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【専門家に聞く】宮崎県南部で震度6弱が発生 南海トラフとの関連は? 私たちが気を付けるべきこと

2024年8月8日 19:16
【専門家に聞く】宮崎県南部で震度6弱が発生 南海トラフとの関連は? 私たちが気を付けるべきこと

 8日午後4時43分ごろ、宮崎・日南市で最大震度6弱の地震を観測しました。今回の震源地は日向灘で、震源の深さは30キロ、地震の規模を示すマグニチュードは7.1と推定されています。今回の地震の規模、特徴について、南海トラフとの関連性について、京都大学防災研究所の西村卓也教授が解説します。

(中谷しのぶキャスター)
「今回の地震なんですが、この地震の規模と特徴について教えてください」

(京都大学防災研究所 西村卓也教授)
「今回の地震は南海トラフ地震と同じように、沈み込むプレート、海のプレートと陸のプレートの間の境界で起こったタイプの地震と考えられます。規模がマグニチュード7.1ということで、この地震自体もかなり大きな地震で、宮崎県で震度6弱が出たり、あるいは津波が現在観測されているという状況なんですが、起こった場所が将来発生が懸念されている南海トラフ地震の震源期の中で起こったということで、これがさらに大きな地震になるのかどうかを、検討会で検討しているという状況です」

(中谷しのぶキャスター)
「この臨時情報ですが2017年に制度が導入されて以降、初めて出されることになるんですよね」

(京都大学防災研究所 西村卓也教授)
「臨時情報が出るかどうかというのは、まだ決まっていません。あくまでも臨時情報が出るか検討が始まったということです」

(横須賀ゆきの解説委員)
「日向灘で地震が起きているということですが、日向灘でも地震のリスクがあるということは、近年になってこの地域も含まれてきました。日向灘の特性について教えていただけますか」

(京都大学防災研究所 西村卓也教授)
「日向灘というのはそれ以外の東側、四国とかあるいは近畿、紀伊半島に比べると、普段から小さな地震も含めて地震活動が活発なところです。今回のようなマグニチュード7くらいの地震というのも、大体30年に1回くらいのペースで起きていて、前回は1996年であるとか1961年にも起こっていますので、日向灘単体で起こるマグニチュード7クラスの地震というのも割と頻繁にある地域です。個々の地震が必ずしも南海トラフの大きな地震につながっているというわけではありませんので、単体の地震で終わるのか、あるいはさらに大きい地震の可能性があるのかというのを今、検討しているというところだと思います」

(中谷しのぶキャスター)
「マグニチュード7クラスは30年に一度という話ですが、今回の地震は深さ30キロで起きた地震ということで、これはどう捉えればいいんでしょうか」

(京都大学防災研究所 西村卓也教授)
「そうですね、これがちょうどですね南海トラフと日向灘がつながっていますので、ちょうど陸の下に潜り込んでいるその深さが、この辺りだと30キロということですので、プレートとプレートの境界の位置の深さが30キロというのに表れています」

(横須賀ゆきの解説委員)
「日本は、ユーラシアプレートと北米プレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートがあって、このプレートとプレートが歪み合う潜り合うことによって、それがもう耐えきれなくなって跳ね上がって地震などが起こるということなんですが、フィリピン海プレートのすぐそばに日向灘があって、ここが地震が起きやすいと捉えていいんでしょうか」

(京都大学防災研究所 西村卓也教授)
「そうですね、このフィリピン海プレートというのは全体的には北西方向に移動していて、ユーラシアプレートとぶつかると、ユーラシアプレートの下に潜り込んでいく形になるんです。日本列島、西日本の下には、フィリピン海プレートのその下に、さらにフィリピン海プレートが二重になってあるような形になっています。そのプレートの2つのプレートの境界の部分で大きい地震が繰り返し発生するということが知られていて、南海トラフ地震もそうですし、日向灘で起こるマグニチュード7クラスの地震も、そういうタイプの一種というふうに考えています」

