【解説】角界に新星 「伯桜鵬」スピード出世に師匠・白鵬も驚き 「豊昇龍」大関昇進へ…おじ“朝青龍”の背中を追う
大相撲名古屋場所が23日で終わりました。注目されたのが19歳の伯桜鵬です。初入幕での優勝も期待され、今場所を最後まで盛り上げました。そしてもう1人、次世代の相撲を担っていくのではないかと期待される力士もいます。
●“令和の怪物”伯桜鵬
●優勝は「あの人」のおい
以上のポイントを中心に詳しく解説します。
伯桜鵬(19)は、今場所で最も注目されたといっても過言ではありません。“令和の怪物”とも呼ばれています。
日本相撲協会の公式サイトによると、伯桜鵬は鳥取・倉吉市出身で、身長181センチ・体重162キロです。相撲を始めたのは10歳からで、高校時代には2年連続で「高校横綱」に輝きました。
去年12月に元横綱・白鵬の宮城野親方のもとへ入門したばかりです。初土俵は今年1月で、今回の名古屋場所はまだ4場所目となります。
●1月:7勝0敗・幕下優勝
●3月:10勝5敗・十両14枚目
●5月:14勝1敗・十両8枚目
●今場所:11勝4敗・前頭17枚目
出世に髪の伸びが追いつかず、まだ、まげが結えないざんばら髪です。最近でこれほどのスピード出世を見せたのは、遠藤くらいかもしれません。
伯桜鵬は今回、109年ぶりの記録「新入幕優勝」がかかっていました。新入幕というのは角界の最上位である「幕内」に入ることです。
その幕内の中でも一番下の番付「前頭十七枚目」にして、勝てば優勝決定戦というところまで進んだだけでも大変なことですが、惜しくも優勝は逃しました。
「伯桜鵬」というしこ名も、先月に改名したばかりです。それまでのしこ名は「落合」でした。この「伯桜鵬」というしこ名には、どのような思いが込められているのでしょうか。
「伯」の字は地元・鳥取の旧国名「伯耆国(ほうきのくに)」からとり、「桜」は相撲との出会いの場となった地元の相撲大会「桜ずもう」からとったということで、この「桜」の字を入れることには、非常に強いこだわりがあったそうです。そして、師匠の「白鵬」から1文字をもらい、このしこ名が誕生しました。
先月26日、改名のときの会見では、スピード出世についても語っていました。
前頭十七枚目・伯桜鵬(先月26日)
「大好きな相撲をとることで、そして勝つことで、たくさんの方に喜んでもらえる、応援していただけるというのは、何よりも自分たち力士にとって幸せなことだと思うので、常に調子に乗らないことを肝に銘じて、これからやっていきたいなと」
圧倒的な強さを見せていた宮城野親方でさえ、伯桜鵬のスピード出世には“目を細め驚いている”との感想を漏らしていました。伯桜鵬は今場所、11勝4敗で敢闘賞と技能賞をW受賞していますから、今後にも期待がかかります。
そして、伯桜鵬を破って優勝決定戦に進出したのが、関脇の豊昇龍です。
23日の優勝決定戦は、12勝3敗で並んだ北勝富士との一番でした。勝ったほうが優勝という一番でも落ち着きを見せ、北勝富士を押し出しで退け優勝を決めました。今場所が初優勝となったこの豊昇龍も角界期待の星です。
豊昇龍はモンゴル出身の24歳で、身長188センチ・体重142キロです。相撲を始めたのは17歳とやや遅めでした。日本で相撲を始めるきっかけを作ったのが、おじである元横綱の朝青龍です。
豊昇龍は過去の会見で「自分をモンゴルから日本に行かせたのが、おじさん」と話していました。ただ元々は、レスリングのための留学だったそうです。
相撲にもあこがれがあったようですが、朝青龍に「相撲をやりたい」と話した時に怒られて怖かったから「レスリングで行く」と言ってしまったそうです。
最終的には思いが通じ、「『相撲で頑張りなさい』と言ってもらえてうれしかった」と話していました。目標とする力士も「朝青龍」だということです。
優勝から一夜明けた24日午前、豊昇龍は会見に臨みました。
関脇・豊昇龍(24)
「優勝した時、すごくうれしかったけど、信じられなかった。本当に優勝できちゃったと。今でもまだ信じてないです」
――23日はおじさんとテレビ電話とか
関脇・豊昇龍(24)
「『よくやった』と言われました。泣いてました。おじさんが泣いているところ、初めて見ました。うれしかったです」
豊昇龍は、今場所の戦績が12勝3敗と大関昇進の目安となる「直近3場所での33勝」をクリアし、次は大関昇進は確実ということです。
豊昇龍は大関について「夢だったのですごくうれしい」と語った上で、今後については「まだまだ番付の上があるので、一生懸命稽古して自分を信じて上まで行きたい」と語りました。
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この2人は、強さとチャームを備えています。近い将来、大相撲を盛り上げるライバル同士になるのかもしれません。
(2023年7月24日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)