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【速報】出征兵士が奉納した「戦争絵馬」お焚き上げで燃やす「貴重な資料失われた」軍事評論家ら抗議 神社は反論「供養が本来のかたち」滋賀

2025年1月24日 10:31
【速報】出征兵士が奉納した「戦争絵馬」お焚き上げで燃やす「貴重な資料失われた」軍事評論家ら抗議 神社は反論「供養が本来のかたち」滋賀

 滋賀県長浜市の神社で、約80年前の戦時中に奉納された「絵馬」を先月「お焚き上げ」神事として燃やしたことについて、24日、軍事評論家らが「貴重な資料が失われた」と抗議する会見を開きました。

■「戦争絵馬」とは…出征する兵士らが奉納

 「戦争絵馬」は縦約13cm・横約23cmの大きさで「武運長久」「皇軍戦勝」などの祈願文が書かれたもので、滋賀県長浜市の豊国神社から約3500枚が発見されました。

 日中戦争が始まった1937(昭和12)年から太平洋戦争が終わった1945(昭和20)年にかけて、出征する兵士や関係者らによって奉納されたもので、約2年前、神社の拝殿の雨漏りを修理するため屋根裏を確認した際に発見されました。そして去年12月、宮司が供養のため、神社の境内で戦争絵馬の「お焚き上げ」神事を行い、絵馬は焼失しました。

■お焚き上げ神事で「貴重な資料が失われた」と抗議

 これに対し23日、戦争に関する貴重な資料が失われたとして、軍事評論家の辻田文雄さんらが会見を開きました。

 辻田さんによりますと、絵馬には、祈願文とともに出征軍人の名前や住所、奉納者についても書かれていることから、兵士個人の生い立ちや戦地の特定などに繋がる重要な資料であるということです。

 また終戦後、多くの神社がアメリカ軍を恐れ、戦争に関係する資料を隠したり焼却したりする中で、これだけの数がまとまって見つかることも珍しいとしています。辻田さんは「戦争の話をできる人が少なくなる中で、資料に歴史を語ってもらう必要がある」として、その重要性を訴えました。

 お焚き上げ後に会見を開いた理由について辻田さんは「戦争絵馬は、大学などの研究機関で調べてもらうべきだった。灰になったものは取り戻せないが、これからも絵馬は出てくると思うので燃やさないでほしい」と話しました。

■宮司は「供養してお焚き上げするのが本来のかたち」

 絵馬が発見された豊国神社の湯本祟彦宮司によりますと、絵馬の存在については、前任者も把握しておらず、資料なども一切残っていなかったということです。

 そこで宮司は戦死者などを祀る彦根市の護国神社や、遺族会、歴史博物館の歴代の館長、市議会議員らに、見つかった絵馬の歴史的価値の確認や相談をしました。
 その上で「奉納者全員が戦死しているわけではなく(願いがかなったあとの絵馬として)通常のお焚き上げをして問題がない」と結論が出たため、先月、お焚き上げ神事を行い、絵馬を燃やしました。

 湯本宮司は「絵馬は奉納者から神様へのメッセージであり、事が終えた段階で供養して浄化し、お焚き上げするのが本来のかたち」とした上で、これまで戦争絵馬が見つかった神社はほとんどないことについて「事を終えたらという点で、ほとんどの神社がお焚き上げされていると思う」と話しました。

 現在、どういったものが戦争の資料や遺品とあたるのか、明確な決まりはなく、戦争絵馬を「文化財」として扱うか「信仰の対象」として扱うか、さらなる議論をよびそうです。

最終更新日:2025年1月24日 13:47
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