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【速報】「認知症の加害者でなく被害者の人権を優先して」遺族が涙 被告は「自殺するよ」裁判長が制止 大阪・生野タクシー暴走7人死傷事故で禁錮5年求刑

2024年7月17日 14:11
【速報】「認知症の加害者でなく被害者の人権を優先して」遺族が涙 被告は「自殺するよ」裁判長が制止 大阪・生野タクシー暴走7人死傷事故で禁錮5年求刑
斉藤敏夫被告(76)

 去年、大阪市生野区でタクシーで赤信号の交差点に進入するなどし、2人を死亡させ、5人にケガをさせた罪に問われているタクシーの元運転手の裁判で、17日、事故で死亡した女性の夫が「認知症を考慮して加害者を守るだけでなく、何も言えない被害者の人権も優先してほしい。厳罰を望みます」と涙ながらに訴えました。検察側は被告に対し、禁錮5年を求刑しました。
 

■遺族の意見陳述中…「自殺するよ」被告が近づく 法廷は一時騒然

 起訴状などによりますと、元タクシー運転手の斉藤敏夫被告(76)は2023年3月、大阪市生野区で赤信号を無視して交差点に進入し横断歩道を渡っていた歩行者らをはねた後、車を急加速させたりバックさせたりして、走行中の原付バイクや乗用車に次々に接触。原井恵子さん(当時67)と松中英代さん(当時73)を死亡させたほか、5人にケガをさせた罪に問われています。

 17日の法廷では、原井恵子さんの夫の意見陳述が行われ、涙を流しながら「事故によって私たちのささやかな幸せな家庭が破壊されました。妻は誰からも好かれるかわいらしい人でした。認知症を考慮して加害者を守るだけでなく何も言えない被害者の人権も優先してほしい。厳罰を望みます」と話しました。

 意見陳述の途中、斉藤被告は「自殺するよ」と言いながら夫に詰め寄る場面があり、裁判長の指示で一時距離を離されるなど、法廷は一時騒然としました。

■弁護側は「認知症の影響で過失問えない」と主張

 5月から大阪地裁で始まった裁判で、斉藤被告は「言い訳しない。自分が100%悪い」と起訴内容を認める一方、弁護側は「被告は認知症で、情報処理の遅延など認知症の影響が相当程度あり過失責任は問えない。過失が認められたとしても程度は低い」と主張しています。

 これに対し、検察側は「事故当日、事故現場まで約45キロを走行していたが、他の車両や歩行者などに衝突することはなかった。認知症が運転能力に相当程度影響はしていたが、前日まではこれまでと変わらない業務成績でタクシーの営業を続けており、完全に認知症に起因するとは断定しがたい」と指摘していました。

 17日の裁判で、検察側は「30年以上、職業運転手として勤めている中で、最も初歩的かつ重大な注意義務であるブレーキ操作を適切に行っておらず過失は重大。右足でアクセルペダルを、左足でブレーキペダルを踏むという通常とは異なる方法を取り、適切な事故防止にも努めていなかった。高齢者ドライバーの事故が後を絶たない昨今の状況も鑑みても厳罰が必要」などとして禁錮5年を求刑しました。

 裁判の最後に、裁判長が斉藤被告に「何か述べたいことはありますか」と尋ねましたが、斉藤被告は「何もありません」と答え、裁判は結審しました。

 判決は9月4日に言い渡される予定です。

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