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【バスケ×町おこし】“広島”のボランティアが奮闘“花道プロジェクト”で被災地・岩手を笑顔に!神様に手紙も送った

2023年3月17日 6:00
【バスケ×町おこし】“広島”のボランティアが奮闘“花道プロジェクト”で被災地・岩手を笑顔に!神様に手紙も送った
花道プロジェクトが建設したコートを利用する大槌町の子どもたちと、矢野アキ子さん(右)
東日本大震災から12年。津波の影響で人口の1割にあたる約1300人が犠牲になった岩手県大槌町。

震災前から過疎地域に指定されていたこの町は、震災の影響で人口流出に拍車がかかり、町から活気と笑顔が失われつつありました。

こうした中、立ち上がったのが遠く離れた広島からボランティアに訪れていた矢野アキ子さんです。

矢野「ここで何かしないとちょっと後悔すると思って」

大槌町の桜木地区でボランティア活動をしていた矢野さん。がれきが散乱した町に桜を植えて“桜木の花道”をつくることを思いつきます。さらにもう一つ。

矢野「桜木花道であれば、スラムダンク。私、大好きですからバスケの大会を開催して、“バスケと桜”両輪で町おこしをやりたいと思いました」

そんな思いから地元メンバーとともに“花道プロジェクト”を発足しました。

まず矢野さんは、町に笑顔を取り戻すことを目的に、バスケットボール大会の開催を目指します。しかし開催には様々な苦労が。

矢野さん以外のメンバーはほとんどが被災者だったため、会場の確保や告知、グッズ作成など、準備のほとんどを矢野さんが担うことになったのです。

大会が少しでも広まればと、ダメ元でバスケの神様マイケル・ジョーダンへ、つたない英語で手紙を送ったこともありました。

さらに広島で自営業を営む矢野さんは、およそ1300km離れた広島と大槌町を行き来する生活を繰り返しました。

片道14時間運転し、10日間大槌町で活動。また14時間運転し、広島の仕事に戻っていたと言います。

そんな熱心な活動の末、2012年5月、ついに第1回大会“桜木杯”の開催が実現します。

震災からおよそ1年しか経っていないにもかかわらず、県内から15チーム76名が参加しました。そしてこの大会で矢野さんは忘れられない経験をします。

矢野「大会を終えてあまり笑っているところを見てない子がすごくよく笑ってたんです。“本当に震災以来、あんなに腹抱えて笑ったのは今日が初めてだった”って言われて。本当によかったなって思いました」

当時の大会映像には笑顔の参加者が多く映っていました。
それからは年に2回以上大会を開催し、今年で24回目を迎えます。

大会はバスケファンの間で広まり、今では募集開始から1日で定員に達する人気だと言います。

また、もう一つの活動である桜の植樹も実りを迎えます。

2013年には津波の避難道になる高台の道に50本程度の桜を植えました。今では毎年4月になると、きれいな桜が咲き誇り、桜木の花道ができあがっています。

矢野「自分たちで植えた桜なので、普通の桜見るのと違いますね。いとおしいですね」

取材中には、この道を散歩する町民も多く見かけました。

そして2021年9月には、町の中心部に屋外バスケコート2面を建設する、花道プロジェクト、最大の活動を行いました。

建設費用1,000万円の半分は、日本全国からのクラウドファンディング。コート床には桜をイメージしたピンクと海をイメージした青が使われている、色鮮やかなコートです。

毎日利用者がいるこのコートには、取材した日にも小学生や親子など、様々な利用者がいました。

小学生「友達と無料で遊べるのでできてうれしい」
親子「この辺はコートがなかったので来るたびに使ってます」

これらの声に矢野さんは「うれしいです。特に子供たちの遊ぶ場所がなくなってしまったので、作ってよかったです」と話しました。

町の復興とともに、着実に成果を見せるバスケットボールによる町おこし。今後は支援してくれた方々への感謝も込めて、日本各地で大会を開催する“出張花道”を考えていると言います。

最後に矢野さんにこの12年間の活動を振り返ってもらいました。

矢野「本当は10年で引退するつもりだったんですが、もうちょっと一緒にやっていい?ってお願いして一緒にやらせてもらってます。一緒に花道プロジェクトを活動させてもらったことがもう宝物です」

矢野さんと花道プロジェクトの活動はまだまだ続きます。

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