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香川真司が語る1 スポーツの力と社会貢献

2021年3月3日 23:28
香川真司が語る1 スポーツの力と社会貢献

世界の40を超える国と地域で、スポーツを通じた社会貢献活動に取り組んでいるローレウス財団(本部ロンドン)が、2日までにローレウス・アンバサダーのサッカー・元日本代表、香川真司選手(31・ギリシャPAOK所属)にインタビューを行いました。

2017年からローレウス・アンバサダーを務めている香川選手。第1回は、スポーツの力、社会貢献などについて、持論を語りました。

以下、香川真司選手=香川、とします(敬称略)。

――スポーツを通じてどのような社会貢献ができると思いますか。

香川
現役選手でいる間に、サッカー以外の活動をするのはなかなか難しいですが、自分自身、30歳を超えて、15年くらいプロとしてのキャリアを重ねている中で、まずは自分のできることからやっていければいいなと思うようになりました。やはり子供たちというのを対象に社会貢献をやっていけたらいいのかなと自分自身感じています。シーズンオフが年に1回、2~3週間くらいしかないので、実際に会える機会を頻繁にというわけにはいかないですけど、継続して実施続けていくことに意味があると感じているので今後もやっていきたいなと思っています。

――「#ShinjiDreamCup」の開催や子供たちとの交流を通して、気付いたことや感じたことは何ですか

香川
イベントをやらせてもらう度に子供たちから逆にパワーをもらっていると感じています。普段ヨーロッパにいて、日本の子供たちとサッカーをする機会がなかなか持てない中で、一緒に触れ合えることは楽しさしかないです。イベントは1時間、2時間程度なので、子供たちにとってどれほど意味があるのかは分からないですが、その時「楽しいな」という感覚を持ってもらう中で、1か月後でも1年後でも、ふとした時にイベントが何かの気付きになってくれたらいいなと思っています。それは僕自身も一緒です。今ではなくその先の刺激になったり、「香川選手があんなこと言っていたな」と、いろいろなことを思い出させてくれたりする、そんな機会を1人でも多くの子供たちに提供できればいいなと思います。

――「スポーツの力」を感じた瞬間はありますか

香川
やっぱりワールドカップは「日本全体が1つになれる瞬間」を感じやすい場面かなと思います。またここ数年、日本では2011年の東日本大震災を含め、大きな自然災害が起きています。その中で、2011年に「なでしこジャパン」がワールドカップ優勝を果たした時や、カズさん(三浦知良選手)がチャリティーマッチでゴールを決めた瞬間。当時私はドイツにいてテレビで見ていたのですが、感じるものや心を動かされるものがありました。スポーツを通じて国民に与えられるものが、こんなにあるのだと感じられる瞬間でした。

――「ローレウス・スポーツ・フォー・グッド」のように、スポーツの力を使った社会貢献活動が日本で広がっていくことについて、どのように思いますか

香川
非常に大事なことだと感じています。ヨーロッパでサッカーをしていると、それをより身近に感じられます。ヨーロッパでは、サッカー選手やスポーツ選手が国民に与える影響力や発信力はとても強いです。日本では芸能人やアーティストなど、いろいろなジャンルの方々が活躍していて、彼らの影響力が強いですが、スポーツ選手もそういう立場になれる存在だと感じているので、国民や子供たちに向けて発信できるものを考えながら、取り組んでいく必要はあると思います。

――コロナ禍でさまざまな支援をされていましたが、アクションを起こすきっかけは何だったのでしょうか

香川
昨年のコロナ禍では、当時スペインのサラゴサ市にいて、本当に悲惨な状況でした。まずはサラゴサという街に対して何かできることがないか、クラブのスタッフと話しました。その中で、高齢者に食事を届けるサービスの手伝いが重要になってくるので、そこへ寄付させていただきました。何か自分もアクションを起こしたい、自分でできることを考えてやりたいという思いがあり、自分でできるベストを考えて行動しました。今後も自分ができる範囲の中でのベストを尽くしていくことで、そういった1人1人の力が大きな力になると思っています。1人でやっても微々たるものでしかないですが、それがみんなに伝わっていけば大きな力になっていくと思っています。特に私のようなアスリートが行動を起こすことによって、日本や世界中の人々に与える影響は大きいはずです。

(第2回へ続く)

■ローレウス財団

2000年設立。「スポーツの力を持って社会問題に立ち向かい、スポーツの素晴らしさを世の中に広めること」を目的に、スポーツを通じた社会貢献活動に取り組む国際組織で、世界40か国で活動などを展開。さまざまな競技の伝説的選手がメンバーに名前を連ねており、「世界スポーツ賞」の授賞式は「スポーツ界のアカデミー賞」とも称される。日本では内村航平、香川真司、杉山愛さんがアンバサダー。18年には大坂なおみが年間最優秀成長選手賞に輝いた。日本人初の受賞だった。

写真:アフロ

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