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【特集】能登被災地で漆芸学ぶ女性 東日本大震災で被災した文化財復旧作業 岩手

2024年9月13日 18:44
【特集】能登被災地で漆芸学ぶ女性 東日本大震災で被災した文化財復旧作業 岩手

 特集は、能登半島地震の被災地、石川県輪島市の研修所で、漆の芸術品を作るための技術を学ぶ岩手県大船渡市出身の女性です。被災した研修所で10月から授業が再開するのを前に、東日本大震災で被災した文化財の復旧作業に取り組みました。

 大船渡市出身の今野風花さん。漆を使った芸術品を制作する『漆芸家』を目指し、花巻市内の作業場で修行に励んできました。

今野さん
「本当に研修所の中にいたら全然できないようなことばかり やらせていただいたので、すごくいい経験になっなと」

 今野さんは、宮城県仙台市の大学で漆芸を学んだあと、さらに技術を高めたいと去年4月、石川県輪島市の『輪島漆芸技術研修所』に入学しました。

元日に発生した能登半島地震。実家に帰省していたため被災は免れましたが、研修所は断水の影響などで休講を余儀なくされました。

 地震の発生から3か月。漆製品の製作・販売を手がける盛岡市の工房などの支援を受け、花巻市内の県営住宅に作業場を設け技術を磨いてきました。

当時の今野さん
「研修所とはまた違う仕事をすることになっていくと 思うんですけど」「これからの作品制作にプラスに生かせるようにしていけたら」

 そんな中、研修所からうれしい知らせが届きました。10月1日からの授業再開です。

今野さん
「今年いっぱいはちょっと動けないかなとは感じてたんですけど」「今年中に石川に戻れることになってうれしく思ってます」

 再開を前に、今野さんが取り組んだものがあります。陸前高田市にある県指定の有形文化財「旧吉田家住宅主屋」の復旧作業です。かつての『吉田家住宅』は仙台藩の所領である気仙郡を治めていた吉田家が1802年に建設。2006年に土蔵など4棟が文化財に指定されました。しかし、東日本大震災の津波で全壊し、今は4棟のうち、『主屋』1棟の復旧が進められてます。

 今野さんが担当したのは、集会所にあたる『大所』の引き戸、10枚の漆塗りです。新聞で今野さんを知った市の教育委員会が依頼しました。

今野さん「緊張感ありますね。運ぶのにもすごい気を遣いますし…」

ムラが出ないように素早く丁寧に。室温や湿度にも気を配ります。東日本大震災の時は小学5年生。高校を卒業してからは岩手を離れていた今野さん。それだけに、この作業には思い入れがありました。

今野さん
「大船渡とか高田とか気仙の復興に携わるっていうことはないだろうなってずっと思っていたので」「地元の復興の事業の一部に関われたことは光栄なことだと思いますね」

 待ちわびた授業の再開。支えてくれた人たちへの感謝の思いとこの場所で得られた学びを糧に一人前の職人を目指します。

今野さん
「私の人生の中でも結構、濃い経験ができた期間だったので、本当に感謝してもしきれないかなと」「研修所では蒔絵を頑張って身に付けたいなと思っているので、その技法を使って将来的に(作品を)制作していければなと思っています」

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