“金”ウルフ「調子乗るな」母から愛のムチ
東京五輪・柔道男子100キロ級で金メダルを獲得したウルフ アロン選手が10日、地元の東京・葛飾区長を表敬訪問。五輪後、実家に帰ると母から「おめでとう」と祝福される一方で「調子に乗るなよ」とクギを刺されたことを笑顔で報告しました。
東京五輪・柔道男子100キロ級で、日本勢としては2000年シドニー大会の井上康生さん(現・日本男子代表監督)以来、21年ぶりの金メダルを獲得したウルフ アロン選手。10日、地元の東京・葛飾区長を表敬訪問し、メダル獲得の喜びを報告しました。金メダルを獲得したウルフ選手は五輪後、実家に帰ると「(母から)おめでとうの言葉はあったんですけど、その後に『これからもっと注目されるんだから、今まで以上に行動に気をつけなさい。調子に乗るなよ』と言われた。だから僕も『調子乗るな』と返しました」と笑顔でコメントしました。
以下、インタビューの主な内容
――五輪中、計量後におにぎり28個を食べたことについて
ウルフ
「元々減量が僕自身の課題であって、どう落として、どう戻して試合に臨むのかというところを考えながらこの5年間を過ごしてきた。急速に落とす減量だったり、徐々に体重を落とす減量をいろいろ試してみて、最終的にたどり着いたのが、最初は徐々に105キロくらいまで落として、最後に急速に落として、急激に戻すという減量法だった。急激に落としたことによって失われた炭水化物だったり、エネルギーを計量が終わったあと、試合が始まるまでの間に早急に摂取しなきゃいけないというところでたどり着いたのがおにぎりの28個(を食べる)というところだった」
――何味のおにぎりを食べていた
ウルフ
「飽きないようにいろんな味を食べました。一番好きなのは明太子とか、たらこが好きです」
――2つのメダルを持って地元に凱旋できたこと
ウルフ
「一番応援してくれていたのが地元の葛飾区の方だったり、新小岩、出身の小学校の方だったので、早いタイミングで金メダル、銀メダルを持って挨拶をしに来られたのはよかったです」
――金メダル獲得の実感は
ウルフ
「獲得してすぐはそこまで実感が湧かなかったんですけど、たくさんの方からおめでとうと言葉をいただいたり、地元に帰ってきて、本当にたくさんの方が応援してくれていたというのをみて、改めて自分のしてきたこと、成し遂げたことを実感できていると思う」
――自国開催での金メダルは
ウルフ
「子供の頃から試合をたくさんしてきた場所だったので、日本武道館が。試合をする上では感慨深いものがありましたし、東京で試合をできるのは、僕としてもピーキング、試合に向けての調整をしていく中では、すごくやりやすかった。全ての要素が優勝につながったのではないかと感じています」
――家族の反応は
ウルフ
「僕の母親は結構厳しいので、おめでとうの言葉はあったんですけど、その後に『これからもっと注目されるんだから、今まで以上に行動とかに気をつけなさい。調子乗るなよ』みたいなことを言われました。だから僕も『調子乗るな』と返しました(笑)」
――祖母からの言葉は
ウルフ
「おばあちゃんは本当に昔からずっと応援してくれていたので、こういう形で恩返しができたのはうれしかったですし、家に帰って金メダルを見せることができたので、すごく喜んでくれてよかったです」
――五輪まで我慢していたこと、いまやりたいこと
ウルフ
「東京五輪で金メダルをとるまでは、それだけを考えてやってきたので、我慢してきたことは実際ない。試合が終わってみて、試合に向けて、ずっと感じていたプレッシャーとかから解放された状態で、すごくそういう意味では楽なんですけど、次はどこに目標を設定して、そこに向かってやっていくのか考えなきゃいけないと思っている。そこを考える期間をしっかり設けて、オンとオフの切り替えをしっかりしていきたいと思います」
――今後の目標
ウルフ
「3年後にパリ五輪が迫ってきているので、休んでいる時間というのはそこまでないと感じている。パリ五輪で優勝するために、足りないこと、これから身につけていかないといけないものを、しっかり探しながら、この3年間を過ごして、パリ五輪で連覇したいと思います」
――どんな小学生だった
ウルフ
「今もそうなんですけど、よくご飯を食べる子供だった、そればかり思い出しますね。給食の時間に、おかわりをしたくてすごく早く食べていた記憶があります。学年とか先生によってお肉が余っていると、早い者勝ちの時とジャンケンのときがあるんですよ。だから早い者勝ちにするとめちゃくちゃ早く食べちゃうので、あれはやめた方がいいです。ジャンケンの方がいいですね」
――試合後はご褒美で何か食べた
ウルフ
「ご褒美として、たくさんの方から包丁とか魚をいただいたので、それを自分でさばいて食べていました」
――趣味の魚さばきは
ウルフ
「2日前くらいにやりました。鯛とクエとアジとかをさばいて刺身にして食べました」
――ゴールデンスコアで勝つ“ウルフタイム”がトレンドになったが
ウルフ
「わかりやすい言葉をつくっていただいたのはうれしいですし、自分自身の持ち味が、後半に入ってからの粘り強さ、根気強さの部分だと思っているので、うれしいです」
――ウルフタイムの原点、地元ではどんなトレーニングをしてきた
ウルフ
「スタミナの原点は、小学校の頃はそんなにスタミナとかなかったんですけど、中学校のときに柔道に対してのスイッチが入って、ここから強くなろうと思った時に、中学の時どうやったら強くなれるか自分自身わからなかったので、とりあえず走るしかないなと思った。毎朝、荒川の土手を10キロくらい走って、そこから学校に行くようにしたので、そこが僕自身のスタミナの一番最初の原点だったのかなと思います」
――今後子供たちに伝えたいこと
ウルフ
「僕たちのトップの柔道選手が柔道の普及に努めていくのが、柔道競技が広まる一番の近道だと思っているので、これから柔道教室とか、そういうものを積極的にやっていって、子供たちに柔道って楽しいとか、柔道の魅力を伝えていければと思います」