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“墓じまい”急増で供養の形が多様化、離断料でトラブルも 注目集める「海洋散骨」の現場を取材

2024年8月21日 18:44
“墓じまい”急増で供養の形が多様化、離断料でトラブルも 注目集める「海洋散骨」の現場を取材

(足立夏保アナウンサー)
 最近、墓じまいという言葉を耳にするようになったと思います。墓じまいは、お墓から骨を取りだして、墓石を解体して、更地にした後に、新たな方法で供養するということです。今、墓じまいが増えていて、この10年近くで、墓じまいなどの改葬件数が2倍近くになっています。

 墓に入るだけではない、変化する供養の方法について、まずはこちらをご覧ください。

◇◇◇

 澤井耀平 記者
 「今まさに、海に散骨されています」

 大阪府泉南市。海洋散骨をする業者「Aクルーズ」が、出港に向け準備を進めていました。この日行われるのは、遺族の代わりに弔う代行散骨です。

 14年前に、この仕事を始めた天井十秋さん。ここ数年、海洋散骨の需要の高まりを感じているといいます。

 実際、国内の海洋散骨の件数は、6年前に比べ、倍以上となっています。

 船はガイドラインに従い、陸から2キロ以上離れた場所に向かいました。

 Aクルーズ 天井十秋 社長
「ここに時間・日付・北緯・東経が出ます。後ほど、散骨証明書を発行して、今日いまから撮影をしながら進めていきまして、1冊のフォトアルバムにして、その中にここの図を印刷して、確かに見送りましたよと」

 船に乗れない高齢者や、遠方に住んでいて同行できない遺族が、代行を委託するケースが多いといいます。

 この日見送られたのは3人。預かった遺骨はパウダー状にし、基本的には、水に溶ける紙に包み、散骨します。

 散骨の費用は、遺族が実際に乗船し見送る場合など、ケースにより異なりますが、今回のような代行散骨の場合は税込み4万4000円からです。

 Aクルーズ 天井十秋 社長
「墓じまい自体の増え方の体感で言うと、この5年くらいでおそらく10倍くらいになっていると思います」

 墓じまいの方法の一つとしても選択される海洋散骨。供養の形も多様化しています。

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(足立アナウンサー)
 VTRにもありました「海洋散骨」以外にも、「樹木葬」や「宇宙葬」など様々な供養の方法が増えているわけなんですが、実際に墓じまいをされた方からこんな声も聞かれています。

 大変だったこととして、「遺骨の引っ越し先選び」や「役所の手続き」、また墓石の「解体業者選び」が大変だったということです。

 そしてこんなトラブルもあったということです。
 寺に墓じまいを申し出ると、高額な離断料を要求されたと。この離断料というのは、お金として、お礼として払うということなんですけれども、300万円を要求されたケースもあったということです。離断料というのは、明確な基準がないため、金額に納得がいかない場合は、寺などと話し合う必要があるということなんです。

 こうした、お寺とのトラブル、家族間でのトラブルを避けたいということで、こちら見ていただきます。

 「いっしょの時間」というサイトでは、簡単な質問に答えると、平均寿命などで
家族と過ごせる残り時間というのを算出できるということです。「同居しているのか」や「顔を見て話す時間は」などといった質問があって、私もやってみました。
 私、25歳の場合、父は56歳なんですが、一緒に住んでいなくて、3か月に1回程度、顔を見て話すことがあるんですが、残された一緒にいられる時間というのが、「あと39日と21時間」。想像以上に短いです。
 こういった数字を見ると、私も来週、3か月ぶりぐらいに父に会うので、やはり父と母がどうしたいのか、お墓などについてどう考えているのか、それから祖父母のお墓についてどうしているのか、一度話し合ってみたいなと思う機会になりました。

(指宿文解説委員)
 お墓のことだけじゃなく、携帯電話はどうするのか、家はこの後どうするのかなども含めて、たくさん話さなきゃいけないことがあるなと。

(足立アナウンサー)
 家族が亡くなられた後、トラブルになることを避けるためにも、今一度、墓じまいなど供養の方法などを、ご家族で話してみてはいかがでしょうか。

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