【箱根駅伝】大東文化大の"選手を変えた言葉"とは 100回記念&創立100周年の節目にシード奪取へ
大学は、今年度が創立100周年。4年生の主将・松村晴生選手は、「運命的なものを感じている」と話します。この記念すべき大会で、どうしても成し遂げたいのが9年ぶりのシード権獲得。この1年、ある言葉で着実にチームの力を積み重ねてきました。
■強豪校復活へ 選手を変えた言葉
大東文化大学は、出場51回で4度の総合優勝。5区山登り、6区山下りで数々の名ランナーを輩出し、"山の大東"と呼ばれた駅伝強豪校です。しかし、近年はシード権から遠ざかり、第96回大会から3大会連続で本選出場を逃していました。
そんなチームを奮い立たせたのは、2022年4月に就任した真名子圭監督です。就任からわずか半年後の第99回箱根駅伝予選会を勝ち抜き、本選へ返り咲きました。
シード権を目指した第99回大会は、総合16位。レース後に真名子監督は、「必ず来年ここに戻ってきて、シード権を獲得します」とOBや応援してくれたファン、選手の前で宣言してみせました。
選手のさらなる成長を求めて、"選手の意識"を改革します。それは普段の練習メニューが書かれたホワイトボードにありました。
―走りの本質で勝負し、"1"へのこだわりを―
長い歴史で先輩が築いた輝かしい成績。自身もOBとして、10区区間賞の経験を持つ真名子監督は、「1位を目指すという気持ちは、必ずなければいけないと思いますが、"1"はそれだけではない。1分1秒、1位にだけに限らず、1つでも上の順位を目指す。シード校10校あるうちに1つに入るとか、この1年を大事にするとか、そういった"1"のこだわりを大事にしている」と説明します。
この言葉が選手を変えました。4年生のエース久保田徹選手は、今季5000m、ハーフマラソンで自己ベストを更新。3年生の西川千青選手は、7月に1万mの大東文化大学記録を更新しました。久保田選手は「(練習は)1分でも多く走って、設定タイムも1秒を大切にしている」と高い意識を口にします。
■証明したチーム力 チームの悲願へ決意
実はこのレース、タイムを稼ぐはずの留学生ピーター・ワンジル選手が、序盤から失速するアクシデント。半分の10キロを過ぎると12番手に落ちてしまいます。
それでも選手たちに動揺はなし。全体の日本選手の中で、西川選手が5位、久保田選手は6位に入るなど、前年より約7分速い合計タイムで、予選会を1位突破しました。
チーム内トップの西川選手は、「去年も1位通過して、今年も1位通過しようと話していた。しっかり攻めて1位通過なので、安全に行ったわけではない。去年よりも評価できるところだと思います」と充実した表情。エース久保田選手は「しっかり2区を走って、コースはキツいのはわかっているので、もっとしっかり練習をして、箱根駅伝ではシード権を目指して頑張っていきたい」と決意。
16位で終わった第99回大会から1年。1分1秒を大切に1年間過ごし、予選会ではアクシデントにも動じず1位を取った選手たちは、自信をみなぎらせます。
シード権獲得となれば9年ぶり。"山の大東"が、100回記念と大学創立100周年の山場で、どんな走りをみせるのでしょうか。
▽大東文化大学 箱根駅伝
出場51回 総合優勝4回
駅伝監督 真名子圭
駅伝主将 松村晴生(4年)