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住民たちの集団移転先の希望は 大雨で浸水被害の戸沢村蔵岡地区 思い思いの年明け

2025年1月9日 17:50
住民たちの集団移転先の希望は 大雨で浸水被害の戸沢村蔵岡地区 思い思いの年明け

戸沢村の蔵岡地区は去年7月の大雨で集落全体が大きな浸水被害を受けました。相次ぐ水害を受け、地区の「集団移転」に向けた検討が進められています。避難生活を余儀なくされさまざまな思いを胸に年を越した住民たちの声を取材しました。

元日。外は吹雪の中、戸沢村の仮設住宅では60人近くの住民が新年を迎えました。

「正月っていう気持ちじゃないです。誰だってそうだと思うよ仮設住宅にいる人たちは」

77歳の青柳常晴さん。大雨によって自宅が浸水被害に遭い、去年10月から仮設住宅での1人暮らしを余儀なくされています。

「これみんな水をくぐったんだ 全部これは家の脇 これは裏酷かったよ 本当に」

去年7月の大雨で、69世帯が住む集落全体が大規模な浸水被害を受けた戸沢村蔵岡地区。地区はこれまでにも大雨災害にたびたび見舞われてきました。

相次ぐ深刻な水害を受け、村は、蔵岡地区のより安全な高台への集団移転を目指し、国や県と協議を進めています。去年9月集団移転について地区住民を対象に行った無記名のアンケートでは、およそ9割の住民が移転に「賛成」を示しました。そしてこの年末年始。住民に対し、集団移転先の希望などを問う意向調査が行われています。

青柳睦さん「父親ひとりに任せるわけにはいかない。家族なので話し合って決めないといけない部分も多いので」常晴さん「自分だって長生きはできないだんだん息子の時代になる」

青柳さんは元日に回答しました。一緒に暮らすことになる息子の睦さん(48)と相談しながら移転先や建物の敷地などの希望を用紙に記入していきました。

「(移転先は)「村内」」「(村内に)丸つけてや」「坪数は 50坪」「敷地だぜ?」「畑も必要だからな100坪にするか」「車庫 要る」「うん こんなもんだべな」

青柳常晴さん「蔵岡に未練がないかといえばあるよ。小学1年生の時に来た。蔵岡の養子になって71年。今まで住んでた蔵岡の年寄りは亡くなったけど大事にしてもらったからね。蔵岡の河川敷を見ればいろいろ思い出すだろうし小さい頃のことそれが一番未練だね」

安全な暮らしを求める思い、一方で感じるふるさとへの未練。蔵岡の住民は今、その狭間にいます。

蔵岡地区を離れ村営住宅に避難した柳田雅志さん(31)の一家。1月6日。柳田さんは家族とテーブルを囲み、アンケートに回答しました。
4人の子どもたち、そして、妻・まゆみさんのお腹には新しい命が宿っています。

「祖父母が高齢だし子どもが小さいし移転先は交通の便がちゃんとしていないと」「何かある? 子どもたちは」「近くに公園があるといいなとか」「いい!」「公園は小さくてもできたらうれしいよね」

子どもたちは冬休み中、蔵岡に今も住む祖父母の家へ遊びに行きましたが…。大雨の記憶は子どもたちにも色濃く刻まれています。

「冬休みは蔵岡の家に遊びに行ったりした」「トランプしたばばとじじと」「泥とかも天井に残っていた」

柳田まゆみさん(38)「一番下の子がまだ1歳なんですけどあまり喋られないのに雨ざーざーだけ上手なんですよ喋り方が。怖い思いをさせたくないという思いだけ」

柳田雅志さん「自分たちが今住んでいるのも自宅ではない。迅速に検討してもらえると助かる。すごく時間がかかること私たちも生活再建が早く進むようにしていかなければならない」

住民たちはさまざまな思いを胸に、集団移転の行方を見守っています。

最終更新日:2025年1月9日 19:58
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