トランプ氏、施政方針演説で“関税引き上げ”成果をアピール 輸出に打撃…カナダでは「反発」の動きも
アメリカのトランプ大統領が4日、施政方針演説を行い、関税の引き上げなどを成果としてアピールしました。その“トランプ関税”が始まったカナダでは、さっそく反発の動きが出ています。
◇
「アメリカ合衆国大統領です!」
大歓声に迎えられた、アメリカのトランプ大統領。臨んだのは、第2次政権発足後、初の施政方針演説です。
トランプ大統領
「国民のみなさん、アメリカは戻ってきた!」
演説のテーマは、「アメリカンドリームの再生」。まさに、夢のような発言も飛び出しました。
トランプ大統領
「人類を宇宙へと導き、火星やそのはるか彼方(かなた)にアメリカの国旗を立てるつもりだ」
トランプ氏の発言に応じてたびたび巻き起こる拍手喝采。しかし、議席を見ると、そのたびに立ち上がっていたのは、与党議員だけでした。
政権の最優先事項の一つとして経済対策を挙げると、関税についても言及。
トランプ大統領
「他国は何十年もの間、アメリカに関税をかけてきた。今、我々がそれをかける番だ」
日本への関税も引き上げる可能性を示唆しているトランプ氏。4日からは、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を課しています。
末岡寛雄記者(カナダ・ウィンザー、4日)
「アメリカとカナダを結ぶ国境の橋、引っ切りなしに大きなトラックが行き交っています。物流の大動脈であることがよく分かります」
工業製品や農作物などの約75%をアメリカに輸出しているカナダ。取材したホンダの自動車の部品を製造する工場では、全ての製品をアメリカに輸出しているといいます。
工場のオーナー
「関税の影響は、もろに受けます。今後、部品の生産拠点がアメリカに変えられてしまう可能性もあります」
別の会社に勤める知人からは「会社が1週間以内に閉鎖するかもしれない」という話を聞いているといいます。
打撃を受ける輸出産業。一方、街のスーパーでは、ある取り組みが。
末岡寛雄記者
「こちらのスーパー、商品が並べられているのですが、値札を見ると、カナダ産の商品にはメイドインカナダのシールが貼られています」
どれがカナダ産の商品か、分かりやすくしていました。
スーパーの客
「オレンジが大好きなんですが、アメリカ産は買いません。今はトランプ氏を支持したくありません」
ただ、アメリカから輸入している商品も多い、このスーパー。カナダが対抗措置としてアメリカ製品の一部に25%の関税を課すことを明らかにしているため…
スーパーのオーナー
「(関税で)アメリカから買う、全てのものの価格が上がります。それは消費者に負担してもらうしかありません」
市民からは、戸惑いの声が。
スーパーの客
「私たちは昔からアメリカと友好的な関係を築いてました。なぜトランプ氏はこのような溝をつくろうとするのでしょうか」
◇
“アメリカンドリーム”に向けて、突き進むトランプ氏。今回の演説では、先週、会談中に口論となった、ウクライナのゼレンスキー大統領から、“重要な手紙”を受け取ったことも明かしました。
トランプ大統領
「手紙には『ウクライナは恒久的な平和に近づくために、できるだけ早く交渉のテーブルに着く用意がある』と書かれていた」
戦争を終わらせるためロシア、ウクライナ双方と話し合う必要があると改めて強調しました。
(3月5日放送『news zero』より)