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【解説】「南海トラフ臨時情報」発表基準は?発表後の防災対応は?

2024年5月13日 23:55
【解説】「南海トラフ臨時情報」発表基準は?発表後の防災対応は?
先月の豊後水道でおきた震度6弱の地震は南海トラフ巨大地震の想定震源域の中で発生しましたが、南海トラフに与える影響はないと評価されています。地震直後、話題となった「南海トラフ臨時情報」。2017年に運用が開始されましたが、これまで実際に出されたことは一度もありません。この情報が出される基準は?南海トラフ地震にどのように備えればよいのか?社会部災害担当・中濱弘道デスクが解説します。【週刊地震ニュース

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■京都で震度3の地震、豊後水道でも地震活動続く

5月6日から12日までの期間、国内では震度1以上の地震が33回ありました。

▼6日午前0時50分ごろ、愛媛県宇和島市と高知県宿毛市で震度3の地震がありました。震源は豊後水道でマグニチュード3.9、震源の深さは37キロでした。

▼10日午後6時50分ごろ、石川県輪島市で震度3の地震がありました。震源は石川県能登地方で、マグニチュード3.8、震源の深さは11キロでした。

▼11日午前5時43分ごろ、京都市で震度3の地震がありました。震源は京都府南部、マグニチュードは3.3、震源の深さは7キロでした。

■日本周辺でおきたマグニチュード7以上の地震は――南海トラフでは少なく

この図は1919年以降、日本周辺でおきたマグニチュード7以上の地震を示したものです。北海道沖の千島海溝沿い、東日本大震災がおきた、東北地方沖合などで活動が多いことが分かります。さらに能登半島や内陸部、日本海側でも地震がおきています。

一方、紫のエリア、南海トラフ地震の想定震源域では全体的には地震は少なく、紀伊半島の南側と日向灘で過去に大きな地震がおきています。

■南海トラフでは約100年周期で大地震が発生、最後の地震からまもなく80年に

南海トラフでは1707年に「宝永地震」が発生、この地震の震源域は東西のエリアにまたがり、非常に大きな地震でした。

1854年におきた「安政東海地震」は南海トラフの震源域の主に東側のエリアが震源ですが、この地震のおよそ32時間後に、今度は西側のエリアで「安政南海地震」が発生、地震の規模はマグニチュード8.7と、最初の地震よりも大きいものでした。

さらに1944年の「昭和東南海地震」はマグニチュード8を超える大きな地震が“東側のエリア”で発生、この時は、およそ2年後の1946年に「昭和南海地震」が“西側のエリア”でおきています。「東側で大きな地震がおき→その後時間差で西側でも大きな地震がおきる」、過去2回の南海トラフ地震の特徴です。

■地震は一度で終わらず、時間差で発生する可能性も? 2017年から「南海トラフ地震臨時情報」運用開始

地震は一度で終わらず、時間差で起きる場合もあるということで、そこで気象庁は2017年11月から南海トラフ全域で異常な現象を観測した場合や、地震が発生する可能性が相対的に高まっていると評価した場合に、「南海トラフ地震臨時情報」を出すことにしています。

続けて発生するかもしれない地震によって、新たな被害発生を少なくするため備えを呼びかけるものです。

「南海トラフ地震臨時情報」どういった時に出るのでしょうか?

1、想定震源域内のプレート境界でMw8.0以上の地震がおきた場合
2、想定震源域およびその周辺でMw7.0以上の地震がおきた場合
3、プレート境界で短い期間にスロースリップ(ゆっくりすべり)と呼ばれる現象が観測された場合

こうした3つの異常現象が確認されたとき、専門家らによる評価検討会を緊急で開催し、およそ2時間程度で調査結果を公表することになっています。

■「臨時情報:巨大地震警戒」では自治体によっては事前避難も

評価検討会で「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」となった場合、特に想定震源域やそれに近い沿岸部など、地震後すぐに津波が到達するようなエリアは、地震発生後の避難が厳しいため、自治体が事前に避難を呼びかけるなど対応がとられます。また注意の情報であっても、万が一のために地震や避難への備えを再確認する必要があります。

内閣府が去年おこなった調査では、南海トラフに備える必要が特に高い地域においても、この「南海トラフ地震臨時情報」の認知度がおよそ3割にとどまっています。2017年の運用以降、一度もだされたことのない情報ですが場所によっては1週間程度の避難が必要になる場合もあるため、事前にこの情報の意味と、防災対応を確認していく必要があります。

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