ベルギー出身の夫婦が山形県内に移住 真室川町で大豆栽培など農業体験
山形県真室川町にことし5月、1組のベルギー出身の夫婦が移住しました。町内の農家のもとで農業体験をしながら田舎暮らしをする夫婦の1日に密着しました。
10月25日、真室川町平岡にある高橋伸一さんの大豆畑です。ここで、ことし8月から農業体験をしているのがベルギー出身で日本国籍をもつフィービー・中村さん(25)とレジス・デクーンさん(26)夫婦です。
レジスさん「高橋さん、なんで葉っぱを切るんですか?」
高橋さんの父 健さん「家に帰って持っていくとゴミになってしまう。畑に置いていくと来年の肥料になる」
2人はことし5月に真室川町に移住。その後、町の「地域おこし協力隊インターン研修生」として3か月の任期で町内の農家のもとで野菜の栽培を学んでいます。ベルギーでは、食材に大豆を使う文化がないため、ここでの経験は貴重だといいます。
フィービーさん「ベルギーで大豆の収穫なんて絶対できないし麦とかはあるが機械が多いしどうやって収穫しているのかを見られていい」
フィービーさんとレジスさんの出身地は日本からおよそ9500キロ離れた西ヨーロッパの国ベルギーです。面積は日本の12分の1ほどで、人口は1170万人です。
日本人の母親とベルギー人の父親をもつフィービーさんは2018年にベルギー人のレジスさんと交際を開始。2人はベルギーの首都ブリュッセルで生活していましたが、農薬などを使わない自然農業ができる環境で生活がしたいとの思いとフィービーさんの母のふるさと日本への興味から3年前に一度、来日しました。移住先を探す中で山形県庁を訪れた際、職員が2人をあたたかく迎え入れてくれたことが山形への移住を決めたきっかけになったといいます。
フィービーさん「急に私たちが来たのにお茶を出していただいたり話を聞いていただいたりして興味を持ってもらえているという気持ちを受けた」
その後、2人はベルギーに一時帰国し、おととし結婚しました。
そして、山形市の移住コーディネーターから真室川町に農薬を使わない栽培方法などに取り組む農家が多いことを教えてもらい移住を決め、コロナ禍を経てことし移住しました。
フィービーさん「ベルギーではあまり山が無いのであんな山に囲まれている感じは安心する。見守られている感じ」
レジスさん「真室川町はとても静か。住んでいたベルギーのブリュッセルはにぎやかすぎ。 真室川町や最上郡はとてもいい」
この日、フィービーさんたちは大豆のほかに落花生の収穫も手伝いました。研修先として2人を受け入れている生産者の高橋さんは、町内で200種類以上の農作物を栽培している達人です。
フィービーさん「落花生って花の漢字が入っているのは?」
高橋伸一さん「黄色いかわいい花が咲くが 花が咲いたあとに根が伸びて地面にささっていく。ここが膨らんでピーナッツになる」
高橋伸一さん「実を取るときもなんでこの実は取ってこの実は取らないのかとか細かいことを今度自分たちが農業をするようになった時にできるように細かく作業の手順を積極的に聞いてくれる」
3時間ほど作業をしたあと、高橋さんからピーマンやナスなどの野菜をおすそ分けしてもらいました。
午後5時。自宅に戻ったフィービーさんとレジスさんは夕食の準備に取りかかります。この日のメニューは、先ほど高橋さんからもらった野菜を使った一品のようです。
フィービーさん「ヨーロッパ風にパスタを作ろうと思っているが日本風にアレンジしておそばでパスタの代わりを」
レジスさん「いい匂い。おいしそう」
こちらが完成した創作そば料理です。ピーマンやナスが鮮やかなハーブの風味が効いた和と洋のコラボレーションメニューに仕上がりました。
「いただきます。おいしい」
真室川町に来てまもなく半年。フィービーさんたちの食に対する考え方にも変化があったと話します。
フィービーさん「ここに来ていいなと思ったことが夕飯を食べる時にこれはこの人にいただいたものだねと。毎回わかるものが多くていただきますの気持ちが今までとは全然違う。農家さんのことを思っているから」
食後の楽しみがチョコレートです。ベルギーでは、ほとんどの人が1日に1度はチョコレートを口にする習慣があるといいます。
フィービーさん「食後にはとにかく甘いものが必要」
2人に今後の目標を聞きました。
レジスさん「農業をしながら畑の隣にカフェを作りたい」
フィービーさん「カフェでおいしいものも食べられるし人と話をすることが好きなので話をしてお客さんをサポートしたい。コミュニティとしてにぎやかであたたかいところができれば」
フィービーさんとレジスさんはこれからも農業の技術を学びながら自然豊かな山形での生活を楽しみたいと話しています。