「火薬を製造したことは認める。人を害する目的ではない」岸田前首相襲撃事件、初公判で被告が殺意否認
2023年、和歌山市の漁港で岸田文雄前首相が襲われた事件で殺人未遂などの罪に問われている男の裁判員裁判が始まり、男は「人を害する目的ではない」などと殺意を否認しました。
黒色のジャケットを羽織り、メガネをかけた姿で証言台に立った木村隆二被告。
木村隆二被告(25)
「人を害する目的ではないです。殺意はありません」
木村被告は、2023年、和歌山市の漁港で、衆議院の補欠選挙の応援演説に訪れた岸田前首相に自作の爆発物を投げ込んだ殺人未遂や公職選挙法違反など5つの罪に問われています。
岸田前首相にケガはありませんでしたが、聴衆と警察官の2人が軽傷を負いました。
木村被告は逮捕後の取り調べに対し、黙秘を続けていましたが、本人のものとみられるSNSのアカウントには、「違憲な公選法」「まともな候補者がいなければ、投票数が減ります」など、政治への関心が伺える投稿もありました。
犯行の動機が注目される中、迎えた4日の初公判。木村被告は裁判長に対し、しっかりとした口調で答えました。
木村隆二被告(25)
「火薬を製造したことは認めます。人を害する目的ではないです。選挙をしているということを知りませんでした」
弁護側は「岸田前首相が応援演説に来ていることも知らなかった」などと主張しました。
これに対し検察側は―。
検察側
「木村被告が事件前日に自民党のホームページで遊説日程を閲覧していた。『自民党本部 警備』や『内乱罪』などのキーワードを検索していた」
裁判員らに対して「現職総理大臣を狙い周囲の人を無差別に巻き込もうとしたテロ行為で、民主主義の根幹を揺るがす犯行だ」と説明し、犯行の悪質性や計画性を訴えました。
裁判は5日も行われ、判決は2月19日に言い渡される予定です。