高校サッカー発祥の地、大阪の戦績は?
第100回全国高校サッカー選手権は12月28日に開幕します。29日の一回戦で、大阪代表の阪南大高は福井代表の丸岡高校と対戦します。阪南大高にとっては6年ぶり2度目の選手権出場。選手権初勝利を目標の一つとする中で、歴代の大阪代表は全国でどんな戦いを繰り広げてきたのか。過去の成績を振り返ります。
■高校サッカー発祥の地・大阪の歴史
高校サッカー発祥の地は大阪だったと言われています。大正7年1918年に第1回フートボール大会が大阪の豊中で開催されました。これが今年で100回目を迎える高校選手権の始まりです。第9回大会からは全国中等学校選手権大会と呼ばれ全国大会としての形を整え、時には第二次世界大戦のため中断した年もありました。
大阪勢が初めて優勝したのは、昭和25年(1950年)28回大会の池田高校。初出場での初優勝でした。その後、32回大会では岸和田が史上初の両校優勝となり、44回大会では明星高校が前身の明星商時代を含む26度目の出場で初の優勝。その明星高校は36回大会から10年連続出場と大きく時代をつくりました。さらに、その2年後、昭和43年度、第47回大会では初芝高校の初出場初優勝。まさに大阪は強豪地区の一つだったのです。
■直近の優勝は首都圏開催前の52回大会 北陽高校
初芝高校の優勝から5年後。またも初出場校が初優勝を果たします。それが北陽高校です。
昭和48年度・第52回大会。当時、北陽高校は野々村征武監督のもと鍛えられた選手たちが躍動。後に日本代表にも選出された山野孝義さんが空中戦で活躍するなどし、見事、初出場初優勝となりました。この後、合わせて9度の選手権出場がある北陽高校ですが、実はこの52回大会での優勝が大阪勢の最後の優勝となっているのです。
■首都圏開催以降の大阪代表 88回・関大一のベスト4
北陽高校の優勝から3年後、開催地が首都圏に移ります。実は首都圏開催以降の大阪代表は、優勝も決勝進出もありません。そんな中、ベスト4に進出したのが56回大会の北陽、88回大会の関大一、95回大会の東海大仰星の3校です。
その中で、平成に入ってからの関大一の3位は大阪勢として実に32年ぶりという快挙でした。初戦の2回戦では鹿島(茨城)を相手に1-1の末、PKにより勝利。3回戦も八千代(千葉)に2-1。準々決勝では藤枝明誠(静岡)を相手に4-1。いずれも実力十分と目されていた強豪校を倒しての準決勝進出。国立のピッチに足を踏み入れます。
準決勝では柴崎岳選手などを擁する優勝候補・青森山田と対戦。2-2(PK3-2)の末惜しくも敗れましたが、後半44分で2-0というビハインドから、わずか3分間のアディショナルタイムでの奇跡の同点劇にはスタンドからも涙。見ている人たちに大きな感動を与えることとなりました。
■直近のベスト4は95回・東海大仰星
95回大会の東海大仰星も堅い守備で躍進しました。初戦の藤枝明誠(静岡)2-1、2回戦は鹿島学園(茨城)1-0、3回戦は富山第一に2-0、準々決勝では東福岡に1-0。強豪校相手に高い集中力を見せ準決勝進出を決めます。
埼玉スタジアム2○○2で行われた準決勝では、首都圏開催以降初めてとなる大阪代表の決勝進出をかけて青森山田と対戦。先制され一度は同点に追いつくも、前半のうちに2-1とリードを許し、あと一歩が届かず。大阪勢の悲願は、またしても青森山田に阻まれることとなりました。
■悲願の大阪代表優勝へ
「大阪って高校サッカー強いの?」という質問を度々耳にします。答えは「イエス」です。
去年の代表校で、今年の大阪準優勝校・履正社はプリンスリーグ関西で優勝し、高校年代最高峰カテゴリーであるプレミアリーグWESTへの参入を決めました。その履正社以外にも10チームが所属するプリンスリーグ関西では今年、1位~5位までを大阪の高校が独占しています。
ただ一方で、その履正社をはじめとする直近3年間の大阪代表校は選手権の初戦で敗れています。これはなぜか?大阪府内の監督を取材しているとよく耳にする言葉があります。
「激戦区・大阪を勝ち続けることの難しさ」
加盟227校という大阪では連続して代表になることが極めて難しく、直近6年間で全て異なる学校が代表校になっています。これは47都道府県の中で唯一、大阪だけです。実力校が揃っているのに全国大会を連続して経験することのできないという、「全国での経験値の薄さ」が近年の大阪代表の敗因の一つということは言えるでしょう。
そんな中、今年は阪南大高がインターハイ大阪大会と選手権の「大阪二冠」を果たしました。大阪勢としては実に19年ぶりの偉業です。インターハイでは大阪の代表校は2校が全国に出場できるため、阪南大高は4大会連続でインターハイに出場しています。
今年のインターハイでは神村学園(鹿児島)に4-3で敗れ全国ベスト16でしたが、全国大会の経験を持つ阪南大高が今年、100回目の選手権大会で大阪代表として新たな歴史を塗り替えるか、目が離せません。
※写真は
左上:95回大会 東海大仰星
右上:88回大会 関大一
左下・右下:100回大会 阪南大高
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/読売テレビ)