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香川真司が語る3 新天地・ギリシャ

2021年3月4日 0:42
香川真司が語る3 新天地・ギリシャ

世界の40を超える国と地域で、スポーツを通じた社会貢献活動に取り組んでいるローレウス財団(本部ロンドン)が、2日までにローレウス・アンバサダーのサッカー・元日本代表、香川真司選手(31・ギリシャPAOK所属)にインタビューを行いました。

2017年からローレウス・アンバサダーを務めている香川選手。第3回は、新天地・ギリシャでの新たな挑戦について語りました。

以下、香川真司選手=香川、とします(敬称略)。

――ギリシャ・スーパーリーグにはどのような印象をお持ちですか。リーグ内で、今後の対戦が楽しみな選手はいますか。

香川
ギリシャのチームとは何度かドルトムント(ドイツ)とマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)の時に対戦していて、サポーターも熱く、非常に手ごわいチーム、守備の堅いチームという印象でした。実際にギリシャでプレーをしてみて、レベルの差は上位チームと下位チームとでは多少ありますが、オリンピアコスなど、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグに出場しているクラブもあります。リーグが終われば上位6チームによるプレーオフが行われ、非常にタフな戦いになると感じています。まずは私自身としては新しいチームと新しい環境で、いろいろとパワーを使っているところはあるので、しっかりと自分自身をコントロールして、毎試合自分のベストを調整していきたいです。オリンピアコスにはドルトムント時代のチームメート、ソクラティス・パパスタソプーロス選手(32)とは実際に電話をして、近況を報告しあっているので、一緒にピッチに立てる日を楽しみにしています。

――ギリシャ・スーパーリーグを選んだ決め手を教えてください。

香川
まずは、クラブや監督が自分のことをしっかりと評価してくれていたことが一番大きな決め手でした。10月にフリー(所属なし)になってから、自分の中で期限を1月と決めていました。そのタイミングで決まったチームが自分にとって運命のチーム、自分がチャレンジするチームだと決めていたので何の迷いもなかったです。(クラブをPAOKに)決断した時に、自分の中でわいた感情がすごく前向きにこの挑戦を受け入れていたので、それが自分の答えだと強く感じました。ここでまた自分のキャリアを築いていくだけだなという気持ちです。

――新チームの雰囲気や新しいチームでピッチに立った感想を教えてください。

香川
正直、選手はあまり知らなかったんですけど、練習をしていてチームのクオリティーは非常に高いと思っています。まずはチームがやりたいこと、チームメートが求めているものをはやく理解し、その中で自分のベストをどう引き出していくか。日本じゃないので、まずは自分からオープンな気持ちを忘れずにしていかないと仲間とは理解しあえない。このチームの一員だという誇りを忘れずにやれれば必ず結果はついてくると思います。

――海外でプレーし始めて5か国目、10年を超えました。世界各国でプレーする中で常に心掛けていることは何ですか。

香川
若い時はとりあえず行けるところにチャレンジし、常にその時のベストなチャレンジをしてきました。ヨーロッパでは30歳を超えると評価がシビアになるので、その中で大事なのは自分自身の信念であったり、どうなっていきたいかだと感じています。結果というのは二の次、三の次。もちろん、その結果を高めるためのプロセスにすべてを注ぎますけど、そんな簡単に結果が得られるほど甘くない世界です。結果はコントロールできないので、そのプロセスやどうやって向き合っていくかがすごく大事だと思います。その上で、自分がオープンになり、日々前向きにチャレンジと向き合いながらやっていきたいと思っています。

――まもなく(3月17日に)32歳を迎える香川選手ですが、今の目標や夢を教えてください。

香川
毎日ベストを尽くすだけです。もちろん夢や目標もありますが、ここでの日々にすべての意識を持っていくことが何よりも大事だと思います。常に自分の意識をここでの日々に持っていけるように戦い続けていきたいと思います。

■ローレウス財団

2000年設立。「スポーツの力を持って社会問題に立ち向かい、スポーツの素晴らしさを世の中に広めること」を目的に、スポーツを通じた社会貢献活動に取り組む国際組織で、世界40か国で活動などを展開。さまざまな競技の伝説的選手がメンバーに名前を連ねており、「世界スポーツ賞」の授賞式は「スポーツ界のアカデミー賞」とも称される。日本では内村航平、香川真司、杉山愛さんがアンバサダー。18年には大坂なおみが年間最優秀成長選手賞に輝いた。日本人初の受賞だった。

写真:アフロ