【特集】「LGBTQ」のシンガーソングライター 誰もが自分らしく…歌で届ける19歳 好きにもいろいろなカタチがある
「LGBTQ」と呼ばれる性的マイノリティーの人たちや、障がいのある人、誰もが自分らしく生きることができるように。
そんな思いで音楽活動をするLGBTQ当事者のシンガーソングライターが伊那市にいます。この冬、初めての大舞台に立ちました。
12月15日
「同性愛」173537「同性愛同性愛どうせ愛してもらえないんでしょ」
力強い歌声を響かせるのは伊那市のシンガーソングライター伊東麗奈さん19歳。
麗奈さん
「自分のことも自分で一番好きになってほしい、大切にしてあげてほしいと思います」
12月、南箕輪村で開かれた「REINAMusicFestival」。
麗奈さんが企画した初めての大規模なライブです。
中学時代から通っている音楽教室の仲間たちと一緒にステージに立ちました。
ライブのテーマは「人の数だけ”好き”にも色々なカタチがあるよ」。
伊東麗奈さん
「同じLGBTとか、当事者の方にうちと同じ思いをしてほしくなくて、このライブを通じて、LGBTでも障害でも限らず、10人いれば10色あるし、好きの形にもいろいろな数があるということをテーマにしたいと思って」
麗奈さんは、異性も同性も好きになる「バイセクシュアル」。「LGBTQ」の当事者です。
4人きょうだいの次女として生まれた麗奈さん。
初めて女の子を好きになったのは小学校高学年の時、中学1年生のころ友達に打ち明けたといいます。
伊東麗奈さん
「分かってくれる子たちだったのであ、そうなんだ。いいんじゃない、素敵だねと。もちろんうちもそうかもしれないという子もいて、救われましたね」
一時は周りの目が気になり不登校に。
それでも中学1年で通い始めた音楽教室で歌やギターを習い、ライブで披露したことが自信につながり、再び学校に通えるようになりました。
今も定期的にレッスンを受けていますが、高校を1年で退学したあと、生活が乱れ、音楽教室にも通えなくなった時期がありました。
麗奈さん
「きょうこれママが選んできたの。おとくん好きかなーと思って」
パートナーと出会い、17歳で長男を生みました。この出産を機に再び音楽の世界へ。音楽を職業にする決意が芽生えたといいます。
伊東麗奈さん
「子どもが生まれることをきっかけに、自分自身の人生とかに向き合えたなと思っています」
去年、放課後デイサービスで支援員の仕事をしながら辰野町のライブハウスなどで音楽活動を再開しました。
練習
「オイェー!」「めっちゃよくない?そっちの方が絶対良い!」
ライブ本番まで1週間となったこの日。音楽教室の講師を務めるITOSANが演奏やステージでの見せ方を指導。入念なリハーサルを行っていました。
今回披露する曲の一部は麗奈さん自身が作詞・作曲を手掛けています。
音楽にひたむきに向き合う姿にメンバーは…。
サックス・内田歌穂さん
「彼女の自分が発信することで周りが変わるみたいな、そういう意志の強さとかがすごく伝わってきて、自分というものをすごい持っている」
ライブには同じくレッスン生で中学3年の弟・結斗さん、母の千代美さんも出演します。
結斗さんは自閉症で、養護学校や放課後デイサービスに通っています。
麗奈さん×弟
「もっとできるんだというところをみんなに見せてあげて!パフォーマーとしてがんばって」
伊東麗奈さん
「弟がやっぱり学校とうまくいかなかったり、いろいろなことがあって」
障がいのある子どもを取り巻く環境についても考えてほしい、そんな思いも今回のステージに込めます。
母・三井千代美さん
「学校でも家でもそういう障がいのこと、そういうのを一緒に家族で考えていこう、その子を将来の道を一緒に考えていこうということを積極的にしてもらっているので娘には。(家族の中でも)いちばんひっぱっていってくれるこどもかな。」
12月15日迎えた本番。
会場には、親子連れや教育関係者などおよそ250人が訪れました。
麗奈さん
「みんなの周りにいるいろいろな人たちが笑って生きられるように、世間が思う当たり前をもう一度みなさんと考え直したい」
「姉から弟へ贈る詞」
「君の見える世界は広がっていくよ違ったって恐れないでわかりあえる日がくる君とみんなはつながっているから」
弟・結斗さんを思って作った歌や…。
歌「同性愛」
「同性愛 同性愛 どうせ愛してもらえないんでしょ周りと違うそれがなんだ同性が好きそれがなんだ」
中学生の時に好きになった女の子を思って作ったという歌も。
母の千代美さんはパリージョという楽器でサポートします。
麗奈さん
「自分が好きになったもの、自分が好きになったもの趣味も含めて堂々と生きてほしい、それだけじゃなくて自分のことも自分で一番好きになってほしい、大切にしてあげてほしいと思います」
”なりたい自分になって”そう、力強く語り、歌を届けた麗奈さん。
アンコールには弟の結斗さんをはじめ、音楽教室に通う親子などが登場しダンスで盛り上げました。
「人の数だけ”好き”にも色々なカタチがあるよ」
「人の数だけ好きにも色々なカタチがあるよ。人の数だけ好きにもいろいろなカタチがあるよ」
麗奈さんのオリジナルなど全22曲を歌いあげ、幕を閉じたステージ。
伊那市から(小5)
「ひとつひとつ思いがこもっていて良い歌だったなと思いました。生きていていいんだよという言葉を受け取りました」
南箕輪村から
「自分は自分で良いんだよとまずは子どもたちに伝えていきたいなと思っていますし、いろんな方たちがいるが、みんなと仲良く育ってもらいたいという思い」
”当たり前”にとらわれて苦しい思いをしている人の希望になりたい、麗奈さんはこれからも歌い続けます。
♪Re:start
「すべてのしがらみを捨てて覚悟を力にしてすべてをさらけ出して今から変わろう」
伊東麗奈さん
「自分の人生に少しでもいいので希望を持っていただけたらいいし、それで1人でも救われる人がいるんだったら隠さず全部さらけだしていきたいと思って発信しています」