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体操男子8年ぶり団体金の快挙も「どこか喜びきれない」ライバル国のメンバー事情

2023年10月4日 15:32
体操男子8年ぶり団体金の快挙も「どこか喜びきれない」ライバル国のメンバー事情
世界選手権で8年ぶりに団体金メダルを獲得した体操男子日本代表(写真:松尾/アフロスポーツ)
◇第52回世界体操競技選手権大会 男子団体決勝(日本時間4日、ベルギー)

体操男子団体が世界選手権で悲願の金メダルを獲得しました。8年ぶりの快挙に、パリ五輪での王座奪還へ視界良好に見える体操ニッポンですが、チームキャプテンの萱和磨選手が口にしたのは「どこか喜びきれない自分がいる。来年だぞ」という言葉でした。

“勝って兜の緒を締める”言葉を放った理由を考えるには、ライバルチームの出場メンバー事情について知っておく必要があります。

■ミスをカバーし金メダル獲得…それでも口にした意外な言葉

東京五輪の個人総合で金メダルを獲得した、絶対的エース・橋本大輝選手擁する日本代表。2種目めのあん馬では、世界選手権初代表の千葉健太選手が落下のミスを出してしまいますが、橋本選手が堅実な演技でカバー。

4種目めの跳馬では、空中感覚と脚力に長ける南一輝選手が高難度・ロペスの着地を止め、チームトップの15.000をマーク。チームを勢いづけ、暫定1位に躍り出ます。

最終種目の鉄棒では3選手が着地を止め、全体トップの41.932をマーク。合計255.594で8年ぶりの世界選手権金メダルを決めました。

試合後のインタビューで選手たちは口々に喜びを表しましたが、チームのキャプテンを務める萱選手からは「どこか喜びきれない自分がいる。来年だぞ」とパリ五輪に向けて油断を見せない発言が。

■長年のライバル中国は、自国開催のアジア大会を優先

日本にとって長年のライバルとして挙げられるのは中国。北京・ロンドン五輪で団体連覇を果たし、2022年の世界選手権でも団体金メダルを獲得しています。

今大会では蘇イトク(イは火へんに韋、トクは徳の異体字)選手が鉄棒で2度落下。銀メダルを獲得した中国は日本との差が『1.8』であったため、落下による『2.0』の減点が勝負を分けたとも言えます。

それに加えて無視できないのが、中国のメンバー事情。

実は世界選手権直前に行われていたアジア大会に、2021年の個人総合金メダリストの張博恒選手、東京五輪個人総合銀メダリストの肖若騰選手、五輪と世界選手権を合わせ平行棒で4度世界一に輝いている“平行棒の神”こと鄒敬園選手らが出場。自国開催のアジア大会を優先させる施策をとっていました。

アジア大会に出場した選手で世界選手権に出場したのは、ケガで離脱した選手に替わった林超攀選手のみ。今大会はベストメンバーではない布陣でした。

また今回の団体決勝、日本選手の演技構成は、予選から難度を抑えた安全策も随所に見られました。当然、チームメートの演技内容や、ライバルとの点差を考慮し、確実に金メダルを狙ったことは結果を見れば作戦勝ちと言えます。しかし中国のメンバーを鑑みると、パリ五輪では各選手が持っている最も難しい構成が求められ、その中でいかに失敗しないか、という点がさらに重要になってきます。

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