【高校サッカー長崎全力応援】新たな歴史の幕開けへ「長崎総大附属」を応援したい5つのこと
その長崎県を代表し、12月28日開幕する第103回全国高校サッカー選手権大会に出場するのが長崎総合科学大学附属(以下略:長崎総大附)です。
12月29日の選手権1回戦では、埼玉県代表の正智深谷とNACK5スタジアム大宮で対戦しますが、その長崎代表長崎総大附の応援したい5つのポイントを紹介します。
1.前身は造船学校
長崎総大附の前身は1962年4月に開校した長崎造船短期大学附属高校です。1978年7月に現校名となりました。
以前は造船学校だったということもあり、県南部の長崎半島の東岸と島原半島の西岸に囲まれた橘湾を望む場所に校舎があります。造船の街として有名な長崎市の学校ということに加えて、これから航海に出て行くという思いも込めてサッカー部のエンブレムには帆船が描かれています。
サッカー部以外にも、野球部、バレー部そしてヨット部が強豪です。ヨット部は過去に2度、全国優勝の経験があります。卒業生の著名人には俳優の金子昇さんがいます。
2.名将の遺志を引き継ぎ全国ベスト4へ
サッカー部は1962年 開校と同時に創部されました。2008年、高校サッカー界の名将、故小嶺忠敏さんが総監督に就任したことが転機となり、全国レベルの強豪校へと成長していきました。小嶺さんといえば、国見の監督時代に選手権全国大会で戦後最多タイ6度の優勝を果たした名将です。
長崎総大附は、2011年の1月から小嶺さんが高校サッカー部の指導を本格的に始めると、翌年の2012年には新人戦、高校総体県予選、選手権地区大会と県内の主要大会3冠を達成します。
2017年にはエースに安藤瑞季(現J2水戸)、荒木駿太(現J1町田)、田中純平(現J3宮崎)と3年生にタレントが揃い、全国高校総体と選手権全国大会とでベスト8進出を果たすなど創部以来、最高成績を残しました。
徐々に全国レベルの実力をつけて日本一を目指す中、小嶺さんが2022年1月7日 肝不全でこの世を去りました。長崎総大附で本格指導以降、約12年間で県大会21回優勝(新人戦9回、総体4回、選手権8回)の実績を残しました。
2022年4月には国見高校時代の教え子で、選手としては69回の選手権全国大会で優勝に貢献した定方敏和監督が就任。今年の3年生は小嶺さんが亡くなる前にスカウトした最後の世代となります。「全員攻撃全員守備、人を育てる」の小嶺イズムを引き継ぎ大会に挑みます。
3.今シーズンの初タイトルをかけた選手権大会
今年は1月の県新人戦でベスト4、県高総体では準優勝と県のタイトルを獲得できていませんでした。その悔しさを胸に去年以上に、チームの規律、約束事を徹底し、必ずタイトルを取ると意気込んだのが選手権の県大会でした。
3回戦の佐世保実、準々決勝の海星で先制されるも、慌てることなく得意とする速攻やセットプレーから得点を重ね、逆転勝利で勝ち上がります。準決勝の九州文化学園との試合はボールを保持される展開になりますが、連動した守備で決定的なチャンスを作らせず、3対1で勝利し決勝に進みます。
決勝の相手は長崎総大附同様、堅い守備と速い攻撃を得意とし、99回大会では県で優勝し本大会に出場した創成館です。似たスタイルとの相手に、定方監督は「セカンドボールを収められるか」がポイントと分析し臨みました。
前半はスコアレスで折り返しますが、後半2分に松下昊稀選手(3年)が先制点をあげると後半だけで4得点。全員でハードワークし続け、ほとんどのセカンドボールを回収し、内容でも圧倒した長崎総大附が4対0で勝利し、2連覇を果たしました。
4.自主性が結束して生み出されるチーム力
定方監督は、「今年の3年生は仲が良い」と話します。しかし、いわゆるリーダー役が不在で、夏休み前までは人任せのプレーが多かったと振り返ります。「なれ合い」になってほしくないと、選手1人1人の自覚、奮起を求めてきました。
その一環として今年夏に取り組んだのが、“意識改革”です。それまでゲームキャプテンを務めていた宇土 尊琉(たける)選手(3年)の任を解き、全員がチームのために動いてほしいと、様々な選手たちにゲームキャプテンを任せます。
そうしたことで「どうチームをまとめるか」、「どのように行動を示し、発言することが良いのか」「チームのためにどうすればいいのか」自主的に考え、実行するように変化していきました。
宇土選手自身も今までの自分と向き合い、周りに対しての言葉遣いや意識を変化させないといけないと考え、チームメートへの接し方などが変わって再びゲームキャプテンを任されることになります。
この“意識改革”で1人1人がチームのために戦える組織に成長し、今シーズンの県内初タイトルの獲得につながりました。
5.雪辱を誓うキャプテンとエース
チームの大黒柱はキャプテンの宇土尊琉(たける)選手(3年)とエースの坂本錠(3年)選手です。
前回の選手権全国大会1回戦、新潟県代表の帝京長岡戦では宇土選手はフル出場、坂本選手は途中出場しました。しかし、チームは惜しくも2対3で敗戦。悔しい選手権となりました。
ボランチとして長短のパスでゲームメイクをする宇土選手。キックの精度をあげること。積極的にペナルティーエリアまで侵入することなど自らの得点でチームを勝たせることを意識し、この1年間励んできました。
一方の坂本選手は、帝京長岡戦でイエローカードをもらうなど思うようなプレーができず不完全燃焼で大会を終えました。
悔しさをバネに、体の強さを活かしたポストプレーやワンタッチゴールに磨きをかけたことに加え、ゴール前でもコントロールショットが打てるメンタルも含め、プレーの幅を広げて絶対的エースとして成長しました。「最低でも1試合1点以上とる」と意気込んだ県大会では有限実行。全4試合で5ゴールをあげ、エースの役目を果たしました。
2人は「前回の悔しさを晴らしたい。そして過去最高成績のベスト4以上を目指す」と意気込みます。
長崎総大附の初戦は12月29日に行われる埼玉県代表の正智深谷との1回戦。目標の国立へ。全員攻撃全員守備のサッカーでチーム一丸となり勝利を目指します。
(取材・文 高校サッカー選手権民放43社/長崎国際テレビ)