(横須賀ゆきの解説委員)
「日向灘で地震が起きると、大阪、和歌山、名古屋などこちらにも影響を及ぼすということになるんでしょうか」

(横須賀ゆきの解説委員)
「そういう可能性があるということですね。今までも日向灘の地震というのは過去に何回も起こっているんですけれども、その度に必ずしも南海トラフ側に影響があって大きい地震があったということはありません。はっきりと今まで歴史上わかっている事例というのはほとんどなくて、日向灘は日向灘で地震が起こると南海トラフは南海トラフで地震が起こるという場合が多いんですけれども、最近いろいろ研究が進んできていて、プレートの沈み込みという意味では日向灘で起こる地震も南海トラフの地震も同じタイプの地震ですので、日向灘よりも東側の関西の沖合、和歌山とかの沖合にも影響を及ぼす可能性があるんじゃないかということで専門家が検討しているということですね」

(横須賀ゆきの解説委員)
「日向灘単体の地域で収まるのか、それとも幅広い地域に及んでしまうのか、その見極めというのはどこに境があるんでしょうか」

(京都大学防災研究所 西村卓也教授)
「そうですね、いま多分、気象庁とか関係機関がですね、この地域で起こっている余震、一回り小さい地震も含めて今地震活動がどう推移しているのか、あるいは地殻変動ですね。この九州あるいは太平洋沿岸には歪み系と呼ばれる非常に地面の小さな変化を捉えるような機械が設置されていて、プレートでわずかな動きがあったりすると、それで検知できるようになっています。そういうものが東の方にも何か異常を示すような状況があるのかというようなデータを検討しているというふうに考えます」

(横須賀ゆきの解説委員)
「今回ですねマグニチュード7.1ということなんですが、津波注意報に関しましては幅広い四国、九州沖に出ているということなんですけど、この連動性についてはどういうふうに見たらいいですか」

(京都大学防災研究所 西村卓也教授)
「今回の地震の規模マグニチュード7.1というふうに考えますと、当然その津波が高いのはこの震源に近い宮崎の沖合とかそういうところなんですけれども、津波というのは広がって起きますので、いま津波注意報が出ているような範囲では、それなりに高い津波が来る可能性があるということで今後もまだ何波も津波というのは繰り返し押し寄せますので、しばらくは注意が必要だというふうに思います」

(中谷しのぶキャスター)
「気になるのが大きな地震が比較的短い時間で立て続けに起きるケースというのは過去にもあったと思うんですけれども、今回の震度6弱ですね、最大震度6弱でマグニチュード7.1となりますと、この後もさらに大きな揺れが来る可能性というのはやはりあるんでしょうか」

(京都大学防災研究所 西村卓也教授)
「やはり不定常時に比べますと地震が起きやすい状態が続いていますので、同クラスの規模の地震が起きやすい状態が続いていますので、地震というのは今後1週間程度は警戒しておいた方がいいということです。それは南海トラフ地震につながらないという判断が出たとしても、日向灘周辺の地震活動がまだしばらく高い状態が続く可能性ということになると思います」

(横須賀ゆきの解説委員)
「今回初めての評価検討会が開かれているということで、地震や地殻変動の専門家6人に構成される検討会で、観測データなどを詳しく分析して、南海トラフで観測された異常な現象などが想定される巨大地震につながるのかどうか検討している段階なんですけども、具体的にはどこにポイントを置いて評価、検討を行っていると考えたらいいですか」

(京都大学防災研究所 西村卓也教授)
「いま現在の地震活動であるとか地殻変動のデータがどんどんリアルタイムに入ってきておりますので、その状況を詳しく検討するということだと思います。あとは過去に類似事例がないかということですね。日向灘の今回の地震の震源と過去の日向灘の地震の比較をしていたりそれが大きい地震につながっている事例があるかどうかそういうことを詳しく検討されているのだと思います」

(中谷しのぶキャスター)
「震源は九州の宮崎県の日向灘なんですけれども、私たち近畿2府4県ではどのようなことに今後気をつけておけばいいとお考えでしょうか」

(京都大学防災研究所 西村卓也教授)
「まずは今、急に南海トラフ地震が起こるという風に決まっているわけではございませんので、まずは冷静に、まずは情報を常に入るようにしていただきたいということ。それから今回の地震が南海トラフ地震と関係ないというような判断が出たとしても、南海トラフ地震というのは今後数十年の間に起こる可能性が非常に高いと言われている地震ですので、地震の揺れあるいは津波に対する備えというのを身の回りの点検をしていただきたいなと思います」

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