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復興途上の能登に記録的豪雨7人死亡7人安否不明「がく然として何も考えられない」仮設住宅も床上浸水

2024年9月23日 18:32
復興途上の能登に記録的豪雨7人死亡7人安否不明「がく然として何も考えられない」仮設住宅も床上浸水

 地震からの復興を目指していた能登半島を記録的な大雨が襲いました。捜索活動や後片付けが続くなか、被災地の住人は一様に疲れた表情を浮かべ、これからの暮らしに不安を募らせています。

 能登半島地震の被災地を、またも自然災害が襲いました。被害のあった現場では安否不明者の手がかりを見つけるため、警察や消防が手作業で流木などの撤去作業を進めていました。

 石川県内では7人が死亡、少なくとも7人が不明となっている今回の大雨。21日から続く雨で、河川の氾濫や土砂崩れが多数発生。濁流と共に流木などが民家に押し寄せ、輪島市の久手川町では住宅4棟が流され、今も4人が安否不明です。

 そのうちの1人、喜三翼音(きそ・はのん)さん(14)。高い所に避難しようと自宅の2階にいたところ、家ごと流されたとみられています。捜索現場には翼音さんを探す両親の姿が。自宅から800メートルほど下流で翼音さんの写真などが見つかっており、家族は一刻も早い救出を待っていました。

 渡邉幹也アナウンサー
「輪島市にある仮設住宅に来ています。発災から3日目。避難していた方々が家の様子を見に戻っていました」

 地震で被災した人々が身を寄せる仮設住宅にも被害が出ていました。地震から約9か月。ようやく落ち着いたはずだった住まいに、氾濫した川の水が押し寄せ、床上まで浸水。

 仮設住宅の住民
 「私たちが避難した時、ここ(腰の高さ)まで来てました」
 渡邉幹也アナウンサー
 「腰まできたんですね」

 復興へと歩みを進る中、再び避難を迫られる事態に住民は…。

 仮設住宅の住民
 「1月に震災で家が全壊したんです。仮設住宅に入って、今度は水害です。もうがく然として何も考えられないから笑うしかない」

 伝統工芸にも被害が広がっています。輪島塗りを家業として代々受け継いできた桐本泰一さん。

 輪島塗を代々受け継ぐ桐本泰一さん
 「(濡れた段ボールに)商品入っているんですよね、輪島塗と書いたダンボール」

 1月の地震で自宅は全壊。やっとの思いで復旧に進みだした矢先、工房が浸水しました。漆器も被害を受け、販売にも支障をきたす可能性があるといいます。

 輪島塗を代々受け継ぐ桐本泰一さん
 「仕事ができるようになった矢先やからね。ちょっと今回きついな、きつい」

 傷が癒えない被災地を襲った記録的な大雨。捜索や救助が続く現場から、最新の情報をお伝えします。

◇◇◇

 (渡邊幹也アナウンサー)
 輪島市を流れる塚田川から中継でお伝えします。21日に降った大雨の影響で、住宅4棟が流され、現在も安否不明者が4人となっています。そして、あちらに見える建物、あの辺りから家が、この辺りまで流されてきたということです。

 そのうちの1人は、中学生の喜三翼音(きそ・はのん)さん(14)で、少しでも高い所に避難しようとしたところ、家ごと流されたとみられています。さきほど私は、喜三さんに親しい友人に話を聞くことができました。

 喜三さんとは直前までSNSで連絡をとっていたということで、「土砂がなくなるまで家から出られないんじゃか」という友人の問いかけに対し、「多分そうかも」と返信したのが最後のメッセージだったということです。

 現在も懸命な捜索活動が続いています。あちらでは重機などを使って、流木がかたまっている辺りを中心に、捜索を行っています。この塚田川から1キロ下流に行くと海があり、この1キロを中心に、広い範囲で捜索が行われています。ただ、広い範囲なので捜索が難航していると話されていました。

 左に目を向けますと、流木が流されてきたのが分かります。この辺りは畑だったということで、大雨の影響で一気に川幅が増幅して、被害にあったということです。

 さらに左に目を向けますと、住宅が倒壊しているのが分かります。その奥にも住宅が密集していますが、地元の人に話を伺うと、この辺りは、能登半島地震の影響で、多くの人が仮設住宅に避難していると話されていました。

 (黒木千晶キャスター)
 この川は頻繁に氾濫する川なんでしょうか?

 (渡邊幹也アナウンサー)
 地元の60代の方に話を伺いますと、この塚田川が氾濫したのは見たことがないとおっしゃっていました。さらに今回被害にあった方々は、能登半島地震で大きな被害を免れた方だったということで、気の毒だとおっしゃっていました。

 今回取材を通して、多くの方々が、ようやく平穏な生活を送り出せたのに、なぜまた私たちなんだと話されていました。国、行政の迅速な対応が求められています。

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