能登半島地震の津波で大きな被害 信州の海「なおえつ海水浴場」浜茶屋 再スタート目指し準備進む 津波対策強化 再びにぎわいを…
特集です。能登半島地震による津波で大きな被害を受けた新潟県・上越市の海水浴場。
“信州の海"とも呼ばれるこの場所に、多くの長野県民に愛されてきた浜茶屋があります。
飯山市のオーナーが津波対策をして迎える今年の海開きへの思いを語りました。
「年配の人が孫を連れてきた場合あそこに腰かけてさ海見られるように少し引っ込めた」
新潟県・上越市の「なおえつ海水浴場」で「浜茶屋むつみ」を営む飯山市出身の宮嶋辰男さん・72歳。
浜茶屋を営み続けて今年で25年目。毎日、飯山市からおよそ1時間かけて浜茶屋の復旧にあたっています。
「ただ今年はちょっと大変かもね。場所を変えたからね長野の人たちが場所を覚えてくれるまでね」
宮嶋さんが復旧に励むこの場所は今年、大きな災害に見舞われました。
「越えた」「津波来てるよ」
今年の元日、能登半島地震で起きた津波。
上越市の「なおえつ海水浴場」では津波が陸をさかのぼった高さは推定で「4.5メートル」。
浜茶屋は7軒全てが被害を受け、被害額はおよそ「1億円」に上るといいます。
去年の夏にはおよそ4万6000人が訪れた「なおえつ海水浴場」。
7月1日には、今シーズンの安全を願う祈願祭が行われました。
被害から半年がたち、がれきなどは撤去されましたが今も津波の爪痕が残っています。
なおえつ浜茶屋組合 桑原尚二 組合長
「行政はじめ関係各所の皆さんのご協力によってなんとかここまでたどり着いたのは本当に感謝しかないです」
元日に起きた津波は地震発生からわずか20分で上越市に到達したたため、海水浴場では、避難路の確保が課題となっています。
「なおえつ海水浴場」は崖の下に位置しているため津波が来た際、高台に避難するには1つのルートしかありません。
遠いところでは、高台まで800メートル以上ある場所も。
来週13日の海開きに向けて上越市は津波対策を強化しています。
上越市 中川幹太市長
「できるだけ上にすぐに逃げられるように避難用の階段を2つ付けさせていただいてすぐに海水浴のお客様たちや従業員の皆さんたちが避難できるような対策を取らせていただいている」
市は素早く避難できるよう崖に2か所、階段の設置を進めています。
上越市 中川幹太市長
「(被災時は)被害がひどくて本当に今年 海水浴場が開けるのだろうかという心配があったんですけども、市と県も努力しましたけどやはり浜茶屋組合の皆さんが尽力してようやくここまで来たんだなということを感じております」
なおえつ浜茶屋組合 桑原尚二 組合長
「津波っていう大きな被害がありましたけど、安心して来れるようにきちんと安全対策をしますのでぜひ遊びに来ていただきたいと思います.ただどうしても今年できないという浜茶屋もありまして。その中でどうやってみんなで工夫してみんなでやるかというのはあるんですけど」
復旧に向けて資金繰りが厳しい浜茶屋もあるため今シーズンは2軒少ない5軒での営業になる予定です。
もともと浜茶屋があった場所からおよそ1.5キロ離れた場所での再建を進める飯山市出身の宮嶋辰男さん。
宮嶋さんが手掛ける「浜茶屋むつみ」は材料費などの費用を削減するため被災した木材を再利用し、300人程度収容できた規模も「200人程度」に縮小しました。
人件費もかけられないため、この日は、兄と2人で、浜茶屋をつくっていました。
「やっぱり長野のいろんな人と知り合えるのがいいよね毎年毎年いろんな話もできるしさ。子どもが中学3年っていえば何歳だい?」
記者「15歳です」
「15歳か…」
「だから20年くらいの知り合いもいるよ。諏訪の人間だけど。そいつも(被災後に)すぐ電話来て、息子も中学3年になったよと。なんか手伝えるから5月の連休に来るって言ったんだけどいいよいいよと。気持ちだけもらっとくと伝えた。だからいろんな人と知り合えて。やっぱなそれは(浜茶屋を)やめられないよな。夏のわずかな間だけでもいろんな人と会話できたりさそれが楽しい。この海は“信州の海”だからさいろんな人が大勢いっぱい来てもらった方がいいから」
“信州の海”に海水浴客の笑顔が戻ってくることを待ち望んでいる宮嶋さん。
ただ浜茶屋は、完璧な状態でオープンできるかはまだ分かりません。
「自分が体続く限りはやるんだっていうのはずっと今まで来たから途中で変えるわけにはいかない。なんとかなるんじゃないか。(開店は海の日の)3連休には余裕だよ」
海開きまで、あと9日。
“信州の海”に再びにぎわいを
宮嶋さんたちの努力が続いています。