飯田市と静岡・浜松市結ぶ青崩(あおくずれ)峠トンネル本体が完成 地元悲願 計画から40年「綱引き」で完成祝う 地盤もろく難所の峠 開通すれば山越え40分が7分に!開通時期は未定
長野、静岡、愛知にまたがり、今、工事が進んでいる三遠南信道。全面開通すれば、飯田市中心部と浜松市がおよそ2時間半で結ばれ物流や観光、防災といった面で大きく期待されています。
この工事で、地盤のもろさから一番の難所と言われていたのが、県境をまたぐ青崩峠トンネル。元々ある国道152号は現在通行止めとなっていて、車は迂回ルートとなる兵越峠を通って行き来しています。
青崩峠トンネルは、1983年に事業化されるも当時は技術が足りず工事を断念。「日本のトンネル技術敗退」とも言われ、関係者は涙をのんだわけなんですが、そこからおよそ40年、ついにトンネルが完成し、地元の期待が膨らんでいます。
国道152号の迂回ルートなっている兵越峠。この兵越峠と言えば…。
国盗り綱引き
毎年10月に峠で開催されている「国盗り綱引き合戦」。
飯田市南信濃と隣接する静岡県浜松市水窪町のそれぞれの商工会が、信州軍と遠州軍に分かれて戦い、勝った方が「国境(県境)」を1メートル相手側に移動できるというユニークな行事です。ところが3月2日…。
「いざ勝負!」
「よいしょ!せーのよいしょ!」
いつもとは違う時期、違う場所での綱引き。実はこの場所、完成した青崩峠トンネルの中なんです。
審判
「本日は両軍に花を持たせたい故、1勝1敗にて引き分けといたす!」
この日、完成を記念しトンネル内でエキシビジョンマッチが行われたのです。
「3・2・1、どうぞ!青崩峠道路、青崩峠トンネル、完成でございます」
3月2日、まだ照明のないトンネル内で行われた完成式。
飯田市と浜松市の市長をはじめ、およそ120人の関係者が集まり、完成を祝いました。
長さは4998メートル。計画から40年以上がたつ、地元悲願のトンネルです。
国道152号
飯田市南信濃と浜松市水窪町にまたがる国道152号、いわゆる青崩峠。武田信玄が進軍の際に通ったと言われる秋葉街道の一部で、古くは、海から塩を運ぶ「塩の道」としても重要なルートでした。国道とはいえ、道は険しく、途中で行き止まりに。2018年の大雨で崩落もあり手前で通行止めになっています。
そもそも青崩峠は、岩盤がもろく崩れやすいことから難所と言われてきました。そのため、国道についたあだ名は「酷道」「点線国道」。
地元が綱引き合戦を始めたのも、国道の早期改良をアピールするためでした。
その思いは消えず、トンネル工事は、2019年に再び着手され、おととし5月に貫通。そして3月、完成を迎えました。
今後、開通すれば、これまで40分かかっていた移動が7分に短縮され、遠山郷の祭りや観光地にもさらなる人の流入が期待されます。
天竜商工会 水窪支部 鈴木清孝支部長
「商業、観光のみならず防災とかいろんな意味で交流、地域交流もますますやりやすくなると思いますので、一刻も早い開通を望んでいます」
飯田商工会 遠山郷支部 近藤知典支部長
「ぜひ長野県の玄関口として、地域活性化していけばいいなと思います」
トンネルの名前に、綱引き合戦を思わせるような名前を付けたいという地元の考えもあるようです。
まだ電気設備や、トンネル外の道路工事がまだ残っていて、開通時期については未定だということです。