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【特集】早稲田大学応援部・宮古で夏合宿 東日本大震災被災地復興にエール 奮闘に密着 岩手 

2024年9月18日 18:49
【特集】早稲田大学応援部・宮古で夏合宿 東日本大震災被災地復興にエール 奮闘に密着 岩手 

特集です。早稲田大学応援部の夏合宿がことしも岩手県宮古市で行われました。東日本大震災の復興支援も兼ねたこの合宿、中には岩手出身の部員もいます。奮闘に密着しました。

♪コンバットマーチ

名門、早稲田大学応援部。1940年の創部で、主に東京六大学野球や箱根駅伝など、大学に所属する運動部の応援を行っています。

早稲田大学応援部は東日本大震災の被災地、宮古市で中学校の体育祭を激励したことがきっかけで、ここ数年、復興支援を目的に、夏合宿を行っています。

8月27日、夏合宿の入館式。大漁旗が部員を乗せたバスを出迎えました。

部員「失礼します!」「失礼します!」パチパチ…

早稲田大学応援部は、応援団で知られるリーダーのほか、吹奏楽団、チアリーダーズの3部門で構成されていて、ことしはおよそ170人が夏合宿に参加しました。

星野主将あいさつ「宮古市の恵まれた練習環境、温かい食事、そして温かい町の皆様に囲まれながら本年度も我々応援部は大きく成長できると感じております」

盛岡市出身でリーダーに所属する小林櫂さん。現在、2年生です。新入生歓迎会で見たパフォーマンスに魅了され、去年、応援部の門をたたきました。

小林さん
「大学で部活動としてやる際に、やはりかっこいいと思えるのが一番と思ったので」「自分も、もう一個殻を破れるように成長する」

早稲田大学応援部の夏合宿は8泊9日。リーダーは、宮古市の地形を生かした走り込みや、景観を見つめながら歌の練習などを行い、「自らの限界を超える」ことを目指して体力や精神力を鍛え上げます。吹奏楽団やチアリーダーズも、演奏やパフォーマンスの向上を目指して取り組みます。

小林さんには、応援部の幹部も期待しています。

松島一彦総合監督
「(小林君は)体は大きくないがガッツがありまして、新人の時から」「この1年で、特に夏合宿で大きく成長した。もともと精神的に強い子ですから、今後も期待していますけれども」

夏合宿の中盤、8月30日。田老第一中学校で、応援の披露が行われました。開演前。小林さんは舞台裏で、振りの確認に余念がありません。

小林さん「・・・エールが2・・・」

ステージ上に、独特の緊張感が広がります。

いよいよ開演です。

応援♪「紺碧の空」

この日は、地元の中学生およそ45人に、応援曲のメドレーなどを披露しました。

パフォーマンスのお礼に、中学生から大学応援部へエールが送られました。田老一中のエールでは、「これまで津波の被害を幾度も乗り越えた」という校歌の一節を歌うのが伝統です。

エール「試練の津波 幾たびぞ乗り越えたてし わが郷土」父祖の偉業や 跡つがん

小林さん
「(震災で)つらい思いをされた方にも早稲田大学応援部のステージやがんばっている姿を見てもらって、勇気づけられればいいなと思っています」

9月1日。夏合宿の成果を市民に披露する「ふれあい発表会」の日を迎えました。小林さんは応援団の備品管理の責任者。準備のため、朝から会場を縦横無尽に動き回ります。

小林さん
「両親も野球のリーグ戦に呼んだことがなくて」「活動している姿を見せる初めての機会なので、」「自分が成長した姿を見せられるようにがんばりたいと思っています」

盛岡市に住む小林さんの祖父母が、応援にかけつけてくれました。

チアリーダーズ2年、宮本美幸さん。久慈市出身で、4歳で始めたモダンバレエの経験をチアリーディングに生かしています。

宮本さん
「地元に帰ってきて演技を行うことができて、すごく感慨深い気持ちで」「感謝しています」

午後1時半。発表会が始まりました。早稲田大学の応援歌、「紺碧の空」では、小林さん、まずは太鼓を担当する部員が正確にたたけるよう、耳元で声を出してリズムをサポートします。

♪「紺碧の~空~」

応援曲のメドレーでは自ら太鼓を打ち、応援への熱い思いをぶつけます。

「校歌~」

最後の曲は、早稲田大学の校歌。小林さん、宮本さんともに、精いっぱいのパフォーマンスを披露します。

♪「早稲田、早稲田、早稲田、早稲田、早稲田、早稲田、早稲田~」

はつらつとした表情の小林さん。新たな達成感を得られた発表会でした。

市民
「すごく学生さんたちのエネルギーをいただきました。感動しました」「がんばろうという気持ちになりました」

小林さん
Q、すごい汗  A、そうですね Q、どうでしたか、きょうの演奏は?
A、 そうですね、体育館だから難しかった。反響するんで
Q、楽しかったですか? A、 そうですね、はい

発表会終了後、会いに行くと、小林さんの祖母はお土産を用意してくれていました。

小林さん
「そうですね、初めて祖母に見せるので、がんばっているところを見せられればいいなと思って」

小林さん祖母
「実際に見るのは初めてです」「いやぁ、迫力あってね。すごいです。どきどきしている」「一生懸命太鼓をたたいているから、がんばっているなと思いました」

チアリーダーズ2年の宮本さんも、全力で応援に取り組みました。

宮本さん
「地元の方々の温かい雰囲気や笑顔、拍手でむしろ私の方がエールというかすごく元気づけられて」「地元に恩返しできるように、還元していけるようにがんばっていきたいなと思いました」

9日間の日程を終え、応援部の今年の夏合宿は幕を下ろしました。小林さん、表情がひときわ引き締まったように見えました。

小林さん
「実りある合宿になったと思う」「目標が完全達成はできていないので、これからまた頑張りたい」

宮古の自然に抱かれながら、夏の暑さや厳しい練習に打ち勝ち、新たな力をたくわえた早稲田大学応援部。部員の力を発揮する秋のシーズンは、すでに始まっています。

早稲田大学応援部が登場する東京六大学野球、秋のリーグ戦は14日から始まっています。応援部の皆さんには夏合宿の成果を存分に発揮してほしいですね。

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