荒川静香さん フィギュア女子シングルの展望「誇りと自信を持って世界に驚きを」
北京五輪フィギュアスケートは、男子では銀・銅2つのメダルを獲得しました。15日からは、女子シングルが始まります。日本代表3選手の見どころについて、トリノ五輪金メダリストの荒川静香さんにお話を伺いました。
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――五輪2大会連続出場で、団体初の銅メダルにも貢献した坂本花織選手(21)の強みは?
「坂本選手の持ち味は、一つ一つの技に付く出来栄え点が非常に大きいこと。トリプルアクセルとか、4回転とかわかりやすい大技で得点を狙っていく選手とはタイプが違うんですけれども、一つ一つの技に加点が大きく付いていくことは、トータルすると大きな得点になっていくので、そこが坂本選手の戦略です」
――坂本選手の4年前の五輪から成長した部分は?
「圧倒的にミスをすることが少なくなりましたし、表現力、演技構成点の方でも評価が上がったところというのが、成長として一番感じる部分です」
――初出場の21歳・樋口新葉選手。団体戦では跳ばなかったトリプルアクセルを「ショートもフリーも入れられるように頑張りたい」と、練習でも何度も成功していたが?
「団体戦では、トリプルアクセルを組み込みませんでしたけど、(個人戦でトリプルアクセルで)しっかり収まっていくと、さらに団体戦のときよりも大きな得点を狙っていける。思い切りの良さが大事になってくると思います」
――17歳で初めて五輪で演技する河辺愛菜選手については?
「五輪の怖さとか、緊張感というのをまだ知らないうちに、自分の勢いで力を出し切れる選手というのも初出場の選手に多いので、初出場の勢いというのは大いに利用して、あとは自分の技術に自信を持って滑ってほしいなと思います。自信を持って挑めれば世界に驚きも与えられるんじゃないかなと思います」
――日本代表3選手のメダルの可能性は?
「それぞれの選手、戦略は違いますが、大きな得点を狙っていける力のある選手だと思うので、メダルの可能性もなくはないです。ただ、他の選手の出来にもよります。特にROC(ロシアオリンピック委員会)の選手たちは、4回転ジャンプの種類を複数持った選手もいますから、その選手がハイリスク・ハイリターンのプログラムを滑る上で、その出来が周りの選手たちの順位を左右するんじゃないかなと思います。ほかの選手たちの出来を気にするのではなくて、自分が持てる力をいかに自分が滑るタイミングで、集中力を高められるかを大事にしてほしいと思います」
――選手たちに荒川さんからのエールをお願いします。
「日本の選手たちは、スピードもあってしなやかだけど、豪快でかっこいいんですよね。スケートに誇りを持って自信を持って、世界に驚きを与えてほしいなと思います」