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【廃校活用】紫波町で生まれ変わる廃校「保育園」や「バスケットボール教室」に… 廃校を新たな地域の交流拠点に 岩手・紫波町

2024年8月16日 18:52
【廃校活用】紫波町で生まれ変わる廃校「保育園」や「バスケットボール教室」に… 廃校を新たな地域の交流拠点に 岩手・紫波町

(アナウンサー)フカボリです。16日は、廃止された学校、「廃校」の活用について山口記者とお伝えします。

(記者)児童数の減少や校舎の劣化などで、廃校となる学校が全国的に増えています。

 2002年度から2020年度までの19年間で廃校になった岩手県内の公立学校は311校あり、全国で3番目の多さとなっています。

(アナウンサー)こんなにあるんですね。使われなくなった学校施設の活用状況はどうなっているんですか?

(記者)地域によって差があるのが現状ですが、県内でも特に町をあげて廃校の活用を進めているのが「紫波町」です。こちらをご覧ください。

 紫波町では児童数の減少などを理由に8校あった小学校をおととしまでに東西の2校に統合しました。

 そして、町は使われなくなった7つの校舎を取り壊さずに活用する道を選びました。VTRをご覧ください。

 閉校した小学校に子どもたちの元気な声が響きわたります。

 ここは2021年度末に閉校した紫波町星山の旧星山小学校です。

 校舎は2007年に建てられた比較的新しいものですが、児童数の減少などにより統合されることになり、100年以上の歴史に幕を閉じました。

 廃校となった施設は、県内外で保育施設を運営する盛岡市の企業が町から借り受け、ことし4月から保育園として再出発しました。

 その名も、「星山えほんのもり保育園」

 今後、えほんを充実させる予定で、現在は、0歳から5歳までの65人が通っています。

(平賀悦子園長)「素敵な星山の環境で子どもたちが生き生きといっぱい遊べるような環境を作っていきたい」

 木造2階建ての校舎を改修して1階を保育園として活用。

 職員室や教室だった場所を保育の部屋として使っています。

 以前はランドセルが入っていたロッカーですが…、いまはそのまま園児たちの荷物置き場になっています。

 校庭もそのまま園庭になりました。
 
 園庭の畑には、トマトやピーマンなどたくさんの野菜が植えられていて、収穫した野菜は給食で提供する予定です。

(平賀悦子園長)「新園舎にはない歴史が深くあると思うので、少しでも繋げてこれからの時代に向かっていきたい。ここは農保連携ということで農業と保育とで連携しながら子どもたちを育てていきたいと思っていて、子どもたちの生きる根っこをここで育てていきたい」

 一方こちらは、おととし閉校した旧彦部小学校。バスケットボール教室などを運営する企業が旧校舎と体育館を町から借り、練習や交流の拠点、「ヒートコアベース」として活用しています。

 体育館では、バスケットボール教室が開かれているほか、不定期で、地元企業とクラフト市などのイベントを開催していて、賑わいの拠点に生まれ変わっています。

 さらに旧長岡小学校は、校庭として使われていた土地に集合住宅やレストラン、サウナ、農産物などの販売所を建設し、来年春からオープン予定です。

 校舎は改修して、農業や林業などの技術を学べる通信制の学校などが入る予定で、都市部からの移住を目指すとともに、人材育成の拠点としても期待されます。

 使わなくなった廃校を使って地域を活性化するのが、紫波町のねらいです。

(紫波町地域づくり課・川村浩平主任)「すでに活用が始まっている学校に地域内外から多くの人にお越しいただいている。ただ活用するのではなく、地域の産業や人材に寄与するような活用が進んでいき、地域一体となってエリアが元気になる活用がされればいいなと思う」

(記者)取り壊すという選択肢もあるんですが、解体には高額の費用がかかるほか、地域への影響も大きいことから、紫波町では有効活用の道を選んでいます。

 県内では、使わなくなった校舎を道の駅やスポーツ施設に活用している例もありますが、廃校後の対応は全国的な課題となっているんです。

 2002年度から2020年度までに「全国」で「廃校」になった公立学校は、8580校にのぼります。岩手が311校なので、その27倍以上になります。

 8580校の8割以上は校舎が残っていて、多くは公共施設や民間施設として活用されている一方で、1400校以上が「空き家」の状態のまま、活用のめどすら立っていません。

 空き家のままだとどうなるのか、紫波町内の活用が始まっていない廃校を取材しました。

(紫波町地域づくり課・川村浩平主任)「もう物は他の学校に持って行っている。今はこういう状態」

 おととし閉校した紫波町遠山の旧赤沢小学校です。

 旧赤沢小学校は、活用がまだ始まっておらず、町は、民間企業などを募り、活用方法を探しています。

(紫波町地域づくり課・川村浩平主任)「生徒たちの教室になります。見てもらうと何か違和感を感じると思うんですけどわかりますか?」

(記者)「黒板がないですね」

(紫波町地域づくり課・川村浩平主任)「そうなんです。正解です黒板については(統合してできた)東小学校で使っているはずです」

 黒板や机などのまだ使える備品は、統合した新しい学校で使われています。

 「廃校」の維持・管理には年間およそ200万円かかります。放置すると更に老朽化が進み、再利用するのが難しくなってくるため、町ではその前に手を打ち、施設を使い続ける仕組みづくりを用意することが重要だとしています。

(アナウンサー)こんなに立派な校舎が使われずにいるのは、もったいない気がしますね。

(記者)廃校は、災害時には地域の避難所としても利用することができ、今回取材していかに計画的に対策を練るかが重要だと感じました。

 紫波町には県内外からの視察も数多くあるということで、先進的な事例として、県内の他の地域にとってお手本になるかもしれません。

    テレビ岩手のニュース