消防に救助要請もすぐに対応できず 新庄市で警察官2人が流され死亡した事故 県警が事故状況報告
ことし7月の記録的大雨でパトカーが流され警察官2人が死亡した事故をめぐり、山形県警察は2日、事故発生前後の詳細な状況を明らかにしました。パトカーが流された後、警察が消防に2度、救助要請したものの、他の救助活動が重なり、すぐに対応できない状況だったことがわかりました。
ことし7月25日の記録的な大雨の際、救助要請を受けてパトカーで現場に向かった警察官2人が新庄市本合海で氾濫した川の濁流に流され、死亡しました。この事故を巡り、県警察本部の鈴木邦夫本部長は、警察や消防の通信記録、それにパトカーのドライブレコーダーなどの分析から分かった事故当時の状況を県議会議会運営委員会で報告し、明らかにしました。
報告によりますと、死亡した2人は7月25日午後11時ごろ、大蔵村で車の交通整理に当たっていました。午後11時半すぎ、「一般の人からの救助要請が入った」という無線を受けた2人は現場に向かい、その2分後には冠水した道路に入っていたということです。
その後、車をバックさせましたが脱出できず、その間、水位は次第に上昇し、80センチほどの高さまで達したということです。午後11時43分、2人から「パトカーが流されている」との110番通報があり、新庄警察署はその9分後と18分後の2回、消防に警察官の救助要請を行いました。しかし、県警によりますと、消防からは「他に救助する現場が重なりすぐには対応できない」と連絡が入ったとしています。
消防がパトカーが流された現場付近に到着したのは2人からの110番通報のおよそ50分後でした。しかし、このときはパトカーを発見できなかったということです。県警によりますと、今回の大雨現場での活動については、2人がパトカーで出動する前に新庄警察署の署長から「交通事故に気を付け、無理なく活動するよう」指示が出されていたということです。
一方、県警察には大雨災害を想定した初動対応のマニュアルはこれまでなく、県警は今後策定する方針です。