【陸上日本選手権・男子3000m障害】三浦龍司が圧勝 他の大学生も健闘
男子3000メートル障害には、昨夏の東京オリンピックで7位入賞を果たした三浦龍司選手(順天堂大3年)が登場し、他を圧倒する強さを見せました。
■プラン通りの展開で独走
「(1000mを)2分45秒で押していくのがレースプラン」と、三浦選手は序盤からハイペースの展開に持ち込み、ほぼ設定通りに1000mを2分45秒、2000mを5分32秒で通過。三浦選手とともに東京オリンピックに出場した青木涼真選手(Honda、法政大学OB)と山口浩勢選手(愛三工業、城西大学OB)をも、早々に置き去りにしました。ただ一人付いていった荻野太成選手(旭化成、神奈川大学OB)も、2000mを前に後退し、そこからは三浦選手の独走となりました。
ラスト1000mは、さらにペースアップ。それまでは障害物に足をかけていましたが、足をかけずに飛び越え、ギアチェンジを図りました。そして、昨年自身がマークした大会記録を塗り替える、8分14秒47の好記録で大会2連覇を果たし、今夏のオレゴン世界選手権日本代表に内定しました。
昨年はレース終盤に転倒しましたが、今年は危なげなく圧勝を飾った三浦選手は「去年に比べれば、良いレースはできたと思いますし、世界陸上を決めることができて安心しました」と口にしました。
■圧勝も「世界にはまだまだ上がいる」
それでも、三浦選手にとっては納得のいくレースではなく、口をついて出るのは反省点や課題ばかりでした。
「スピード、スタミナに関しては十分な力が付いていると思いますが、ラストのキレの部分など、追い込むという点に関しては課題が見えました。3000m障害でしか用いないような力、技術が、不十分だったと思います。海外ではラメチャ・ギルマ選手(エチオピア)が7分台を出しており、すごく刺激になりました。自己ベスト(8分9秒92)が出たところで、世界にはまだまだ上がいるという意識を持つことが大事だと思う。国内で、自分の範疇(はんちゅう)の中で走っていては到底追いつけないし、克服すべき課題を1つ1つ見つけて強化していかないといけません」
国内で圧勝を飾っても、満足することはなく、三浦選手は世界の舞台を見据えていました。
2位には青木選手が入りました。「万全な状態ではなかった」と言いながらも、8分20秒09の自己記録をマーク。同時に世界選手権の参加標準記録(8分22秒00)をも突破して、日本代表に内定しました。3位に入った山口選手は、8分23秒29とわずかに届かず、即内定とはなりませんでした。
■箱根駅伝を目指す大学生たちも健闘
三浦選手に続く大学生2番手に入ったのは、箱根駅伝初出場を目指す立教大学の内田賢利選手(3年)でした。8分37秒24の自己新記録をマークし、8位入賞を果たしました。
9位の佐竹勇樹選手(大東文化大学3年)もまた、8分39秒22の自己ベストをマークしました。11位に箱根王者の青山学院大学のルーキー、黒田朝日選手、12位に早稲田大学の菖蒲敦司選手(3年)、16位に湘南工科大学の青木颯選手(3年)と続きました。
同日開催のU20日本選手権の3000メートル障害は、城西大学の大沼良太郎選手(1年)が8分48秒83の自己新記録を樹立して、制しました。「後ろで力をためてスパートするプランがうまくハマった」と、山口月暉選手(日本大学1年)を終盤に逆転しました。2位に入った山口選手も8分51秒20の自己ベストでした。
「3000メートル障害だけでなく駅伝にも対応できるようにしたい」と大沼選手。「自分の走りがチームの刺激になればいい。駅伝でも活躍したい」とは山口選手。いずれも、箱根駅伝復活を目指すチームの頼もしいルーキーたちで、秋以降の活躍を誓っていました。