【地元のとっておき】宮大工が手掛ける繊細なクラフト作品 伝統と感性 岩手県軽米町の工房
北海道と東北の系列局が取材した「いまオススメ!地元のとっておき」です。
岩手からは職人の男性がレーザー加工機を使ってつくる繊細なクラフト作品です。
木の板にレーザーを照射し、非常に細かい抽象的な連続模様や彫刻を施すと…
完成したのはオシャレで魅力的なコースター。
テレビ岩手 古舘友華キャスター
「繊細な模様のこちらのコースターをつくっているのは宮大工職人です」
(ウグイスのさえずり)
岩手の県北にある軽米町。
コースターをはじめとしたクラフトを作っているのが、安藤 賢(まさる)さんです。
安藤さんの本業は宮大工。
神社や仏閣の建築、修復を行っています。
安藤 賢さん
「やっぱり曲線のついた材料って本当に多いので、あと単純に一方向に対して反っているだけじゃなくて、二方向にねじれながらだとか、すごく立体的な形の材料を削り出していったり」
宮大工は伝統技法を使い、精巧な建築物を作るため、細かい作業が要求され、高い専門知識とスキル、さらに体力や集中力も必要です。
安藤さんは元々CGが得意で、新しいことに挑戦しようと始めたのが、レーザー加工機を使ったクラフト作りでした。何を形にしたかというと…
安藤賢さん
「日本の伝統文様。麻の葉とか、青海波とか、七宝とか、もっといっぱいいっぱいあるんですけど、伝統文様ってすごい繰り返しの模様なんで、面白いんですよね」
例えば、麻の葉文様は…
安藤 賢さん
「いろいろな形の麻の葉があるんですけれども、どういう風にアレンジしてもまとまりがよくおさまってくれて」
使う木材は自分の山から切り出したサクラの木。
自分で板を作り、乾燥させて使っています。
レーザー加工機でのものづくりは、非常に繊細で精巧なデザインが可能で、スタイリッシュな作品が出来上がります。
古舘キャスター
「あっという間にコースターの柄が出来上がってきます」
麻の葉文様をモチーフにしたもの以外にも、様々なデザインを施した数々のコースター。
バリエーションは50種類を超えるそうです。
素材が非常に軽いのでピアスなどのアクセサリーにもぴったりです。
ブローチやペンダント、キーホルダー…さらに髪飾りやかんざしなどもあります。
古舘キャスター
「実際にかんざしを付けてみました。とても軽いですし、風に揺れる感じもかわいらしい」
いまは新しい作品づくりに取りかかっています。
試作しているのはパネルを組み合わせた照明器具。
伝統文様から漏れてくる明かりが、どことなく温もりと優しさを感じさせてくれます。
この日 安藤さんは、新しい素材を手に入れるため、ある場所へ。
安藤 賢さん
「漆の木を譲ってもらいに行きます」
向かったこの工房は、漆の生産から管理までを一環して行っています。
取締役副社長 漆生産部門 総責任者 福田達胤さん
「(かき終わった)漆の木って建築材にしては弱い強度だし、薪材くらいしか使い道がなかったのがすごくもったいないと思っていたので、こういった風に活用していただけると資源が循環するし、無駄なく使えるじゃないかなと思ってます」
安藤 賢さん
「金色ですね、これは」
漆の木は、柔らかく強度はないものの、優しい手触りで、色はきれいな黄色でした。
その木目を生かした作品づくりに取り掛かります。
安藤 賢さん
「ちょっと蛍光の黄色ですけど、色が落ち着いて本当の金色的に見えて、上品な感じがしますね」
漆の木の個性を生かした試作品。
漆の木が多いこの地方の特産品にもなりそうな作品です。
安藤 賢さん
「できるだけ精密に繊細にできるかというのは常々考えながら、自分らしいデザインで作品をつくれたら」
安藤さんは伝統を大切にしながら、新しい感性の作品を次々に生み出しています。