去年１２月１６日の試合中に右膝前十字靭帯（じんたい）断裂の大ケガをおったバスケットボール女子日本代表のエース・渡嘉敷来夢選手（２９＝ＥＮＥＯＳサンフラワーズ）。一部メディアは「五輪絶望」と報じました。

ケガ以降、メディアの取材に一切答えていなかった渡嘉敷選手。ケガから２か月、日本テレビのインタビューで胸の内を明かしてくれました。

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Ｑ：ケガをした瞬間はどういう状況だった
「まさか切れているとは思わなかった。試合が始まったばかりということもあって、『ちょっと休んでテープを巻けばいける』って張り切って言っていました。捻挫しちゃったくらいの感覚で、痛かったけど別に耐えられる、という感じでした」

Ｑ：診断を聞いた時の気持ちは
「（ケガした直後の）ロッカールームで聞いた時の第一声は『マジか！』というテンションで、涙がポロポロ出ていました。次の日の午前中に病院で診断を聞いた時は『ですよね…』と言いながらポロポロ涙が出ていました。『泣いてもくっつかねーし』と思ったけど、でも涙は勝手に出てきていました」

Ｑ：手術はいつした
「１２月２４日に手術をして１２月３１日に退院をしました。前十字靭帯は手術をしないとくっつかない靭帯らしいので、選手を続けるのであれば手術をするのが一番いいかなと思い、手術をすることを決断しました」

Ｑ：ケガをした瞬間、東京五輪への思いは
「『オリンピックもう無理だ』とも思わなかったし『五輪に間に合わせなきゃ』とかも思わなかった。ケガを発表した時にいろんな記事で“五輪絶望”と書かれているのを見て『いやいや私の何を知っているんだ！勝手に決めるなよ！』っていう感情が生まれました。復帰するタイミングも膝の調子も全部自分が一番分かっている。しっかり治せば復帰している選手もたくさんいるので、まずはどこを目指すとかではなく、しっかりと復帰できたらなと思って今を過ごしています」

Ｑ：ケガの瞬間の映像を見たことは
「映像は見ていないですね。皇后杯の写真もようやく見返せるようになりました。写真を見ていると勝手に涙が出てきちゃう。つらいっていう感情はなんなんですかね。コートに立てなかった悔しさもあったんだろうなって自分でも思います。みんなの頑張りとかも感動しましたし、だから逆に心置きなく手術を前向きにできたのかなって思います。もし優勝できていなかったら間違いなく自分の性格上、自分のせいだって責任を感じていたと思うので、優勝できてよかったなって本当に思います」

Ｑ：コートに立てない中での皇后杯優勝はどう感じた
「『来年はこのコートに立つからな絶対！』と思っていました。（自分がコートに立てず）優勝させてもらうのが初めてだったので、そういう感情になったことがない。だからこそいろいろ込み上げてきたし、それもあって涙があんだけ出た理由だと思います」

Ｑ：現在の状態は
「できることが限られていて、地味な膝の前の筋肉に力を入れるとか、スクワットをするとか、その程度。患部というよりはその周りを一生懸命トレーニングしているという感じですね。今でも走れるんじゃないかとか、飛べるんじゃないかという感覚になる時があるけど、それはちょっと怖い。腕は元気なので立ったままシュートを打ったりはしていますね」

Ｑ：ケガをして改めて思ったことは
「たくさんの人が自分のことを応援してくれたんだなって感じました。どのくらいの時間がかかるかは分からないけど、コートに戻ることが一番の恩返しかなと思っています。しっかりと直してケガの前よりもいいパフォーマンスができるようになれば“完全復帰”だと思っているのでそれに向けてやっていけたらなと思います」

Ｑ：東京オリンピックについては
「『絶対に出たい！』とか『絶対に出なきゃ！』とは思っていません。それこそむちゃしてもう一度再断裂とかになった時には、その先バスケットボールができない方が嫌なので。大好きなバスケットボールをやるためにもしっかりと焦らず治してやっていきたいなと思います」

Ｑ：東京オリンピックは諦めてはいない
「諦めることはいつでもできる。ただ自分の気持ちというよりは、膝の気持ちを優先してあげたい。自分は中途半端な気持ちではコートに立てない」

写真提供：ＥＮＥＯＳサンフラワーズ