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「何もかも奪われた感じ」首から下が動かない…新型コロナ後遺症と闘う18歳【長野】

2024年5月9日 19:33
「何もかも奪われた感じ」首から下が動かない…新型コロナ後遺症と闘う18歳【長野】

新型コロナの後遺症に苦しむ岡谷市の18歳の女性。
「後遺症を理解してほしい…」と実名で、現状を訴え続けています。

【母:笑子さん】
「今どこがつらい?」
【山田幸奈さん】
「頭」
【母:笑子さん】
「頭痛い?」「ガンガンする?」

今年のゴールデンウィークは、出掛けることもできませんでした。

【母】
「泣かなくたって」

体の痛みは、この1年半余り、毎日、続いています。

岡谷市に住む山田幸奈さん18歳。
いまは首から下が全く動きません。

医師から、新型コロナウイルスによる後遺症と診断されています。

【山田幸奈さん】
「(新型コロナが)憎いです。」
「何もかも奪われた感じがするから」

移動の際は、双子の弟・幸平さんが介助しています。

【弟・幸平さん】
「一番はやっぱり、前みたいにけんかをしたい。今けんかができていないので」

【幸奈さん】
「ありがとう」
【弟・昌幸くん】
「早く治ってね」

5歳の弟と3歳の妹も1日も早い姉の回復を願っています。

【山田幸奈さん】
「(体に)丸太がいっぱい載っているような感じ」
【母:笑子さん】
「重いから取ってと言って、動くにしても、手をあげるだけでも重いというもんね」

体を動かすことが大好きだった幸奈さん。
幼い頃から発達障害がありましたが、おととし9月、新型コロナに感染してから穏やかな日常が一変しました。

ワクチンは3回接種していましたが、感染直後は40度近い高熱が続き、肺炎を併発して入院。

倦怠感や息苦しさ、味やにおいを感じなくなるなどの症状が現れ、コロナが陰性になったあとも姿勢を保つことさえ難しくなりました。

【山田幸奈さん】
「コロナが憎いと何回も思うけど、私みたいにコロナ後遺症で悩んでいる人がいると思うから、支援を作ってほしい」

幸奈さんの思いは、国会にも…。

【去年10月 参議院本会議】
【立憲民主党 田名部匡代 参院幹事長】
「新型コロナの感染後、後遺症に悩む女子高校生が、実態を知ってほしいという強い思いから実名と顔を出してテレビの取材に応じています」
「私みたいにコロナ後遺症で悩んでいる人がいると思うから、支援を作ってほしい。」

その声に応え、適切な支援医療を受けられるよう、後遺症外来に対する診療報酬の加算措置の2024年4月以降の継続・拡充をはじめ、調査・研究・治療救済体制にも十分な予算措置を講じていただけないでしょうか」

【全国コロナ後遺症患者と家族の会】
「コロナ後遺症で苦しんでいます」

後遺症で苦しむ人やその家族でつくる「全国コロナ後遺症患者と家族の会」。
去年11月に発足し、署名活動を重ねています。

厚生労働省の研究班は、新型コロナ感染後の後遺症について、成人の1割から2割ほどに倦怠感や関節痛などさまざまな症状がみられたとしています。

ほとんどの人は数日から数週間で症状が改善していますが一部の人は長期間にわたり何らかの症状に悩まされることがあるとしています。

会ではこれまで、武見敬三・厚生労働大臣に要望書を提出するなど国に対して休業手当や傷病手当の延長、医療費の公費負担といったセーフティネットの拡充と治療法の早期確立を求めてきました。

【全国コロナ後遺症患者と家族の会 伊藤みか(仮名)代表】
「全然、国がコロナ後遺症に対しての医療確立や治療をしている間の経済的支援というものの特別な手当・支援がないままに来ている」

後遺症に苦しむ岡谷市の山田幸奈さん。
最近は特別な機械を使って、あごの動きで文字を入力する練習も行っています。

幸奈さんには最近、始めたことがあります。
YouTubeに投稿するためのメッセージの編集です。

あごを使ってボタンを押し、文字の入力やアイコンの選択などをして、メッセージをスライドのように編集しています。

スライドにはいまの症状のほか、同じ後遺症で悩む人たちへのエール。
そして、今もなくならない後遺症患者への心ない言葉を受けて、理解を深めてほしいことなどをつづっています。

【山田幸奈さん】
「動画を通して(後遺症で)苦しんでいる人たちにも届いてほしいし」
「応援し合える寄り添えるようになっていってほしい」

新型コロナの感染症法上の位置づけが「5類」に移行して1年。

山田さん一家にとっては、様々な思いがあります。

【父・博章さん】
「生活は変わらない。世間の意識が変わったかなと、だいぶ(危機感が)薄れたなという気がする」
「コロナが今までのインフルエンザとかと一緒かと言ったら、そうではないと考えている」

【山田幸奈さん】
「コロナ後遺症とかで悩んで苦しんでいる人が今後、増えないように支援とか進んでいってほしい」

本来ならば、青春まっただかの18歳。
早く元気に、動けるようになるためにも世の中の理解と国の支援が進んでほしいと願っています。

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