×

【速報】障害もった重機事故死亡女児の「逸失利益」が争われた裁判めぐり被告側が最高裁に“上告せず” 一審判決から一転…二審は「全労働者と同じ100%で計算」 判決確定へ

2025年2月5日 13:47
【速報】障害もった重機事故死亡女児の「逸失利益」が争われた裁判めぐり被告側が最高裁に“上告せず” 一審判決から一転…二審は「全労働者と同じ100%で計算」 判決確定へ
井出安優香さん

 女の子が重機にひかれて死亡し、両親が運転手らに損害賠償を求めている裁判の控訴審で、大阪高裁が聴覚障害があった女の子の将来得られるはずだった収入=「逸失利益」を全労働者と同じ100%で計算して賠償金を支払うよう命じた判決について、4日の上告期限までに、被告側が上告しなかったことが分かりました。

 2018年2月、大阪市生野区で井出安優香さん(当時11歳・小学5年生)は聴覚支援学校からの下校途中、暴走した重機にはねられ死亡しました。

 両親が損害賠償を求める民事裁判で、争点となったのは安優香さんの「逸失利益」についてです。

 一審の大阪地裁は2023年、「死亡時の聴覚障害者の収入は全労働者の平均と同程度であったとはいえない」と指摘し、「全労働者の平均年収の85%で計算すべき」とする判決を言い渡しました。

 両親は障害を理由に減額されるのは不当だと訴え控訴。1月20日に行われた控訴審の判決で、大阪高裁は「安優香さんは補聴器に加え手話や文字も駆使して学年相応の知識や学力があり、将来は健聴者と同じ職場で働くことができたと蓋然性を持って予測できた」と判断した上で、「全労働者の平均賃金で計算するのが相当で、何ら減額する理由はない」として、一審判決を変更し、両親の訴えを全面的に認める判決を言い渡しましていました。

■「健常者と同じ」との司法判断は全国初 保険会社は通常、徹底した金額交渉も…

 弁護団によりますと、聴覚障害のある人の逸失利益を健常者と同等に計算すべきとの司法判断が示されるのは全国で初めてだということです。

 判決確定を受け弁護団は5日、「差別を許さない『あるべき社会』の実現に向けて、重要なメッセージを投げかけたもので敬意を表する。この判決の意義・趣旨を深く理解し、従来の『障害があるから当然に逸失利益を減額する』という安直かつ差別的な扱いが改められることを強く願う。」と声明を発表しました。

 一方、実際に交通事故の賠償金は保険会社が支払うケースがほとんで、保険会社は通常、裁判でも利益を守ろうと徹底した金額交渉を行うと専門家は指摘しています。判決を受け、被告側は「回答を控える」とした一方、被告側の引き受け損害保険会社は「今回の判決を厳粛に受け止め、今後も誠実な対応に努めてまいります」とコメントしていました。

 業界団体である日本損害保険協会は読売テレビの取材に対し、「個別の判決についてのコメントは差し控えさせていただきます。なお、一般論として、保険会社は民法の不法行為に基づく損害賠償の考えに基づき賠償を行う立場のため、一件一件の事案を精査のうえ、保険金お支払いする実務になっております。個別の事案ごとに被害者の方のご年齢や収入、お怪我の状況などを踏まえて支払金額を決定しているものと思います」と回答しました。

最終更新日:2025年2月5日 14:54
読売テレビのニュース
24時間ライブ配信中
日テレNEWS24 24時間ライブ配信中
logo

24時間ライブ配信中