「自爆営業」はパワハラ 厚労省が防止法指針に明記へ 山形県内でも経験4割
皆さんは、「自爆営業」という言葉を聞いたことはありますか?これは、会社側がノルマを達成させるために社員に自腹で契約を結ばせたり自社の製品を買ったりすることを強いる行為を指しています。厚生労働省はこのほど、自爆営業がパワハラ・パワーハラスメントに該当する場合があるとして、法律に基づく指針の中に明記する方針を示しました。
番組では、YBCアプリで自爆営業を経験したことがあるかどうかアンケートを実施しました。
アンケートには1088人の方に回答していただきました。アンケートでは、「経験したことがある」、「周りで見た・聞いた」、「経験したことがない」、「こういった行為を知らない」の4つから選んで回答していただきました。
「自爆営業を経験したことがある」と回答した人は242人で、全体のおよそ2割に当たります。また、「周りで見た・聞いた」という回答もおよそ2割に当たる224人から寄せられました。一方、「経験したことがない」と答えた人は433人、「知らない」と答えた人は189人でした。
「経験したことがない」、「知らない」と答えた人はあわせて全体のおよそ6割。一方、自身が経験したり周りで行われていたと答えた人は4割に上りました。アンケートの回答を見ると、県内でもいわゆる「自爆営業」が少なからず行われていた、あるいは行われていることがうかがえます。
アンケートに寄せられた「自爆営業」の具体例をいくつか紹介します。
食品小売業に勤務した経験がある複数の方から「毎年、クリスマスケーキやうな重、恵方巻などを多く買わされた、買わされている」といった声が寄せられました。
また、自動車販売店で働いていたという米沢市の40代の男性は「勤務していた20年前、車を2台購入させられた」。保険外交員をしていたという山形市の60代女性からは「知人などに保険へ加入してもらい、保険料を自腹で支払った」といった声が寄せられました。
一方、連合山形によりますと、県内ではことし9月までの1年間に自爆営業に関する相談は寄せられていないということです。全国で見ても10年ほど前に6件寄せられたのみだったということです。
企業のハラスメント対策に取り組む団体「日本ハラスメント協会」は、「自爆営業」は苦しんでいても相談しづらいという特徴があると言います。
日本ハラスメント協会 村嵜要代表理事「自爆営業は個人の成績が著しくなかった場合にやむを得ず自分で購入する行為。成果が出ないのは自分自身に問題があるといわば会社内で洗脳されている状態。自爆営業をすると実際の給料は減ってしまうがそれでも職を失うことと比較した場合には自爆営業をして給料が減ってでも今の会社にいる方がましという判断になってしまう。企業にとって従業員も客も確保することができる、企業にとって都合がよすぎるのが自爆営業」
日本ハラスメント協会代表理事の村嵜要代表理事は「自爆営業は『従業員が自主的にやった』という企業側の言い分が通りやすい現状がある」と指摘しています。
今後、厚生労働省がパワハラ防止法の指針に自爆営業を明記することで、労働者が声を上げやすくなるのではと期待感を示していました。また、連合山形では「自爆営業はパワハラだけでなく金銭的に追い込まれることもあり生活への影響も大きい」として悩んでいる場合は相談してほしいとしています。