北海道産サクランボへのシフトを懸念 山形県産サクランボの暑さ対策急務を実感
収穫量日本一を誇る山形県産サクランボはことし、6月の暑さの影響などで、収穫量が過去最低の水準となる恐れが出ています。こうした中、県議会議員の1人が収穫量全国2位の北海道のサクランボ生産者を訪問しました。生産の現場で危機感を抱いたといいます。
天童市川原子のサクランボ畑です。
森谷仙一郎さん「今までの中ではなり方は極めて良くない状況」
県議会議員の森谷仙一郎さん。議員になる前は、25年ほどにわたりサクランボの生産者として携わり、今は子どもが引き継いでいます。
県産サクランボは今シーズン、去年夏の猛暑の影響で実が2つくっついた「双子果」が多く発生しました。さらに、6月中旬の収穫時期に暑さが続いた影響で、実が熟して柔らかくなる高温障害が発生。収穫量は霜の影響で過去最低水準となった2021年を下回る恐れが出ています。
森谷仙一郎さん「暑さが1日くらいだと良かったが、1週間くらい続いた。大変でした。まさしく収穫最盛期だった」
森谷さんは県議会6月定例会で、県に訴えました。
森谷仙一郎さん「山形県のサクランボ農家を支援してほしい、そこなんですよ」
県内の状況に危機感を抱き、7月15日から北海道のサクランボ生産の現場を訪れました。北海道のサクランボの収穫量は全国の8%ほど。都道府県別では、山形県に次ぐ全国2位となっていて、近年、知名度も高まっています。
森谷仙一郎さん「山形県のサクランボが今回、不作という中において、大きく危機感はあった。もしかすると、産地が移動してしまうのではと、そんなことを思いながら、北海道にお邪魔させていただいた」
森谷さんが訪れたのは、北海道の南西部にあるサクランボの主産地、仁木町です。現地では、このときサクランボ収穫時期の終盤を迎えていました。現地の生産者から聞いたのは、山形のサクランボが不作だった影響で、北海道産サクランボの需要が増えているという話でした。
森谷仙一郎さん「山形から来ましたというと、本場ですねと、そしてすぐ言われたのがことし大変でしたよねと。出荷の方もそうですが、サクランボ狩りのお客さんも急に大阪からおいでいただいたとか、当然関東の方からも飛行機ですから、行先を山形などから変えればいいわけですから」
近年、県産サクランボが霜や高温の影響で不作となる年も出ている中、北海道産サクランボの存在感が増していくことを懸念しています。今回の訪問を通じて、山形県産サクランボが天候に左右されずに収穫量を安定させることができるよう対策の重要性を再認識したといいます。
森谷仙一郎さん「山形県は絶対にサクランボをならせなければいけない使命を持っていると思う。行政や農協からの情報を的確に農家に入れてそれを受け取って作業に移す、こういったことを山形県は絶対に忘れてはいけない」
県は、高温への今後の中長期的な対策として、高温障害を防ぐための技術開発や高温にも適応が可能な品種への転換を進めることなどについて検討を行うとしています。森谷さんの園地でも、佐藤錦の一部の木を伐採し、紅秀峰など暑さに強いとされる品種への転換を進める考えです。
森谷仙一郎さん「いまは8割程度は佐藤錦、それを半分くらいまで減らさないと、ことしのような天候の場合、厳しい。幾分実が硬い紅秀峰、またはやまがた紅王に変えていくという感じになる」
近年、毎年のように続く猛暑。「日本一のサクランボ県」を今後も長く維持していくため、行政や生産者らが一丸となった対策が求められています。