への懸念、後継者不足などがあると話しています。
そうした中、末広石油のように杵築市大田地区でも2022年、地元の人たちが立ち上がって廃業する予定だったガソリンスタンドを引き継いで運営する動きもあります。
人口減少が進む中地域のガソリンスタンドをどう維持していくか大きな課題となっています。