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ワーホリで「仕事見つからない」……豪の“厳しい現実” 英語力の劣る日本人、面接の実態は? 物価高も打撃「肉買えない」

2024年9月28日 12:17
ワーホリで「仕事見つからない」……豪の“厳しい現実” 英語力の劣る日本人、面接の実態は? 物価高も打撃「肉買えない」

円安が進行した際に「稼げる」と話題になったワーキングホリデー(ワーホリ)ですが、思うように働けないという日本人が増えているといいます。オーストラリアで取材すると、日本人の職探しが不利になっている背景や、不安定な生活の現状が見えてきました。

■早朝から…物資の無料配布に長い列

オーストラリア・メルボルンの中心部に早朝からできた、長蛇の列。ここは、生活に困っている人たちに無料で食料などを配っている場所です。食料を提供している団体によると、今年は物資を求めに来る日本人が倍増したといいます。

物資をもらいに来た日本人(20代)
「仕事はあるんですけど、家賃払ってほんとギリギリで。全然シフト入れなくて、1回のシフトが3時間とかで全然十分ではないので」

■英語が母国語の国からも多くの若者が

海外で語学を学びながら働けるワーホリ。オーストラリアでは、今年6月までの1年間で過去最高の1万7000人を超える日本人がビザを取得しました。
しかし英語が母国語の国々からも多くの若者が来ていて、競争率がアップ。英語力が劣る日本人の職探しが不利になってきているといいます。

■職場を回って直接「雇ってほしい」

去年ワーキングホリデーを利用してオーストラリアに来た倉田真央さん。配達員の仕事などを転々としてきましたがうまくいかず、取材した日も新しい仕事を求めて履歴書を準備していました。
オーストラリアでは、職場を直接訪ねて雇ってほしいと頼むのが一般的なスタイルだといいます。倉田さんがこの日、最初に訪問したのはレストランです。

倉田さん
「ワーキングホリデーでメルボルンに滞在しているのですが、仕事を探しています。履歴書を受け取ってもらえますか?」

店員
「もちろんです」

メルボルン市内を回り、気に入った店を見つけてはトライしていきます。しかし、「いま雇用していますか?」と聞いて「いまはしていない。スタッフは足りている」と言われることも。この日は15軒回り、履歴書を受け取ってくれたのは半分以下でした

■日本より高い物価…食費を抑える苦労も

日本に比べて物価が高いオーストラリア。食費を抑えるのにも苦労するといいます。

──お肉は今日買わないんですか?

倉田さん
「仕事が見つかってないから買えない。最近、たんぱく質は全部豆です。お肉食べたいから仕事探さなきゃ、というモチベを自分で上げてたり…」

倉田さんが住んでいるのはシェアハウス。この日は、肉じゃが風の料理を作りました。「ありあわせで、肉じゃが的なやつ作ります。じゃがいもないんですけど。肉は豆です」。安定した生活を得るため、倉田さんの仕事探しは続きます。

■日本人を採用するための電話面接

アジアの食材などを売る、メルボルンのFoodle Asian Grocery+Kitchen。日本食コーナーでは4人の日本人が働いていました。日本人の採用を担当しているのは、フードル日本食部門担当オーナーの福島展賢さん。取材した日も、電話面接が入っていました。

福島さん
「少しあなたのこと教えてもらえますか?」

求職者
「私に…教えてほしい…?」

福島さん
「自己紹介できますか?」

求職者
「あーはい、わたし自身。今日?」

福島さん
「…すみません?」

求職者
「…今日?」

福島さん
「私の質問理解できていますか?」

求職者
「あー…ごめんなさい、分からないです」

■雇用側は「即戦力になる従業員を」

面接が終わり、福島さんは感触について「ちょっとごめんなさい、難しいです。自己紹介してくださいという質問にも受け答えができていなかったので」と話しました。この電話面接は、英語力のテストも兼ねているといいます。

福島さん
「(日本人の中で)英語がしゃべれない方が増えています。雇用側からしたら、厳しめの意見になってしまうんですけど、やはり即戦力になる従業員さんを探しています」

夢を描いて多くの若者が挑んできたワーホリ。現地の状況について事前の十分な情報収集をするよう、日本政府も勧めています。

(9月27日『news every.』より)