異業種が“陸上養殖”に乗り出した! “ご当地サーモン” 全国に拡大……特産品を目指すその味は?『every.気になる!』
いま“陸上養殖”が全国に広がっています。背景には、国内で流通する魚介類の多くを輸入に頼っているという現状があります。異業種から養殖に乗り出した施設や、“ご当地サーモン”を特産品にしようと取り組む地域も。食べ比べると違いが分かる、その味の魅力とは?
千葉県木更津市にあるホテル(龍宮城スパホテル三日月)。ロビーでは、人気のイベントが。子どもが釣ろうとしているのは…
子ども
「エビ!」
行われていたのは、エビ釣り。子どもたちは、夢中になってチャレンジ。
母親
「あっ!釣れた~」
子ども
「釣れた~」
見事、エビをゲット。
子ども
「うれしかった」
実は、このエビ、ホテルの敷地内で養殖されたものだ。
今こうした“陸上養殖”は、全国に広がっています。背景には、魚介類の多くを輸入に頼っているという現状も。
エビ釣りイベントを行っている、こちらのホテル。釣ったエビは素揚げにして、食べることができます。外はパリパリ、中はジューシーな揚げたてのエビ。そのお味は?
子ども
「おいしい」
エビの養殖を始めたのは、2024年4月。ホテルの従業員が飼育にあたっています。その数は、10万匹。1日2キロをホテルのバイキングなどで提供しているそうです。
龍宮城スパホテル三日月 幾川 雅統さん
「サステナブルリゾートってことで、食の循環ですとか、自分たちで地産地消に少しは貢献できるかなと思い、始めました」
同じ木更津市内で、陸上養殖をしている業者も。養殖場で育てられていたのは…
FRDジャパン 宮川 千裕さん
「こちら、『おかそだちサーモン』になります。丘で育ったから、おかそだちサーモンです」
国内で流通するサケ・マス類、いわゆるサーモンの多くは輸入に頼っています。そんな中、6年前から陸上養殖を始め、年間30トンのサーモントラウトを出荷しているといいます。
FRDジャパン 宮川 千裕さん
「輸入品より高い鮮度でお届けできるので、食感がプリプリ、もちもちした感じで、食べ比べてみて頂けると違いが分かるかなと思います」
輸入に頼らず、陸上養殖することで、安定した供給につなげていきたいといいます。
養殖場から車で20分ほど離れた飲食店では、運ばれたばかりの新鮮なサーモンを一年中食べることができます。
肉厚な切り身が、たっぷりのったサーモン丼。お値段は、1628円(木更津産おかそだちサーモン丼/海鮮食堂KUTTA)。
お客さん
「身がしっかりしていて、甘みを抑えられていて、おいしいです」
ほどよい脂とサッパリとした味わいが、このサーモンの特徴だといいます。さらに、こんなメリットも…
海鮮食堂KUTTA料理長 竹内 瑛二郎さん
「養殖だからこそ、値段の変動があまりないので、3年半営業しているんですけども、当初から値段の方は変えておりません」
こうした、ご当地サーモンの養殖場は、全国に広がっていて、9年前に比べ約2.6倍に。現在、140種類を超えるご当地サーモンがあるといいます。
栃木県宇都宮市には、2024年1月から養殖を始めた、ある施設が。“ご当地サーモン”を育てて特産品に、と考えています。
職員
「こちらが養殖の池になります」
池の中には、数多くのサーモンが。管理しているのは、実は水道局の職員。養殖に乗り出したのは、宇都宮市の“浄水場”でした。
宇都宮市 上下水道局 関口 祐樹さん
「白沢浄水場では地下水をくみ上げて使っているんですけども、水温・水質がサケ・マス類の養殖に最適だというところで、陸上養殖を始めました」
水温が15℃前後と安定していることから、水質監視用の池を利用しています。ポイントは、水質の良さ。ご当地サーモンとあって、そのエサにも特徴が。加えていたのは赤い液体。これは…
宇都宮市 上下水道局 関口 祐樹さん
「いちごをミキサーで混ぜて、ジュース化したものになります」
栃木県の特産品である、いちごを使って育て、「うつのみやストロベリーサーモン」と命名しました。
まだ成長途中のサーモンですが…
宇都宮市 上下水道局 関口 祐樹さん
「私たちも初めてなので楽しみにしているところです」
この日、初めて味のチェックをするということで、立ち会わせてもらいました。
とれたての新鮮なサーモン。その身は、きれいなオレンジ色です。
宇都宮市 上下水道局 関口 祐樹さん
「さっそく、いただきます」
「ちゃんとサーモンの味がして、おいしいです。結構身がしっかりしていますよね」
職員
「臭みとかもなく、すごくさっぱりしている」
宇都宮の餃子に次ぐ、新たな特産品を目指し、11月ごろの出荷を予定しているということです。
(9月24日「news every.」より)