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<大船渡・山火事>専門家が指摘する「樹冠火」の可能性 8年前の釜石の山林火災と共通点か

2025年3月4日 19:20
<大船渡・山火事>専門家が指摘する「樹冠火」の可能性 8年前の釜石の山林火災と共通点か
今回の山林火災、
なぜ、ここまで延焼が
   拡大しているのでしょうか。

(古舘)
専門家に聞くと、8年前に釜石で起きた大規模な山林火災との共通点が見えてきました

あす5日で発生から1週間となる大船渡山火事。専門家は現状をどのように捉えているのだろうか。

<京都大学防災研究所 峠 嘉哉 特定准教授>
「初日で600ヘクタールが焼けるという延焼の速度や、延焼の大きさに非常に驚いている」

大船渡の山林火災について、京都大学防災研究所の峠嘉哉特定准教授は「8年前(2017年)に釜石市で起きた尾崎半島の山林火災と共通点がある」と指摘する。

<京都大学防災研究所 峠 嘉哉 特定准教授>
「釜石の事例も出火当日に数100ヘクタール焼けた。では、釜石の時にどういう焼け方をしたかと考えると、<樹冠火(じゅかんか)>というのが起こっていたという風に考えています。」

2017年、釜石市の尾崎半島で起きた山林火災では、10日以上にわたって延焼が続き413ヘクタールが焼失した。

峠特定准教授によると、年間1000件以上発生している山林火災のほとんどは、地表の枯れ葉などが燃える<地表火(ちひょうか)>で、この場合は延焼速度が遅いのが特徴。
一方、釜石市の尾崎半島では地表火が強くなって木の上の葉まで燃え、さらに、隣の木に次々に飛び火して燃え広がる<樹冠火>になったとみられ、今回の大船渡の山林火災もその可能性があるという。


<京都大学防災研究所 峠 嘉哉 特定准教授>
「出火した日はとても風が強い日でして、強風が吹くと延焼速度が速くなるので、大規模化した要因として確実に一つある」

大船渡市赤崎町の合足地区で最初に火の手が上がったのは、6日前の先月26日午後1時頃。当時の映像からも青いシートがめくれ上がるほど強い風が吹いていたのがわかる。大船渡の最大瞬間風速は18.1mで、火はこの日のうちに、一気に600ヘクタールまで燃え広がった。

風がどれほど火災に影響するのか実験した映像では、山林に見立てた斜面の模型で風がない状態で火をつけると、炎は真上に向かい、隣の木まで燃え広がることなく弱まった。
一方、風速10m相当の風を送ると、火は風下に流され、勢いよく斜面を下って燃え広がっていった。

また、峠特定准教授は、大船渡の山に多く植えられている「スギ」は葉に油分を含んでいるため、燃えやすいと指摘する。
そして、リアス式海岸の勾配が火災現場での消火活動を困難にしている。

<京都大学防災研究所 峠 嘉哉 特定准教授>
「あす(5日)まとまった雨が降る予想ですので、雨が降れば当然火の勢いは比較的収まりますので、それが一気にきいてくれることを願う」
最終更新日:2025年3月4日 19:20
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