由伸×桑田続編“135球完投”の真意
高橋由伸さん(news zero野球解説者)が21日、巨人キャンプを取材。15年ぶりに巨人のユニホームを着た桑田真澄投手チーフコーチ補佐(52)にインタビューをしました。
以下、高橋由伸さん=由伸、桑田真澄さん=桑田、とします(敬称略)。
由伸
年明けニュースで桑田さんが戻るんだっていうのを見てびっくりしました。
桑田
僕もびっくりしましたよ。
由伸
ご家族とか周りの反応はどうでしたか。
桑田
年が明けていたので、去年と同じように解説したり、講演とか野球教室とかっていう仕事をやるのかなって思ってたところを、こういう話をいただいたんでね。
僕はびっくりしたんですけど、家族は喜んでくれてましたね。
――昨シーズンの巨人について
由伸
今までOB・評論家という立場でジャイアンツを見てきたと思うんですけど、特に去年、おととしと日本シリーズではなかなか勝てなかった。どのように見られてましたか。
桑田
よくパワーとスピードの違いっていうのは見られるんですけど、それは1つあると思うんですね。でも負けた原因はそれ1つだけじゃないと思うんですね。僕もそうですし、由伸もパワーとパワーとでやってきたわけじゃないでしょ?
パワーに対して技術でいったり、スピードに対して技でいったりっていう場面もあるわけで、それがスポーツの醍醐味(だいごみ)だと思うんですよね。
だから当然パワーとスピードに対して対抗していくというのは大事だと思うんですけど、それができない選手はどうしたらいいかって言うと、僕は技術力だと思うんですね。
だから自分の長所をしっかりと理解して、パワーでいくのかスピードでいくのか技でいくのか。自分の長所を前面に出して戦っていけば僕は勝てると信じてるんでね。
――桑田コーチが巨人のピッチャーに期待することは
由伸
(ピッチャーに)こういうふうに育ってほしいなというのはありますか。
桑田
僕は先発は、目標は135球、中6~7日の時代ですね。それで完投を目指してほしい。完投が無理なら7回、8回はしっかりと投げてほしいなと思ってますね。
そのためには、スピードじゃなくて制球力が必要なんですよね。制球力がないとどんどん球数が増えていくので。監督時代も先発ピッチャーがしっかり投げてくれたら楽じゃなかったですか?
由伸
そうですね。やっぱり先発が7回ないし8回投げてくれると助かるなっていうのは思いますね。僕も監督の時に代えられたら嫌な顔するぐらいのピッチャーになってほしいなと思っていた。「もうなんでいかしてくれないんだ」みたいな。
桑田
「今代えてください」とピンチになるとベンチ見ているようなピッチャーもいたんで、僕は「投げさせてください」と言えるぐらいの、そういう責任感のある投手を育てたいと思っています。
今はスピードが150何キロというのをみんな目指してますけど、ピッチャーの目的は何かというと、打者を打ち取ること。そこからまた逆算して考えていく。
自分は150キロっていうストレートは無い。無ければ何が必要かというのを選手たちに話し合いをして理解してもらって、取り組んでいこうっていうのは今やってるんですけどね。
――桑田コーチの指導法「怒る」「叱る」の考え方について
由伸
僕は現役の頃から桑田さんはあまり怒るイメージがないですけど。
桑田
自分の中でやっぱり怒ると叱るは分けていて、感情で言うことはできるだけしたくないなと思っていて、それは人間ですから「シバいたろうか」と思うときはあるんですよ。
けど、そういう感情ではなくて、叱るというのは「おまえはどう思う」と「こういう方法もあるけどどうなんだ?」「なぜできないの?」「なぜしないの?」っていろいろコミュニケーションをとって指導していく方法がいいと思っているので、それは自分の勉強にもなるし自分の成長にもつながる。
カチンと来る時もあるんだけど「ちょっと待てよ」と。
そういうのは現役時代からもすごく心がけてやっていたので、今も自然にできているんじゃないかなと思っている。
――インタビュー後には
桑田
(質問するの)上手だね由伸。
由伸
そんなことないです。
桑田
もう何年やっているの?
由伸
3年目です。
桑田
慣れたもんだね。
由伸
いやいや。厳しいですよ。またお話聞かせてください。ありがとうございました。
桑田
ありがとうございました。