【解説】「南海トラフ臨時情報」発表基準は?発表後の防災対応は?
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5月6日から12日までの期間、国内では震度1以上の地震が33回ありました。
▼6日午前0時50分ごろ、愛媛県宇和島市と高知県宿毛市で震度3の地震がありました。震源は豊後水道でマグニチュード3.9、震源の深さは37キロでした。
▼10日午後6時50分ごろ、石川県輪島市で震度3の地震がありました。震源は石川県能登地方で、マグニチュード3.8、震源の深さは11キロでした。
▼11日午前5時43分ごろ、京都市で震度3の地震がありました。震源は京都府南部、マグニチュードは3.3、震源の深さは7キロでした。
この図は1919年以降、日本周辺でおきたマグニチュード7以上の地震を示したものです。北海道沖の千島海溝沿い、東日本大震災がおきた、東北地方沖合などで活動が多いことが分かります。さらに能登半島や内陸部、日本海側でも地震がおきています。
一方、紫のエリア、南海トラフ地震の想定震源域では全体的には地震は少なく、紀伊半島の南側と日向灘で過去に大きな地震がおきています。
南海トラフでは1707年に「宝永地震」が発生、この地震の震源域は東西のエリアにまたがり、非常に大きな地震でした。
1854年におきた「安政東海地震」は南海トラフの震源域の主に東側のエリアが震源ですが、この地震のおよそ32時間後に、今度は西側のエリアで「安政南海地震」が発生、地震の規模はマグニチュード8.7と、最初の地震よりも大きいものでした。
さらに1944年の「昭和東南海地震」はマグニチュード8を超える大きな地震が“東側のエリア”で発生、この時は、およそ2年後の1946年に「昭和南海地震」が“西側のエリア”でおきています。「東側で大きな地震がおき→その後時間差で西側でも大きな地震がおきる」、過去2回の南海トラフ地震の特徴です。
続けて発生するかもしれない地震によって、新たな被害発生を少なくするため備えを呼びかけるものです。
「南海トラフ地震臨時情報」どういった時に出るのでしょうか?
1、想定震源域内のプレート境界でMw8.0以上の地震がおきた場合
2、想定震源域およびその周辺でMw7.0以上の地震がおきた場合
3、プレート境界で短い期間にスロースリップ(ゆっくりすべり)と呼ばれる現象が観測された場合
こうした3つの異常現象が確認されたとき、専門家らによる評価検討会を緊急で開催し、およそ2時間程度で調査結果を公表することになっています。
評価検討会で「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」となった場合、特に想定震源域やそれに近い沿岸部など、地震後すぐに津波が到達するようなエリアは、地震発生後の避難が厳しいため、自治体が事前に避難を呼びかけるなど対応がとられます。また注意の情報であっても、万が一のために地震や避難への備えを再確認する必要があります。
内閣府が去年おこなった調査では、南海トラフに備える必要が特に高い地域においても、この「南海トラフ地震臨時情報」の認知度がおよそ3割にとどまっています。2017年の運用以降、一度もだされたことのない情報ですが場所によっては1週間程度の避難が必要になる場合もあるため、事前にこの情報の意味と、防災対応を確認していく必要があります。